第8話 《攻撃魔法使い》
「(しかしロベリアはすごいな~)」
家に帰った僕はロベリアのことを考える。
黄金に輝き、ものすごい速さで移動する。魔法のことにも詳しく、何より可愛い。
「ロベリアと仲良くなれてよかったな~。」
僕は学園生活のスタートに成功したと思ってる。
もしロベリアがハンカチを落としてなかったら、ロベリアと仲良くならなかったら、僕は今の僕より弱いと思う。
感謝しかないな。
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朝がきた
僕はいつもどうり支度し学園に向かう。
昨日脚力強化魔法の練習をしっぱなしだったので、足が少し筋肉痛だ。
通学路を歩いていると、なにやら人だかりができていた。
「(なんだ?この集まりは?)」
「きたぞー!」
「美しわ!」
『わー!』
『キャー』
騒いでいる人たちが向いてる方向に目を向けると、馬車が通っていて、馬車の中の人に夢中らしい。
「(誰だ?)」
僕が考えていると、後ろから背中を叩かれた。
「おはよーカイン!」
「おはようダリア。」
「凄い人だねー」
「ところで、馬車に乗ってるあの人は誰なの?」
「あの人を知らないの!?」
「うん、いなか育ちなもので。」
「あの人は攻撃魔法使い、ヘクター家のカーラー・へクターだね。」
「へ~、あれが攻撃魔法の血筋か。あふれ出てるオーラがちがうね。」
「だよね~」
「強いの?」
「もちろん。」
「じゃあ学園に行こっか。」
「そーだね。」
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「今日は特別に攻撃魔法使いに授業をしてもらう。」
「くれぐれも失礼のないように。」
朝のホームルームで先生が真剣な顔つきでいった。
「ま、まじか。」
「緊張する」
周りが騒ぎ出す。
「では、どうぞ。」
「皆さんこんにちは。私はカーラー・へクターともうします。どうぞお見知りおきを。」
攻撃魔法使いが教室に入ってきたとたん、辺りが静寂に包まれた。
教室に入ってきたのはエメラルドグリーンの長い髪と目の女性で、片目が前髪で隠れている。
身に付けてる衣服は豪華で、いくらするのか想像がつかない。
「さっきの人か。」
僕は朝の出来事を思い出す。
「これより、ヘクター先生の授業を始める。」
「気をつけ、礼。」
なんだか先生が緊張している。
「今日は、攻撃魔法使いの歴史を学習します。」
ヘクター先生の声は落ち着いており、心地よい。朝なので寝てしまいそうだ。
攻撃魔法使いの歴史とかはあまり授業で習ってなかったのでワクワクする。
「攻撃魔法使いは、炎、水、雷、土。主にこの四つの種類から出来ていて、派生した属性もあります。」
「更に、攻撃魔法使いは回復魔法の上位、再生魔法が使えます。」
回復魔法は、傷口を癒したり骨にヒビが入ったのを治したりするのに対し、再生魔法は切断された腕や折れた骨をくっつけたりできる魔法だ。
「攻撃魔法使いの歴史は古く、もとをたどれば古代この世に君臨していた魔人族の子孫です。」
魔人族とは魔法能力が高く、種族最強と勉強した。
「魔人族は古代の戦争で人間、精霊、獣人の同盟軍に破れて、絶滅しました。」
「ですが魔人族の生き残りが、子孫を残すため他種族との間に子供をつくり、生き残りました。」
ヘクター先生は、淡々と話を進めていく。
「次第に魔人族の血は薄くなっていき、姿は他種族の容姿になっていきました。」
「すると、魔人族の血が薄くなるにつれて、攻撃魔法が使えなくなる子孫が出てきました。そこで、まだ攻撃魔法を使える子孫を調べたところ、その多くの子孫は代々騎士などの魔法の才能がある人との間に生まれていることが判明しました。」
「ですが、騎士との子供を残こし続けても、いずれ攻撃魔法が使えなくなります。」
「研究の結果、魔人族の子孫は同じ魔人族の子孫との間に子供を残さなければ、攻撃魔法は永遠に使えないことが結論付けられました。」
「我がヘクター家は、あと1、2回魔人族の子孫ではない一般の人間の血を入れたら、攻撃魔法は使えなくなるでしょう。」
「その結果、攻撃魔法使いは同じ攻撃魔法使いの家系と婚約しなければならないという決まりができました。」
「ちなみに、子孫同士で子供を残しても問題はありません。魔人族は生命力が強く魔人の力で累代障害が起こらないのです。」
「なので、攻撃魔法使いは数が少なく貴重な人材なのです。」
じゃあこの時代にいる魔人族の子孫のほとんどは、魔人の血が薄れていて攻撃魔法が使えないのか。
「ちなみに、魔人族の子孫は同じ魔人族の血が流れてるかどうか、体液を調べればわかるんですよ。」
「更に攻撃魔法使いは、魔素を爆発的に増やすことができ、身体強化魔法も使えます。」
「皆さんは、一点に魔素を溜めて魔法を発動すると少し発色しますね。魔素を爆発的に増やすと皆さんの数10~数字100倍の輝きを身体から放ちます。」
「残念ですが、いまここで攻撃魔法は打てないので見せられません。」
「以上で攻撃魔法使いの歴史は終了です。」
「ヘクター先生、ありがとうございました。」
「皆さん集中してて素晴らしかったですよ。では、さようなら。」
ヘクター先生が教室を出ていく。
ヘクター先生は、最後の挨拶でやっと表情を変えた。
「(なんか不思議な人だったな~)」
「あれが攻撃魔法使いだ。まとってる空気が違かったろ。」
先生がニヤリと笑った。
「この後は付属魔法を習う。皆準備しておくように。」
攻撃魔法使い。圧倒的強者と対面し、僕は心が高鳴っていた。
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