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第百十八話

 『なーんて言ってはみたものの、どうしましょうかね?身体はアレクだし、当然傷はつけられないし・・・』


 レイリアは立ち回りながら考えていた。確かに腕には自信があるものの、かと言ってむやみにアレクの身体を傷つけるわけにはいかない。アレクの身体を傷つけず、相手を拘束しなければいけないのだ。そこまで考えて、今更ながらレイリアは気が付いた。


 『・・・うーん、私めっちゃ不利じゃない?』


 今のアレクこと金の竜は、躊躇なく魔法も使ってくるので、周りを気にすることもなくレイリアに容赦なく襲ってくるだろう。だが、レイリアにはそれができなかった。魔法は広範囲で威力も大きく、対象者だけでならいいのだが、周りにある建物にまで被害が及んでしまう。一緒になって魔法を駆使すれば王宮だけでなく、側にある王都にまで被害が拡大することを考え、レイリアは武器で対抗するしか選択肢がなかったのだ。

 そして金の竜は過去に国を相手にし、何万と言う兵士達を亡き者にしてきた、という実績もある。戦闘経験としては、申し分ないのだが・・・


 『・・・うーん、ブランクにかけるしかないわね』


 などと、レイリアは戦いの最中に思っていた。


 金の竜の腕からは、手首から鎌のような形をした硬質化した刃物がいつの間にか形成され、それと尻尾を駆使してレイリアに襲い掛かっていた。レイリアはそれらを剣でいなし、防戦の一途だった。


 「なんだ?!先ほどは大口を叩いた割には、全然仕掛けてこないな?!」

 「っるさいわねぇ、こっちにだって事情があんのよ!」


 だが、当然金の竜もわかっていた。


 「甘いことだ。どうせこの身体がアレクのものだから、攻撃できないのだろう」

 『うーんやっぱバレバレよね』

 「だが、そんな心配は無用だ。もうすぐ竜化が終われば我の身体となるのだ!気にせずかかってくるがいい!!」

 「正々堂々風に言ってるけど、そういうわけにいかないでしょ!!」


 ガキーン!!

 『くっ!重い!!』


 いうや否や、至近距離からの金の竜の一撃にレイリアは剣で受け止めたものの、今の攻撃はかなり重たかったので、レイリアの腕はジンジンと痺れていた。

 そしてその隙を金の竜は見逃さなかった。瞬時にレイリアに向かって手を翳し、魔法陣が現われた。


 「『雷轟』(らいごう)」

 「しまっ!!」


 金の竜が放った雷魔法は、広範囲でレイリアを包み込むようにに直撃した。


 「きゃぁあああああ!!!」


 その衝撃でレイリアは吹っ飛び、レイリアは壁に打ち付けられた。途端、壁はその衝撃で内側にめり込んでしまい、砕けた壁材の破片が鈍い音を立てて床に散らばった。


 「っつぅ・・・」

 「ほう?生きてるのか?」


 金の竜は少し驚きつつも少し嬉しそうな表情だった。


 「・・・いたたた・・・お陰様でね」


 レイリアは雷魔法が直撃したことと、壁に打ち付けられたことで、衣服はボロボロになっていた。壁材の破片にもたれかかっていたが、ヨロヨロと立ち上がった。


 「多少はこっちも対策はしてるからね」


 レイリアはボロボロながらもニヤッと笑い、腕をまくってアクセサリーをしている腕を見せた。


 「・・・なるほど、みどりのからの入れ知恵というわけか」

 「まーね。備えあれば憂いなしってね。」


 レイリアはリョクから聞いていた。金の竜は主に雷魔法を使うと言うことを。だから念のため、魔法防御の加護のあるアーティファクト(魔道具)の腕輪を身に付けていたのだ。そのため魔法のダメージはほぼなかった。ただ吹っ飛んだことで、衝撃で物理的なものは躱しようがなかったが。


 「だけど直撃食らったから、一瞬でこのざまね。流石ってところかしら?」


 レイリアの言うとおり、護身用に付けていたアーティファクトは粉々に崩れ落ちていった。


 「ふん、次はないぞ?」

 「私もまた当てられるつもりはないからね」

  

 レイリアは体制を整え剣を構え、金の竜も腕を刃物のように構えて、二人はお互いを見据え対峙していた。


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