第百二十四話
アレクは結局、ファーレンハイトから国外追放を言い渡された。
本来であれば、アレクは金の竜に乗っ取られ、故意でなかったことから、不問にしようとファーレンハイトは思っていたのだが、アレクがそれを拒んだ。
アレクは、レイリアとヴァンと共にサザの街に帰ることを決めたのだ。
冒険者ギルドゼルタにて___
「えーー!!アレク君、久しぶり!!いつの間にこっちに帰ってきたの?!てか、すっごくかっこよくなってるし!!」
そういうと、カルロッタは頬を赤らめてアレクの腕に絡みついた。アレクは腕を振り払おうとしたが、その前にすかさずレイリアがそれをベリッと擬音が聞こえそうな勢いで引き剝がした。
「ちょっと!やめてくれる?!私のアレクに!」
「「!!!!」」
「え・・・ちょっと待って、今の発言って・・・もしや付き合って・・・るの?」
カルロッタの問いに二人は真っ赤になるも、レイリアは否定した。
「ちちちちち違うわよ!家族として!よ。」
「家族・・・・」
それを聞いたアレクはあからさまにショックを受けていた。
「あのね、言っておくけど!!」
レイリアはカルロッタの前に立って腕組をし、少しふんぞり返った。
「アレクの付き合う女の子はね、この!私の!御眼鏡にかなうような子じゃないとダメなのよ。だからカルロッタは論外ね!」
「ちょ!!なんで私が論外なんですか?!レイリアさん、失礼だわ!!」
(当たり前でしょ。男をとっかえひっかえするようなこ、アレクにふさわしくない)
レイリアがそっぽ向いてボソッと言うと、(レイリアなりに他に聞こえないように配慮した)カルロッタは顔を真っ赤にして、反論した。
「なによ!強すぎて誰にも相手にされないくせに!!」
「ふーんだ。こっちこそ軟弱な男なんてお断りよ」
レイリアはアレク以外の異性に興味がなかったので本心だったが、それを聞いていたアレクは少しばかりショックだった。
『やばい!リアねぇさんを超えないと、俺ずっと男として見てもらえないじゃん!!てか、今のリアねぇさんS級だぞ?!俺、超えられるのか?いや、せめて同じくらいにに・・・』
「??」
アレクがブツブツ言ってる様を見て、レイリアは不思議そうにしていた。
「レイリアさん!話はまだ終わってないわよ!」
そしてまだレイリアとカルロッタはギャンギャンと言い争っていたが、そんな光景を受付にいたアニタとカウンターに座っていたヴァンは微笑ましく見ていた。
「ふふ、やっぱりこうでなくちゃですね」
「あぁ、そうだな」
「とにかく!アレクに言い寄りたいなら、最低限身の回りの(男の)整理をしてくることね!今の状態はお話にならないわ!!」
レイリアがビシッとカルロッタに向けて指差して物申すと、カルロッタは悔しそうに「ふん!」という捨て台詞?と共にその場を後にした。そして入れ違いにカウンター奥からギードが書類を持って現われた。
「ん?なんかあったのか?まーいいや。おいリア、指名依頼が入った。行ってくれるか?」
「了解よ」
レイリアは依頼内容を見ずに即答だった。
「ちょっと、レイリアったら依頼内容まだ聞いてないのに、決めちゃって大丈夫なの?」
アニタが少し笑いを堪えつつも言うと、レイリアは
「ふーんだ。大丈夫でしょ?だって今は、」
レイリアはアレクの方に振り向き、
「アレク、ね?もちろん行くでしょ?」
「あぁ、もちろん御供するよ」
レイリアはいたずらっ子のように微笑み、アレクも微笑んだ。
「ほーらね!おじさま、じゃ依頼内容教えてちょうだーい!」
『あぁ俺は・・・きっと生涯この人に逆らうことなどできないだろう。』
アレクは目を細めレイリアを愛おしそうに見つめながら、そう思うのだった。
ラスト残り1話