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1話
「音羽ちゃん!罰ゲーム決定!」
司会モデルの声がスタジオに響き渡った。
「………無理」
「では音羽ちゃんには別室で準備をしてもらいます」
収録本番中にふさわしくない顔をしている私にお構いなく進行される。
「きゃー!かわいそー」「恥ずかしいけどがんばってねぇ」「うわぁ…」
無名モデル達が悲鳴に近いリアクションを取る
私にとっては屈辱を煽っているようにしか見えない。
「ちょっと!」
いきなり清潔感の欠片も無い男ADに手を掴まれスタジオの端に連行された。
「時間ねぇから早くしろよ」
そこは申し訳程度のパーテーションで区切られた空間。
「別室ってここなの!?」
ADは当たり前だと言い残し持ち場に戻った。
「ありえない……」
無名モデルからの嘲笑、ADすらも雑な対応、着替えをするのに別室も与えられない扱い。
そして目の前にある罰ゲーム衣装。
私は自分の立場を嫌でも理解させられた。
「これが下積みってことなの」
私はツルツルの感触をさせる真っ黒の全身タイツを摘みながら呟いた。