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蛍火(けいか)<辺境伯の息子と異世界転移者>  作者: 柴崎りょう
1章:ルーク編(辺境伯の息子)
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プロローグ


昔は要所として栄えた”海に浮かぶ古城”は、贅ある限りを尽くし溺愛され育った哀れな貴族の息子同様、見栄のみが先行し、中身のない恥知らずの伽藍堂と揶揄されひっそりと歴史の中に埋もれていく遺物でしかなかった。


そして今、朽ち果てた城に行き来できる唯一の大橋が人策によって意図的に崩壊し、完全に孤立している。


因果なのだろうか、思わず顔に出てしまった嘲笑を制し、これから戦場となる舞台を悠然と見下ろす。


蒼白い月光に照らされた”海に浮かぶ古城”を最後の砦とし、逃れる場所がないことを悟り決意した領民たちは、農機具の鍬や鋤、身幅の大きい包丁を手に取り、つぎはぎだらけの布をまとって、海から渡ってくる外敵を退けるために身命を賭けよとしている。


青年は、ポケットに入れてあった何の変哲もないふたつの指輪を愛おしそうに見やると、果樹園から運ばれてくる花の香りを思い起こした。


「故郷の匂いだ」 


青年は呟くと頬を緩め微笑んだ。


わずかに赤みを帯びた金色の髪を逆立せ、彼の碧眼は歓喜に色を輝かせていた。



青年は、前だけを見つめている

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