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第七十六話

 「さぁー!これで一気に解決よね!」


 レイリアは両手で拳を作ると勢いよく立ち上がった。


 「リア気がはえーな。」

 「だってじっちゃん、リョクが卵から孵ったんだから万事解決でしょ?」

 「うーん、どうだろうな?まだお姫様が眠ってる件とリョクがどう繋がってるのかは、何もまだわかってねぇだろ?」

 「あっ!言われてみればそうだった・・・」


 ヴァンに冷静に言われレイリアは反省した。


 「リョク、どうなんだ?お姫様が眠ってる件は何かわかるのか?」


 アレクがリョクに聞いてみると、リョクは少し考えこみ、


 「・・・すまんが、女王に会いに行こうか。」


リョクのその言葉で、女王に再度謁見を申し込んだ。







 「おぉ!卵が孵ったとな!なんと美しい・・・」

 

 女王ミルネスへの謁見を申し込むと、すぐに女王自らレイリア達のいる客室にアントニーと共に姿を現した。ミルネスはリョクを見ると、目をキラキラさせてペチペチと触っていた。


 「幼体のドラゴンがこんなに可愛いとは、しかし孵ってよかったのぅ。」


 ルミナスは頬を上気させ、本当に嬉しそうにリョクを撫でていた。そんな様子をレイリアはアレクとヒソヒソ話していた。


 「どっかでトラと竜は仲が悪いって話をことわざか何かで聞いたような気がするんだけど・・・」

 「あぁ、そういや聞いたことあるかも。」

 「実際はそんなことないんだなーって、今思っちゃった。」

 「リアねぇさん・・・」


 こんな時に何を考えているのかと、アレクは少々呆れていたが、レイリアが何かに気が付いた。


 「気のせいかな?」

 「どうしたの?」

 「リョクの女王を見る目がね・・・?」

 「どういう意味だ?」


 レイリアに言われ、アレクもリョクを見てみると、リョクの目には涙がたまっていった。そしてリョクの口から放たれた次の言葉に驚いた。


 「・・・ルネ・・・覚えてはいないか?」 

 「「??!!」」

 

 一同は驚き、ルネと言われたミルネスは何のことかわからず、首を傾げ、


 「るね?・・・とはなんのことじゃ?」

 二人の様子に、レイリアは自分が今まで思っていたことをアレクに告げた。

  

 「ごめん。私てっきり今までの流れ的にレベッカ王女がルネさんの生まれ変わりかもって思ってたんだけど・・・・」

 「俺もそう思ってた・・・」

 「まさか、そうきたとはねぇ。」


 ヴァンは感慨深く、リョクとミルネスの様子を見ていた。

 

 「・・・そうか、やはり覚えてはおらぬか。」


 リョクは微かに期待をしていたが、ミルネスには何のことだかわからなかった。転生前のルネが精霊であったことから、少し期待していたのだ。だが彼女は前世のことなど全く覚えていなかったのだ。


 「覚えては、とな?はて、其方のような美しい緑の鱗をもった竜など一度見たら忘れるとは思えぬが・・・?」


 ミルネスは考え込んでいたが、やはり身に覚えがなかった。


 「いや、わからないなら、それでいい。ではミルネスよ。娘のいる寝室へ連れて行ってくれるか?」

 「おぉ、小さくともさすがドラゴンなのじゃな!娘はレベッカを目覚めさすことができると?!」

 「うむ、さすがに卵の身ではどうにもならなかったが、このように幼体でも、そのくらいは造作もないぞ。」

 「「「おぉーーー」」」


 一筋の光明が見えたことで、一同は沸き立ったが、レイリアはリョクが少し寂しい目をしていることに気が付いていた。


 『リョク・・・そうだよね。会いたかった人だったけど、覚えてもらってないって辛いよね・・・それでもリョクは・・・』


 リョクの気持ちを考えると、レイリアは切ない気持ちになっていた。


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