第5話 《2人だけの秘密》
「これで今日の授業は終わりだ。帰宅していいぞ。」
先生の言葉と同時に生徒達が帰っていく。
「(さてと、早く帰って今日の復習でもするか。)」
僕も皆と紛れて帰ろうと教室を出ようとする。
「ちょっ!レオーネ君待って!」
ダリアさんに呼びかけられた。
「今から一緒に帰らない?話したいことがあるの。」
話って..まさかデートの約束とか!?告白されるのか!?
胸の鼓動が早まった。
「話って..なんだい?」
「さっきの授業のことなんだけどさー」
ですよね~
「試したいことがあって、私の家にきてくれる?」
ん、家!?まさか、お約束の...
「あ、大丈夫。今日両親仕事でいないから。」
キターーー!!今日は僕にとって忘れられない日になる気がする!心なしかダリアさんの頬が赤がかってる気がした。
「と、ととと、とりあえず話ながら家に向かおうか。」
「うん!付き合ってくれてありがと。」
僕とダリアさんは今日、初めての学園の感想などを語り合いながら歩いてた。
「その、本題なんだけど」
「うん。授業がどうかしたの?」
「握力を強化するために魔素を手のひらに集めたじゃない?」
「うん」
「あれはみんながわかりやすいように手のひら全体に魔力を流させただけで、もっと良い方法があるんじゃないかな?」
くるりと回り込んで試しているかのような顔で僕の顔を覗き込んできた。
皆がわかりやすいように、か。つまり僕たちが詳しいこと...
「わかった!手全体じゃなくて拳を握るのに必要な筋肉の部位に重点的に魔素を流せば効率が良いってことかな?」
「そのとーり!レオーネ君とは気が合うね!」
「確かに。普段から鍛えてる僕らなら何となくの筋肉の位置がわかる。」
「てことで!今からこの家で研究します!!」
ダリアさんが指差した先には立派な家があった。
「上がって上がって」
「お、お邪魔しまーす」
廊下を進んでいくと一つの扉の前にたどりついた。
「ちょっと待っててね。部屋片付けてくるから」
女の子の部屋か。どんな景色が匂いがそこにあるのだろうか。ドキドキする。
「いいよ。入って。」
ゴクリ
「失礼します..」
目の前に広がってきたのは、大きいクローゼットに清潔なベッド!化粧台にベンチプレス!何よりいい匂い!
「ちょと飲み物とってくるね。」
「ん、ああ、ありがとう。」
家にお邪魔してからダリアさんの声が小さくなってる。緊張してるのかな?僕もそうだ。
「じゃあ早速始めようか。」
水を机に置いてダリアさんは握力計測器をとりだした。
「レオーネ君はさ、どの筋肉が手を握るのに大事かわかる?」
「手を握るのには、腕橈骨筋とかの前腕筋肉群じゃないかな?」
「えっ、えっと...どこら辺か教えてもらっていい?」
「えっとねここら辺の……」
「触って..いいよ。」
「え?ああ、うん。失礼します。」
僕はキレイな肌をした腕に触れる。
「んっ\\」
!?おぅまーぃがー。こんな声聞いたらヤバイでしょうが!
「ご、ごめん!どうかした?」
「ああ、ごめん。ちょっと手が冷たくてビックリしちゃった。」
「ああ、ごめん」
手を擦りあわせ摩擦で温めて、再び触る。
「えーと、じゃあこのまま手を握ってみて。」
「そうそう。いま僕の指が触れてるところが腕橈骨筋だよ。」
「なるほど、ここか。」
「じゃあいま触れたところに摩素を流してみよう。ちなみに学校でやったときの数値は?」
「210kgだよ。」
「じゃあいくね。...リニァブィアタァ」
ダリアさんが計測器を握る
「おお!426kg!!」
「やったッ!成功だな!」
「うん!じゃあレオーネ君の番だよ。」
「オッケー!ちなみに僕は234kgだったよ。」
僕も計測器を握ってみる。
「すごい!452kgだ!」
「すごい!やったねレオーネ君!!」
ハイタッチをした。
「だいたい2倍になるんだね!」
「この事はレオーネ君と私だけの秘密にしない?2人だけの奥義、みたいな?」
2人だけの秘密。ドキドキする。
「もちろん。」
「あ、もうこんな時間。」
「そろそろ帰るか。」
「そうだね。もうすぐ親帰ってきそうだし。」
「今日はありがとう。これからよろしくね。」
「こちらこそ!」
「じゃあ、また明日。お邪魔しました」
「あ、あの!友達になったことだしダリアって呼んでね。」
「わかった。じゃあ僕のことカインって呼んでね。」
「わかった。じゃあねカイン。」
「また明日。ダリア。」
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