第42話 《運命①》
「(……………あれ、寝てた?)」
どうやら僕は授業中に寝ていたみたいだ。普段はこんなことしないんだけどな……。成績が下がったらどうしようか………。
「はぁ~」
視界がぼやける、なんだか焦げ臭いな...
「(ッ!?)」
僕の視界に入ってくるのは、崩れた教室に血を流し倒れた生徒達。焼け焦げた匂い。
学園は、爆破されたのだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「これは...」
重い体を起し現状確認をする。
僕は幸いかすり傷程度だ。ふと隣を見ると瓦礫に埋もれ頭が潰れているノウスさんが視界に入った。
「ヴッ、ッ!」
さっきまで一緒に話していた人が、そんなこと..。
見たくもない光景に吐き気に襲われる。
「(とりあえず先生を呼ばなくては!)」
兎に角助けを求めるべく足を動かす。足がもつれて転んでも、止まらない、止まりたくない。
視界に入る光景を受け入れたくない。
「はぁ、はぁっ、」
息を荒げながら廊下を走る。
「レ、レオーネさん!」
「レオーネさん!!!!」
突然、僕の名前を発する声が耳に入る。この状況で人がいるのは頼もしい!慌てて声がする方向に目を向けると、メザイヤ・ノアザミだ。
「ノアザミさん!」
「あぁ、レオーネ君。話すのは久しぶりだね。」
「こ、この状況、どうなってるんですか?」
ノアザミさんならなにか知っていそうだ。今の状況、頼りになる人が恋しい。
「いいや、僕もこの状況わからない。僕のクラスは幸い被害が少なかったみたいだけれど、教師と皆は意識を失っていたよ。」
「それで僕は助けを呼びに来たところだ。そっちは?」
「...壊滅的です。動けそうなのは僕一人ですね...。」
「そっか、とりあえず教師を呼びに行こう。」
ひとまず、二人で職員室に向うことにした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
学園全体が爆破し、他学年の安否あ不明。死者は数えきれない。生き残っている人は少数だろう。
それが今わかる状況。依然、学園内は静寂、外部からの侵入者らしき人とは会わなかった。しかも学園の立地は街から少し外れている山地。緊急事態に気付く人はいなそうだ。
「ここが職員室だね。」
「でしたね。」
職員室があった場所には、瓦礫しかなかった。
「職員室が一番ひどい。犯人は、学園の間取りを知っていた可能性が高いね。」
「なるほど。」
予想外のことが起きても冷静でいるノアザミさんを横目に、僕は動揺していた。
「と、兎に角外へ行きましょう!」
「そうだね。」
僕とノアザミさんは学園の外目指し走り出す。
「あら?まだ動ける人がいます。」
「ッ!」
背後から何者かの声に足を止める。
犯人か?敵か!?
2人は剣を抜く。
「………」
「あなたは…」
「こんにちは。」
僕らの前に立っていたのは、カーラ・ヘクター、攻撃魔法使いだ。
「ヘクター校長、この状況、どういうことですか?」
メザイヤさんとヘクター校長が話し始める。僕は彼女が敵なのか見方なのかがわからない。判断材料がないため会話を見守る。
「何者かにやられたようですね。ささ、2人は避難を。」
ちょいちょいと手を仰ぎこちらへ来るように促す。
「(ど、どうやらヘクターさんは敵ではないようだ。)」
「お名前はカイン・レオーネさんに、メザイヤ・ノアザミさんですね。では、行きましょう。」
メザイヤさんと僕はヘクターさんに付いていく。
少し歩くと、とある教室の前へ。
「では、ここで少し待っていてください。私は他の生徒を連れてきます。」
「は、はい。」
「どうも..」
ヘクターさんが部屋から出ていき、2人は静寂に包まれる。
僕はさっきから頭をフル回転させているが、いまいち状況が掴めない。
突然教室が吹き飛び皆が潰れ、メザイヤさんと行動して、、先生は死んでいて、、、ヘクターさんが生きてて、、、、何故?
