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第二十三話

 「さーてと。なら面倒なことはとっとと終わらせましょうか!」

 

 レイリアはそう言うと立ち上がって思い切り伸びをした。


 「リアどうするんだ?」

 「んーとね。待ってるのは、性に合わないから、行って終わらせてこようかと。ちょうど、仕事もキリよく終わったことだしね。」

 「「「!!」」」

 「リアねぇさんもしかして、乗り込むってこと?!」

 

 レイリアはニカっと笑うと、

 

 「アレクわかってるじゃない、その通りよ!」

 

 ヴァンは急に笑い出して


 「ぶっはっはっはっは、リアらしいな。いいだろう俺も付き合ってやるぞ、保護者としてな!」


 そういうとヴァンはニヤリと笑った。


 「お、俺ももちろん一緒にいくよ!!」

 

 慌てたように、アレクも参加を表明した。


 「悪いが、俺はパス。一応肩書きがあるしな。」


 レイリアはギードを見て、首を縦に振った。

 

 「わかってるわよ。おじさまはギルドマスターだし、家族もいるからね」

 「ま、それに俺がいかなくても・・・な。ただでさえ過剰戦力だしな。」


 ギードはそういってニヤリと笑った。


 「さーっなら準備して、今日の夕飯にはボアファングのステーキ食べてスタミナつけて、明日には出発よーー!」

 「リアねぇさんは本当にいつも思い立ったら早いね・・・」

 「当たり前じゃない!嫌なことはとっとと終わらせた方がいいでしょ!」

 「確かにな。あぁ通行証については俺が発行しておくから、あとでアニタんとこ行っといてくれ。あとついでのボアファングの肉だが、あり余ってるだろ?」


 ギードの言う通行証とは、自国から他国、もしくは他国から自国などに行くための証明書である。ギルドプレートだけでも通用するがその場合は手続きに少々手間取ってしまうのだ。通行証であれば、スムーズに出国入国が可能なのである。

 

 「あ、そうだった!今日食べても明日からいないんじゃ全部消化できない・・・」


 レイリアとアレクは地味にショックを受けていた。


 「なら余りは俺にくれよ。そのかわりに女房の手料理でどうだ?」

 

 ギードがそういうと、二人はすぐに反応した。

 

 「!ターニャさん手料理!」

 「食べたい!!」 


 ギードの妻のターニャは食堂を経営しているので、料理の腕はプロ級なのだ。レイリアやヴァンは既に御馴染みだが、アレクも何度か通ってすっかりターニャの料理のファンになったのだ。

 

 「よし、なら商談成立だな。なら今日の夕方には『ねこのにくきゅう亭』に来てくれ。」

 「「やったーーー」」

 「ふふん、ほんとお前らは緊張感ないな。」   


 二人は無邪気に喜び、そんな二人をヴァンは呆れつつも、頼もしく思っていた。




 


 そして、日中に隣国に行くための準備をする為に買い出しをし、その日の夕方には『ねこのにくきゅう亭』にて、レイリア達だけでなく、受付嬢のアニタやギードとターニャ夫妻に二人の子供達も参加して賑やかな夕食時間となった。



 「とっとと解決して帰ってこい!」

 「リア、アレク帰ったらすぐにうちに食べに来るんだよ!」

 「「リアねーちゃんアレク、帰ったらあそぼーねー」」

 「ヴァンさんレイリアさんアレク君、絶対帰ってきてね!」


夜はみんなに見送られ、しばしのお別れとなった。

   


 「・・・なんだかんだ心配されてるんだよね。」


 レイリアがボソッというと、ヴァンはレイリアの頭をわしわしと撫でた。

 「そうだ。心配しないわけがないだろう。お前はもうこのサザの街の住人なんだから。」

 「うん!」

 「・・・・・」


 レイリアはこみ上げる気持ちに、絶対に解決して帰ってこようと決めていた。


 『もう絶対に、帰ってこいなんて言えなくしてやる!私はこのアーレンベック共和国のサザの街のレイリアなんだから!』


 レイリアは悪縁を断ち切ろうと意思を固めていた。そしてアレクもまた秘かに決めていることがあった。


 『リアねぇさんのことが解決したら、その時は・・・・』


 それぞれの決意を秘めて、一行はレイリアの生まれた国、クライブ王国に向かった。


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