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第七十五話

 「うっ・・・・」

 「アレク?!」

 「あぁっ!」


 アレクは目を覚まし、ベッドからそのまま飛び起きた。


 「そ、そうだ。俺あまりにに痛くて、そっから?」


 アレクは手で顔を覆いながら当時のことを思い出していた。

 「うん、その後気絶したのよ。」

 「そうなんだ・・・」


 レイリアからその後のことを聞かされアレクは納得した。 


 「あと、アレク自分の身体を上半身を見てくれる?」

 「え?あっ!」


 上半身を見るまでもなく、袖から覗いている自身の腕を見てわかった。


 「金の鱗・・・・」


 「竜紋」の証である金の鱗が、以前よりも明らかに範囲が広がり色も薄っすらだったものが、濃くなっていた。 


 「そうか・・・」

 「それって、やっぱり何らかの力を得たってことなんだよね?」 

 「うん、多分そうだと思う。」


 そんな会話をしていたら、部屋にヴァンが入ってきた。


 「アレク、大丈夫か?!」

 「じっちゃん、ごめん。心配かけた。」

 「まぁ見たところ、大丈夫そうなら、それでいい」


 そういうとヴァンはアレクの頭をわしわしと撫でた。アレクはそんなヴァンの仕草に心配してくれていたのが嬉しかった。


 『・・・すまなかったな。私の為に無理をさせてしまった。』


テーブルに鎮座した卵から声が聞こえた。リョクの声からも申し訳なさそうにしているのが声だけでも伝わった。

 

 「気にしなくていいよ。初めから危ないかもって教えてくれていたし、それに決めたのは俺だ。」

 『アレク・・・』

 「さ、こうしちゃいられない!」


 アレクはそういうと、ベッドから起き上がった。そして軽いストレッチ運動をしながら、リョクに言った。


 「これで、リョクに魔力補助をすることができるだろ?早速やるか?」

 「アレク!まだ起きたばっかりじゃない!大丈夫なの?!」

 「うん。大丈夫。それに『竜紋』のせいか、なんか力が身体にみなぎってるのが、わかるんだよね。」


 そういうと、アレクはグッと手をグッと拳を作った。


 『そうだな。確かに追体験する前とは雲泥の差で力が増幅されたのがわかる』

 「金の竜は、リョクの言うとおりだった。確かに俺と言うか、俺の血筋、つまりはご先祖様だけど、良い感情は持ってなかったよ。だけど、同胞のためならってことで力を貸してくれた。」

 『そうか。絶対の保証ではなかったが、助力を得られてよかった。』

 「じゃリョク、どうしたらいいんだ?」

 『卵に手を触れてくれ。自分の魔力を卵に送ると念じてくれたらいい。そうしたらその思念を私が掴むから。そうすれば魔力を送ることが可能だ。』

 「わかった。」


 アレクはテーブルに鎮座してる卵に手を置いた。すると、アレクの身体は金色のオーラに包まれ、卵もまた美しい緑色のオーラを纏っていた。すると、


 「あぁ!卵のひびが広がってる!!」

 

 レイリアの声と共に、卵は元々のひびかドンドン一気に広がっていき、卵の殻がポロポロと落ちていった。すると中からは、


 「え・・・かわいい・・・」


 卵からでてきたものは、先の洞窟で見たグリーンドラゴンの正にミニチュアバージョンの幼体の小さなドラゴンであった。緑の鱗は以前見た時よりも、鮮やかに見えた。


 「うむ、世話になったな皆の衆。」

 「あ、喋れるんだ。って今までも喋ってたわね。」


 リョクは小さなドラゴンの姿で、アレクに向き合った。


 「リョク・・・良かったな。」

 「アレク、本当に助かった。其方がいなかったら私は孵化するまでにまだ時間がかかっていただろう。でなければせっかくルネが転生しているというのに、もしかしたら会えずに終わっていたかもしれなかった。礼を言う。」


 リョクはそう言うと深々とアレクに頭を下げた。


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