何故と言う単語が頭に浮かんだ。
何故ヘクターさんは何事もないように過ごしていて、何故メザイヤさんしか生徒が動けない?
「ねぇってば!」
「?」
「話し聞いてた??」
「あ、すみません、、。」
考え事に夢中でメザイヤさんの話を聞いていなかった。
「つまり!これは学園側に敵がいると思うの!」
「な、なるほど。」
得意顔で解説し始めたメザイヤさんは何故か楽しそうだった。
この状況を楽しんでいる?バカな。
「早く帰りたい…」
そうだ、こんなところにいる場合か!こんな状況早く帰った方がいいに決まっている!
だいたい!こんなところに閉じ込められてる場合か!
「....ッ!」
空気が変わった、これは知っている、魔法攻撃が来るッ!
この魔力の微弱な振動、来るッ!
「危ない!」
とっさにメザイヤさんを突飛ばした瞬間、僕の腕に電撃が走った。
「うがァァアッ!」
腕から全身を巡る電気に体が痙攣し、その場にうずくまる。しばらくは動けない。
「レオーネ君!」
「あ、あぁ、、」
「くッ!、誰だ!!!」
すかさず剣を抜いたメザイヤさんは周囲を警戒する。
「雷魔法、ヘクター校長、あなたですね。」
この部屋の外にいるであろうヘクターさんに向かって叫ぶ。
そう、この事件の黒幕は校長であるカーラ・ヘクターだったのだ。
「はぁ、レオーネさんのせいで的に外れてしまいました...。残念ですぅ。」
「ですが....ウフフ…」
不気味な笑い声の後、部屋の中に水が流れ込んできた。
「クソッ!これでは僕とレオーネ君もろとも感電してしまう!ここの窓は開かないし、迂闊に外へ出たら思うつぼだ…。」
「レオーネ君!立てるか?兎に角机の上に避難するんだぁ!」
水がすぐそのまで浸透してきている。まだ体は動かない。
「ま、まだ...で、す」
「ん!掴まって!」
すると、メザイヤさんがこちらに腕を伸ばし、ギリギリのところで僕を荷物の上へ引っ張り上げてくれた。
「敵はヘクターだ!彼女を殺して外へ出ようね!」
「…はい、。」
ブルブルとだが体を起こし歩けるようになった僕も剣を抜く。
「しかし良く攻撃が来るとわかったね。助かったよ。」
「いえいえ。」
日々のエリーナとのトレーニングのお陰で魔法攻撃の気配が掴めてきていた。
さてどうする。
「とりあえずここから出よう、2対1なら的が絞りきれずどちらかが犠牲になろうが仕留められる。」
「そうですね。わかりました。」
水浸しになっている部屋に、椅子や机を並べ、出口付近へ移動する。
「僕が最初に出ます。一度攻撃を喰らったんで体制が付いたはずです。」
「わかった、任せる。」
僕は勢いよく部屋から飛び出した。
しかし目の前にはヘクターさんはいなかった。
「上よ!」
バリッ!
