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遊興

 翌日。真嗣は巨大テーマパークパークであるウーエスジェイを訪

れていた。もちろん、隣にはご機嫌な面持ちのカレンがいる。


 しかし、この日はゴールデンウィーク初日なため、平日でもアトラクションの待ち時間

が発生するこのテーマパークは身動きが困難なほどの人で溢れかえっていたのだった。


「カレン、どうするんだ? やっぱり今日はメチャクチャ人が多くて、アトラクションに

並ぶだけでも何時間並ばなきゃならないぞ?」


 人混みが苦手な真嗣は、その労力を考えただけでも気疲れがしているようだった。


 しかし、そんな真嗣の気がかりをカレンは不敵な笑みで一蹴する。


「心配するななのだ。こんな事くらい予測済みなのだ。だから、カレンちゃんには秘密兵

器があるのだ」


 すると、カレンは入場券とは別のチケットを懐から取り出す。


「なんだ、これは?」


「これは特別優待チケットなのだ。これがあれば、普通のチケットしか持っていない客と

を尻目に特別口から順番待ちをせずにアトラクションを楽しめるシロモノなのだ!」


 そして、カレンは誇らしげに胸を張るのだった。

「でも、これは普通に市販されていて、金さえ出せば一般の客も買えるチケットなんだろ? 

大勢の人間がこの特別チケットを買っいいたら、やっぱりそれはそれで長蛇の列に並ばな

いといけないんじゃないのか?」


「甘いのだ。真嗣。この特別チケットの購入金額は購入者の任意で決めていいのだ。そして、その金額の多寡によって特別チケット購入者の中でも順番待ちの優劣が発生する……つまりこの特別チケットに払う金額が高ければ高いほど、順番抜かしができてしまうのだ!」


「そうか……」


 そのあまりの拝金主義と資本主義の原理を隠そうとしないシステムに、乾いた笑いを浮かべる事しかできない真嗣。


「それで、オマエはこの特別チケットをいくらで購入したんだ?」


 そして、チケットに印字されている購入金額をみて、真嗣の顔から血の気が完全に消え失せる。


「おま……これっ……!」


「大丈夫なのだ。こんな金額、今週の天皇賞の一着賞金を考えれば微々たるものなのだ! さあ、ウダウダ言っている時間がもったいないのだ!」


 そして、真嗣の腕を引っぱるカレンだったが、心の中であかりに感謝する。


〝全部、あの女の言うとおりになったのだ〟


 河川敷で会話した時にあかりは最後にアドバイスをしてくれた。


『宇高くんはやさしいから、カレンちゃんがしおらしく素直に謝ったら、何でも言うこと聞いてくれると思うよ』


 そして、実際にあかりの支持を試してみると、全てがうまくいったのだった。


〝あの女には後で礼をするのだ〟


 そして、満面の笑み真嗣とのデートを楽しむのであった。



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