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第百十六話

 数日前___


  

 レイリアの元に、ある男が訪ねてきた。


 冒険者ギルド、ゼルタにて____


 カラン

 その日、見慣れない長身の男がギルドに入店した。


 「なんだ?」

 「すっげえイケメン・・・」

 「ステキ・・・」


 その男は、深緑の髪に金色の目を持つその麗しい見た目から注目の的だった。カウンターの中にいた、受付嬢のカルロッタも目を輝かせていた。その男は受付カウンターに真っ直ぐ向かい、そしてカウンター席に座っていたレイリアに声をかけた。


 「歓談中、失礼」


 その声にアニタと話していたレイリアは振り返った。


 「レイリア、久しぶりだな」

 「・・・・えーと誰?」

 「え?」

 「「・・・・・」」


 二人の間に少しの沈黙が流れたが、その男はあることに気が付いた。


 「あぁ、そうかこの姿だからわからないのか。私だ。リョクといえばわかるだろう?」


 それを聞いてレイリアはじろじろと長身の男を見た。すっかり大人になってはいるものの、緑の髪と金の瞳の美丈夫の男は、子供の頃のリョクの面影がしっかりと残っていた。


 「あぁ。確かに言われてみれば子供の時の姿の名残があるわね。リョク、大きくなったのね!!って五年も経てばそうか。いや、五年だけで大きくなりすぎじゃない?」


 レイリアはリョクとの再会を喜んでいた。リョクも嬉しそうにはしていたが、次の瞬間には少し困ったような顔をして、


 「すまないが、今は再会を喜んでる場合でなくてな」

 「あら?もしかして何かお仕事の依頼ことだったりする?」

 「いや、それよりも重要なことだ」

 「重要なことって?」


 リョクは真剣な顔で言った。


 「アレクの危機だ。レイリア力を貸してくれ」

 「!!」


 アレクの名を聞いて、レイリアの目が驚きで見開いた。そしてその内容に途端に動揺した。


 「ど、どういうこと?アレクが危ないって・・・」

 「そうだな。ここでは・・・」

 「なら奥へ、奥の部屋に入ってください!」


 そこへすかさずアニタが機転をきかして、奥の部屋に誘導した。





 「で、アレクが危機ってどういうこと?!」


 レイリアは、リョクがソファに座るなり、問い詰めた。

 ギルドの奥の応接室に二人は通され、テーブルを挟んで対面する形で二人はソファに座った。 


 「つまりだな、このままではアレクはアレクでなくなるということだ。以前にアレクの一族は金の鱗が身体の皮膚に発現しているのは知っているだろう?」

 「えぇ、確かそれを『竜紋』というのよね。そしてその金の鱗の範囲が広ければ広いほど、力が強いんだったわよね」


 レイリアの言葉にリョクは頷いた。


 「確かに金の鱗が広範囲であれば、それだけ金の竜の力を使えるから身体能力は高くなる。だがな、」

 「だが?」

 「あれは実は、諸刃の剣でな。その分死期が早まるのだ」

 「えぇ!!」


 レイリアは驚いた。まさかそんな危なっかしいものだとは思ってもみなかったから。 

 

 「じゃ、じゃアレクは?!!」

 「アレクは、そうではない。その心配はないが、むしろもっと厄介だ。」

 「どういう意味?」

 「それは・・・私のせいでもあるんだ。」

 

 リョクは申し訳なさそうに視線を落とした。


 「・・・もしかして以前の?」

 「そうだ。私に力を貸してくれたから、無理やり金の力を引き出しただろう?そのせいで、アレクは金の竜に目を付けられた。」

 「目をつけられたらどうなるの?」

 「恐らくだが、今までも金の竜はずっと目論んでいたのだろう。だが、それに見合う身体がなかった。そこへアレクだ。私への力の譲渡で、アレクの身体はやっと金の竜の理想になってしまったんだ」


 ここまでの説明でレイリアはリョクの言わんとすることが理解してきた。


 「まさか・・・」

 「そうだ。アレクの身体は金の竜に乗っ取られる。そしてアレク本人の意識は消えてなくなってしまうだろう」

 「なんですって!!!」


 レイリアは思わず立ち上がった。


 「行ってくる!!!」


 そういうと、今にも部屋を飛び出しそうになっていたが、リョクが慌てて止めた。


 「待て!落ち着くんだ!!」


 リョクはレイリアを行かせまいと、手首をつかんだ。


 「なんでよ!!アレクが!!アレクが!!放してよ!早く行かな・・」


 レイリアは焦っていた。アレクの危機に、一刻も早く向かわなければと、パニックになっていた。しかしリョクが大きな声で言った。


 「まだ続きがあるんだ!!最後まで聞け!!」


 その言葉にレイリアはストンとへたり込んだ。リョクも屈んで幼子を諭すように言った。


 「レイリア、気持ちはわかる。だが焦ったところで、いい結果は得られない。だから、話を最後まで聞いてくれ」


 リョクの言葉にレイリアはコクンと頷いた。 


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