第44話 《運命③》
……きて、起きて!!カイン君ッ!!」
「ん、んんあ?」
僕は何者かに呼ばれ重い目蓋を上げる。
「お、起きたカイン君」
「…ロベリア?」
「そう私!ロベリアだよ!」
目の前にロベリアが僕に馬乗りになって呼び掛けている。
なんだなんだ?そんな態勢、美しいぜ、
「うぅ、頭痛い、なんだ、これ、」
「カイン君、それより見て、この光景...」
ロベリアに催促され周りを見渡すと、辺り一面瓦礫のような物でいっぱいで、土煙が舞っていた。
「どこだ?ここ?」
「ここは学園だよ、」
彼女の言葉を聞いても理解ができない。
ここが学園?どうしてこんなことに?
「そんなことより逃げよう、カイン君」
ロベリアは僕に向けて手をさしのべる。
「逃げよう。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
記憶が曖昧でよく思い出せない。考え事をすると頭が痛みくらくらする。
手を引かれて走っていくと数々の生徒の死体が。
状況がわからない。何が起きているのか知らなければ。走りながら思い出す。
「(考えろ、何が起こっていた?ゥ頭が……)」
たしか記憶が途切れる前、誰かと行動していなかったか?状況を知っているかも…!
「ロベリア、待ってくれ、確か僕と行動していた人がいたはずなんだ。近くにいなかった?」
僕が言葉を発するとロベリアがピタリとその場で止まり振り返る。
瞳には何故か悲しそうな、怒ったような気持ちが現れている。
「それは私だよ。」
彼女が話す。
「私と歩いてたらいきなり校舎が崩落してカイン君巻き込まれちゃったんだよ。」
そうか、そうだった。思い出した。
「あぁ、そうだね、ありがとうロベリア。命の恩人だ。」
「いいよ、いいよ、恋人同士助け合おうね。」
?
今この子恋人っていったか?聞き間違えか?
「今、なんて?」
再度聞き直す。
「ん、恋人だから助けるのは当然だよね。うんうん。」
そう言って頷いた。
あれ?そうだったっけ?そうだった気がするような。
「大丈夫?カイン君?さっきからなんか変だよ?」
「あぁ、大丈夫だよ。さ、急ごう。」
再び手を握り走り出す。
でも何か違うような、いつもの手と違う。握る感覚が違和感。
それに僕の隣は彼女じゃない感じがする。
走りながら考えるがわからない。ロベリアの手を握っている右腕も大切な思い出がつまっているはずなのに思い出せない。
気持ちが悪い。この状況になっている自分自身に吐き気がしてくる。なんなんだ?この感じは...
「ロベリア、何か違うんだ、本当に君が恋人なのか…?」
「な、何言ってるのカイン君、私たち愛し合ってるじゃない!」
ロベリアが説得してくる。
でも違う、これは受け入れてはいけない、細胞がざわめいている。
でも、僕の隣はあの笑顔が眩しい、そう、家で待っているはずの、あの
「エリーナ、だ..!」
そうだ、何故忘れていた!僕にはエリーナがいる、ロベリアとは恋仲ではない!!
「ロベリア。君がどういうつもりで言っているかわからないけど、そういうことはごめん。できない。」
例えロベリアがからかいでやっても誤解を生むだけだ。すまない、ロベリア。僕は誠実なジェントルマンなんだ。
「僕には、エリーナがいるんだ。」
僕はロベリアに伝える。
彼女はうつむいたまま。
「…………………………なんで、わかるの。…………なんで思い出すの、記憶は消したのに!」
「あの女の、記憶は!消したのに!!!」
ロベリアが叫ぶ。
「私が最初なのに!!!!何でうまくいかない!!!何であの女が選ばれる!!!!!」
「お、おい、ロベリア…?」
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だばれちゃった、嘘がばれちゃった嫌われるー!!!!!!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!」
「ロベリアッ!!!!!」
僕はとっさにロベリアの肩を掴み語りかける。彼女が何故嘘をついたのか、このようになったのかがわからない。
「ど、どうして、あんな嘘を………」
「私、カイン君好きだよ、うん、言っちゃった...!」
ロベリアが僕に好意を持っていた…?そ、そうなのか??
でも、これは、かわいそうだけど彼女の好意は受入れられない。
「………ありがとう、スッゴく嬉しいよ。でもごめん、僕にはもう、」
「知ってた、だからこうやって嘘をついたんだ。」
「私見たの、カイン君と女が楽しそうに話してて家に入って行ったの。友達かなって、思ったんだけどいつまで経っても出てこなかった。」
「そう、なんだ。じゃあ」
「でもダメだよ、私はヒロインだから、結ばれるの。」
「あなたは私のもの。」
ロベリアが近づいてくる。
「ヴッ!」
ロベリアの拳がみぞおちに入る。
「…………ロベリア、なんで……………。」
「ハァ、ハァ、カイン君が悪いんだよ?思い出すから!」
もう一発拳が振るわれ態勢が崩れ地面に倒れる。
「好き好き好き好き好き好き好き!」
馬乗りになりながら僕を殴るロベリア。
彼女はとても幸せに満ちている顔をしていた。
僕は彼女を見ながらどんな顔をしていたかわからない。




