第八十四話
「で、貴方たち、どうして出てきたの?レベッカ王女が目覚めたから?」
レイリアは妖精達に近づいた。すると妖精達はレイリアを見て驚いていた。
『ヤダ!何この子?』
『女神さまの加護も持ってるわ!!』
『しかも結構強い力よ?!』
などと言ってるところへ。アレクも乗り出してきた。
「へー妖精って『祝福』のことわかるんだな」
『きゃーーー!こっちは人間のくせに、ドラゴン様の魔力を感じる?!なんなのよーー??』
「あ、俺のこともわかるんだ?」
『当たり前でしょ!人間のくせにドラゴン様のオーラを纏ってたら嫌でもわかるわよ!』
「あの、驚いてるところ話しているところ、悪いんだけど、質問に応えてもらっていいかしら?」
『あ!そうだった!!』
すると、コホンと咳ばらいをし、ペルは驚くようなことを言った。
『私達はね、もともとレベッカのことはお気に入りだったの。』
「うんうん、それで?」
『そのレベッカがよ!他の子に意地悪されていたのよ!』
「えっ?そんなことが?!」
ちょっと予想だにしていなかった内容にレイリアは驚いたが、すぐ傍にいるリョクが頷いていたので、それが真実であると納得した。
『だったら、匿うしかないじゃない?だから夢の世界に閉じ込めたの!』
「そういうことだったのねぇ・・・」
ざっくりだが、事の経緯的に、妖精はきまぐれとはいえ、今回はレベッカを守ろうとして、今回の騒動に繋がったのだなと、レイリア達は納得した。
『そこへよ!!まさかルネ様の生まれ変わりの方がいらっしゃったのよ!!』
「え?!知ってるの?」
「夢の中でな」
「あーなるほど」
リョクが素っ気なく言うと、レイリアは納得した。
『ならばもう、お傍にいるしかないじゃない!!』
「え?だから出てきたの?」
『当たり前じゃない!!』
「うーんと、つまり貴方は、精霊のルネさんと面識があった訳ね?」
『当たり前じゃない!私がお仕えしてた方だもの!!』
エッヘンっとしたポーズで、ペルはドヤっていた。
「まぁ簡単に説明するとな。妖精の上位互換が精霊だと思ってくれたらいい。そして妖精は精霊の言うことには、絶対だ。」
「つまり、自分達の女王みたいなものか・・・」
ぼそっと言ったアンソニーのつぶやきに、
「その通りだ。」
リョクは相槌をうった。
妖精の一人、ピンクの髪の妖精のランは、おずおずと手を挙げ、
『あの、私とルルちゃんは違うから。ペルちゃんはお水を司るけど、私達は違うの。でも属性が違うけど、ルネ様がえらい人というのは変わりないので。』
「あーなんかソレわかるわ。ちなみになんだけど、貴方たちは何を司っているの?」
『ランはね、お花よ。ルルちゃんは火ね。』
「つまり、髪の色でわかるものなのねー」
妖精たちの瞳はつぶらで黒目だが、髪色で属性がわかるのだなと、レイリア達は納得した。
「まぁ経緯はわかったわ。だけど、こんなことしてタダで済むとか思ってないわよねぇ?」
『『『ひぃっ!』』』
レイリアが、ゴゴゴゴッと効果音がしそうな、どアップで妖精達に迫ると、妖精達は怯えていた。
その頃、リンデルベルク帝国のとある寝室にて___
ベッドに仰向けに横たわっていた黒髪の男は、ハッと何かに気が付いた。そして、目を瞑り、何かをしばらく考え、側にいた家臣に口を開いた。
「叔父上を、呼んでくれないか・・・」
「ラムレス様をですか?」
家臣は驚いていた。なぜならあまり交流がない者同士だということは、周知の事実だったからだ。
「そうだ・・・多分もう気付いているだろうけど・・・」
「?わ、わかりました。直ちに呼びに行ってまいります!」
家臣はその男に言われ、慌ててラムレスを呼びに言った。黒髪の男は、上半身を起こし、陽射しが差し込んでいる窓を見ながら、
「・・・まさか急に覚醒するなんてな。いや、そもそもそういう運命だったのかもしれない」
黒髪の男は自嘲気味に、自分に言い聞かせるようにつぶやいていた。




