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第六十七話

 「この方が、王女の・・・・」

 「はい、レベッカ王女です。」

 

 レイリア一行は、レベッカ王女の寝室にやってきた。

 ベッドに横たわるレベッカの寝顔を見て、驚いていた。これまた母親とは違うテイストであるものの、銀色の長いストーレートの髪型の儚げな美少女だったからだ。年の頃は、レイリアよりは年下に見えた。


 『あ~やっぱり猫耳が付いてる!こちらの王女様は色っぽい女王とは正反対な感じで清楚系な美少女って感じなのね。・・って、んん?』


 レイリアはレベッカの頭を見てあることに気が付いた。そしてついミルネスと見比べてしまい、その様子をミルネスは見逃さなかった。


 「・・・もしかして気が付いたのかや?」

 「え・・・と・・・」


 レイリアはそれを言っていいのか迷った。だがその心配は杞憂で、


 「なかなか鋭い娘じゃな。そう妾とは耳の形が違うと気が付いたのだろう?」

 「はい・・・」

 「え?あ、ほんとだ。」


 レイリアのすぐ後ろにいたアレクも、覗き込むように見て気が付いた。ミルネスの耳はトラ族ということもあって、耳の先は丸みを帯びていたが、眠っているレベッカの耳の先は、猫の耳のように角になっていたからである。


 「このこはの、妾の養女なのじゃ。」

 「え?」

 「妾がまだ女王になる前に拾った子でな。それから娘として育てているのじゃ。だから妾が女王になったことで、この子は王女になったということじゃ。」

 「?!」


 レイリアは一瞬言葉にならなかったものの、合点がいった。

  

 「えっとそんな大事なこと教えてもらっていいんですか?」

 「別に公にしているわけではないが、特に秘密にもしているわけではないからの。それにこれから娘の眠りから解放するためにも、知っておいた方がいいかもしれんと思っての。」

 「なるほど・・・」


 レイリアは、ミルネスの言い分に納得した。


 「アレク、どう?卵に何か変化はある?」

 「いや、特にはないな。」

 「そっか・・・」

 

 竜の卵が近くにいれば、何か変化が起きるかもしれないと思っていたが、そうでもなかったことに、少し失望した。


 「あとは・・・」


 もう一つの可能性、『呪い』でレベッカ王女が眠らされているのなら、レイリアの『祝福』である『解呪』が有効手段であることから、レイリアは眠っているレベッカをジッと見つめた。だが・・・


 『んん??あれ?呪われて・・・いる?』


 眠っているレベッカを凝視していたが、呪い特有の黒いモヤがレイリアには全く見えなかったのだ。こんなケースは初めてであったが、もう一度よく目を凝らしてレベッカを見た。しかしやはり黒いモヤは見えなかった。

 レイリアの『祝福』は見えている黒いモヤを退ける祈りを捧げて、今まで『解呪』してきた。だから見えていないものに、解呪したことはなかったのだ。ということは・・・

    

 「え?これって・・・まさか?!」


 レイリアは動揺していた。その様子を見ていたヴァンがレイリアの肩に手を乗せ、


 「そうか、つまりこれは『呪い』ではなかったてことだな。」

 「じっちゃん・・・」


 ヴァンの言葉にレイリアは頷いた。


 「なに・・・呪いではない・・・というのかや?」


 ミルネスは目を見開いて驚いていた。ミルネスも、断定していたわけではないが、大方はレベッカの眠りは呪いのものではないかと、思っていたからだ。そしてミルネスの言葉に、


 「女王様、すまねぇが現時点では呪いではなかった。ってことだけは判明したってことだ。」

 

 ヴァンは、少し申し訳なさそうな表情をしながらも、はっきりと告げた。



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