上から稲妻が落とされ、体めがけ一直線に向かってくる。
とっさに剣を投げ、雷を集めてもらい自分への攻撃を回避した。
「遠距離か。」
相手は遠距離からも攻撃を放てるようで、物陰に隠れているに違いない。
この状況どう打開するか。
いや、逃げよう。
「教室の窓は空かない。なら正面玄関に行ってみましょう。」
「わかった!」
とりあえず僕らは出口であるはずの正面玄関へと走り出した。
無我夢中で走る。
階段を降り一階へ。
「あった!扉は開いている!脱出するんだぁ!」
段差を降り、ロッカーを抜け、出口へ...足を踏み入れた瞬間、僕らの周りに稲妻の円が浮き出て出口が稲妻で塞がった。
「……結界魔法と雷の合わせ技。かかったようですね。」
稲妻の円に囚われている中、こちらを観察していたヘクターが姿を見せた。
「結界か、やられたな。レオーネ君は僕の後に下がってて!奴は僕が仕留めるッ!」
さっき剣を落としてしまい、手元に武器がない僕は素直に受け入れ彼女の後に下がる。
「..この結界、どう破るかだな...。」
「フフ、結界内に攻撃も打ち込めるんですよ。」
笑みと共に敵の攻撃が。
僕らの周りに円上に回転する稲妻から電撃がこちらに飛んでくる。
「避けて!」
喰らったら一溜りもなく、少し触れるだけでアウト。僕らにはかわすしか出来ない。
「ウグッ、」
電撃が腕にかすった。とたん体に痺れが流れる。だがまだ動ける。結界から出る攻撃は、本体から直接放たれる魔法よりも威力が弱いみたいだ。
これなら、多分、いや、いけるッ!
「このままじゃ逃げ場が無くなり確実にやられます。したがって僕が無理矢理にこの結界から出て奴の動きを止めます。」
「…もし失敗したらすかさずメザイヤさんも結界から無理にでも出て彼女を打って下さいねッ!」
作戦内容『突撃』。兎に角耐えて根気で打ち勝つ、それだけだ。
「ウオォォォオオオォォォオオ!!!!!!」
僕は勢いよく結界から飛び出し、体中電気で痺れても止まらない。
「(これなら奴届く、意識が切れる前に!)」
その差わずか数メートル。
「すごい忍耐。でも残念。」
彼女が放った真上からの稲妻をもろに喰らい、僕はその場に倒れた。
彼女の対応の方が早かった。
「連発はできまいッ!!!!!」
彼が倒れる中、ノアザミはヘクターの後に周り、首を狙う。
いくら体に電気が走ろうがいくら体が痛かろうが耐えて耐えて奴を仕留める。
「死ねぇ!」
彼女が振るった斬撃を紙一重でかわされ、奴の首元をかする程度。致命傷ではない。
「ふぅ、びっくり。」
「まさかこんなに脳筋とは。油断していたわ。」
表情一つ崩さずこちらを見つめるヘクターはこちらに手を伸ばす。
「……おとなしく倒れなさいな。」
手のひらから電撃が流れる。放たれた電撃がクモの巣のように広がり目の前を覆う。
「ハァァァアア!!」
しかし彼女は止まらない。攻撃を喰らっても止まることはなかった。
「電撃喰らいまくってもう慣れたわぁーー!!」
彼女の間合いにヘクターが入る。この体制、この力み、避けられることはない。
「もらったぁー!」
彼女の斬撃が真っ二つに切断する。
「ハァ、」
「......。」
流れたのは鮮血ではなく靴だった。
「な、に、」
「それはロッカーよ。私は後。」
「どう、して.....ヴッ!」
とたん、彼女を襲ったのは吐き気。
「ヴォェエッ!ハァッ!ヴォェッ!」
「あらあら嘔吐なんて汚い。」
ヘクターはこちらを見下すような視線でたたずんでいる。
「何故だッ!っ、確実に捉えたのにぃ!」
すると嘲笑うかの目をしたヘクターが語りだした。
「あなたは私の電撃に慣れてなんかいない。さっきのは微弱な電気を脳に流してあなたの平衡感覚やなにやらをめちゃくちゃにしたのよ。」
「ふらふらするでしょう。それこっちに来てきなさい。フフ。」
「ナメんな゛ッ!」
ノアザミはヘクターの方向へ向かい歩くが、体が言うことを聞かず、数歩歩いただけでその場に倒れれ込んだ。
「あれ?....立てない...」
「あぁ、頭が痛い、吐き気が、気持ち悪い゛」
「ヴォェェエエエ!!」
「助けて.....」
彼女の体は次第に動かなくなった。
「これで制圧完了ですね。彼女と合流しましょう。」
カーラ・ヘクターはどこかへと去っていった。




