第7話 《秘密の特訓》
入学してから二週間以上がたった。
「今回は、戦いに欠かせない脚力の強化、硬化魔法を教える。」
「脚力を強化したと同時に足を硬化しなければ、足が耐えきれないので注意するんだ。」
「やり方は今までどうり脚全体に魔素を溜め、脚力強化、脚硬化を唱える。」
「わかったか?」
『はいっ!』
ここ二週間は魔法文字の解読、発音について習っていたので久しぶりの戦闘関係の授業だ。
「(脚力が強化できれば僕の先手攻撃が更に磨きがかかるぞ!真剣に取り組まなければ。)」
「では教科書の19ページを開け。」
19ページでは「脚力強化魔法」と書いてあり、説明が書かれてる。更に読んでいくと、魔法文字が書かれていた。
なるほど。強化すれば移動速度上昇、蹴りの威力上昇などの効果か、便利だ。
僕は次に魔法文字をよんでいく。
「えーっとこの文字は脚力で、こっちが強化か。だとするとこれは硬化、か?」
「ん?じゃあこの長い魔法文字はなんだ?」
「こっちが硬化で、この長い魔法文字は風避け魔法だね。」
「全力で強化して走ったりすると、風圧で目が開けれなくなるから必要なんだよ。」
「なるほど。いつもありがと。」
「エヘヘ」
ロベリアは魔法に詳しく、いつもわからないところは教えてもらっている。
「えっと、脚力強化がブィナンへリス、硬化がコールキィーリィンスィー」
「風避けがアネェフィフェル、か。」
「にしてもこの三つを瞬時に唱えられるかな?唱えてる間に攻撃を食らいそうだよね。」
「まぁ馴れてくると声に出さなくてもイメージでできるからね」
「へぇ~すごいな」
「カイン君もできると思うよ。」
「ありがと。」
それから二時間ほど続けてある程度はできるようになった。
「それじゃあ後は各自自主練だ。」
「じゃあ、カイン第四訓練場で一緒に練習しない?」
「うん!一緒にしよう!」
なにげにロベリアから何か誘われるのが初めてでテンションが上がった。
第四練習場は普段あまり使われてないので集中できる。
「じゃあさっきのやってみようか。」
「いきます、」
僕たちは練習場につき、早速練習していた。
まず体内の魔素を下半身に下げ脚力に重要な内転筋、ハムストリングス、ヒラメ筋などを中心に魔素をあつめる。
「蹴るのに大切な筋肉辺りに流してるの?すごいね!」
「おぉ、よくわかったね。」
「まぁね~」
「ロベリアもやってるの?」
「私はどこにその筋肉があるとか、筋肉の感覚についてよくわからないからできないよ。カイン君ができるのは、昔から鍛えてたからこそだよ。」
「(じゃあ前に握力で400kg以上出してたのはどうしてだ?)」
まぁいっか。
「ブィナンへリス、コールキィーリィンスィー」
それと、
魔素を脚に集中させつつ身体全体に流して、
「アネェフィフェル」
よし、準備が整った。後は全力でやるのみ
まずは構えて...
目標は20M先にあるかかし。
「がんばれー」
僕は姿勢を低くし、おもいっきり地を脚で蹴った。
「っっ!」
速い!
あっという間に20Mが縮まり、かかしを一刀両断するための剣が出せずかかしに体当たりしてしまった。
「いたたたたぁ~」
「だ、大丈夫?」
「うん、何となくわかった気がする。」
「じゃあ、頑張って!」
「ロベリアは練習しなくていいの?」
「見たい?」
「うん。」
「じゃあ頑張るね!」
「頑張って!」
するとロベリアが立ち上がり、剣を構える。
「(なんかいつもと雰囲気がちがうな。)」
「はぁぁぁぁぁぁあ!」
ロベリアが叫ぶとロベリアの身体が黄金に輝き目の前からいなくなった。
いなくなったと思った瞬間、さっきロベリアが構えていた位置に現れ、宙を切った。
その瞬間、風圧が僕を襲う。
呆然として声が出せなくなっていると
「どうだった?」
ロベリアが聞いてきた。
「す、すごく、キレイで美しかった。」
「すごいよ!ロベリア!」
「え!キレイだった?ありがとー!嬉しいよ。」
「こちらこそ」
「ち な み に、今の出来事は内緒でお願いね。」
「ばれちゃったら悲しいよ?」
「口が裂けても言わないよ。」
「よかった。」
「はい、これカイン君の剣。」
「え!?いつの間に!」
「凄いでしょー」
「カイン君もできるよ」
よしっ!あんなの見せらせたら気合いがわいてきた。
「剣を振るうときに前に習った握力強化魔法をすると威力がますよ。」
「やってみる!」
魔法はまだ続いてる。
「はーっ」
大きく息を吸い魔素を取り込む
「リニァブィアタァ」
構え地を蹴る。
速度は体験した。かかしに当たる直前に脚でブレーキ。
間合いは、まぁまぁだ。
「はあぁぁぁ!」
「バギィィン!」
刃を削ってあるはずなのに、かかしが二つに割れた。
「やった!やったよ!」
「おめでとう!カイン君!」
この感覚を忘れる前に仕上げたい。
「じゃあ僕はまだ練習するからロベリアは帰っていいよ。」
「私はまだ見たいな~、だめ?」
「え?ロベリアがいいなら是非一緒に!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「今日はありがとう。」
「こちらこそ。見てて楽しかったよ。」
「カイン君上達速かったね。将来が楽しみ!」
「ロベリアこそ」
「またね」
「うん」
「バイバイ!」
僕はロベリアと別れて道を歩く。
「(結局日が暮れるまでやってしまった。だけど満足がいく仕上がりになったのでよしとしよう。)」
「カイン君!」
「ロベリア?どうしたの?」
ロベリアがこっちに振り向き何か言いたそうな顔で見つめる
「えっと...あの..いや、なんでもないや。」
「話があるなら聞くよ。」
「大丈夫!バイバイ!」
「う、うん。」
ロベリアは小走りに去っていった。
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