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蛍火(けいか)<辺境伯の息子と異世界転移者>  作者: 柴崎りょう
1章:ルーク編(辺境伯の息子)
10/33

9-アンチコード

異世界語録

「龍神」・・・唯一神

「龍神石」・・・天福(龍神の与える幸福)をもたらすための触媒

「龍石」・・・龍神石の略称

「神格者」・・・(現在では)龍神石に干渉できる者

「龍造人形」・・・神格者の手によって造られた人工物

「収録」・・・龍造人形に意図した内容をインプットする行為



第9部 アンチコード


「待て!シェパード(龍造犬)から離れろ!」

ルークの警告は時すでに遅く、戦士の腕は切り落とされていた。激痛のあまり体を丸めてうずくまる戦士にシェパード(龍造犬)は再度尾刀を振り下ろすーーー

フリージアでさえ哀れな戦士の末路を直視することができなかった。彼女は目をつぶって戦士の安寧を祈った。

「どうか安らかに・・・」

しかし、鳴り響いた音は人が切り裂かれる鈍い音ではなく、澄んだ甲高い音だった。

シェパード(龍造犬)の刃尾をルークが刀剣で受け止めていたのだ。


(僕は何をやってるんだ?考えなしに飛び込んでしまった。この後はどうすばいい?・・・ええっと・・・だめだ何も考えられない)

先のことを考えようと躍起になればなるほど濃霧のような白いモヤが頭を覆っていく。


そんな中、シェパード(龍造犬)の強さを理解した戦士の一部が恐怖に慄き、背を向けて逃げ出してしまった。

それを皮切りに、ルークと向き合っていたシェパード(龍造犬)の目玉が、琥珀色から警告色の深紅に急変し、正面にいるルークを無視して、逃げ出した戦士たちを文字通り目の色を変えて追いかけていく。


ロックはシェパード(龍造犬)の猛攻を耐え抜いたルークに肩を貸して、くずれるように座りこんだ状態から立ち上がらせた。

「すまんルーク、あの一瞬・・・空気に呑まれて俺は一歩も動けなかった・・・お前はスゴいよ」


だがルークは顔を紅潮させて怒りを隠そうともせず吐き捨てるようにいった。

「クソったれ!ロック!収録内容が分かったぞ」

悪意に満ち溢れた最低最悪な収録だ。これが見世物として観客を喜ばせる娯楽になっているのか?

(許せない)


彫刻が施された金のゴブレットグラスを揺らしながらグレン・C・ワイスバッハは赤い瞳を開かせ笑みをこぼしていった。

「背を向けて逃げる卑怯者は殺せか、きっちりと機能しておるな」


グレンは続け、桟敷席(上級の観客席)に同席していたルークの父親パウロ辺境伯に目を移すと薄ら笑いを浮かべ語りかけた。

「これからの国境戦、この安物の人形で代用できるな。人に比べ圧倒的に強く、戦争コストも低い。そして、何物にも代え難い絶対の忠誠が約束されている・・・死を恐れぬ最強の兵となるだろう。ほのおの辺境伯よ、貴殿の出番は()と少なくなるかも知れぬが・・・()()()()はこれからも安泰、そう思うだろう?」






ご愛読ありがとうございます!


9-アンチコードの後半(投稿)は来週を予定しております。これからもよろしくお願いいたします!


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