第38話 《ノールッククッキング》
授業を中止し生徒が広場へ戻ってくる。みた感じ怪我をしている生徒はいないので、怪物はあいつだけだったらしい。
「あーあ、楽しい冒険が」
ノウスさんがそう呟くと、ルシェルスさんがそうだねーと励ます。
そんな二人を見ながらさっきのことを思い出す。明らかにやりすぎな石。強すぎな魔物。うん、おかしい。何でこんな過酷なことが起こるのか、ヘクターさんが来なかったら死んでいたぞ!学園とは言えこんなこと…
「はい!みなさん揃いましたので、これから馬車に乗り学園へ戻りまーす!」
思考を切り裂く声が響き渡りわさわさと生徒達が馬車へ乗り込んでいく。
「行くよー」
ノウスさんに促されよっこらせと重い腰を上げる。しばらくし、馬車に揺らされ眠ってしまった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「…起きて、起きてカイっち!」
「ん、ん~」
「もう着いたよ」
気づけば学園へ着いていた。もう夕暮れだ。馬車を降りて背伸びをする。生徒たちは各自家の方向へ歩いている。
今日はもう下校らしい。
「じゃっ!今日はありがとね~」
「ありがと~」
二人の帰路とは別方向なので、ここでお別れ。僕も挨拶をしておいた。
家に帰るとなにやらエリーナが庭で作業していたので何やってるの~と話しかけてみた。
「ガーデニングだよ!今日ブラブラしてたら売ってたの。」
ガーデニング。花や草を育てるやつか。なら鶏肉でも育てようかな。ササミ取り放題だ。
いや、鶏か。
「何の花うえたのー??」
「回復薬に使う薬草だよ。回復魔法をもっと極めたいって思った。」
魔法のことはあまり知らないけど、この苗から生えた草を食べたら傷がなおるってことか。
「あとお野菜を少し植えてみたよ!」
「お~節約だ!」
しかし辺りは暗くなっていたので部屋にはいる。数時間土をいじっていたようで服や顔に土がついている。シャワーを浴びさせその間に服を洗濯する。
僕は家事ができるのだ。
桶に服と水をいれ、揉み揉みする。そうすると汚れが浮き出てくる。
意外に苦労し、気づけばエリーナがシャワーから出てきてソファーで横になっていた。相当熱中していたのだろう。すやすや眠っていた。
起こすのも悪いと思い、僕はキッチンへ向かい気合いをいれる。
「今夜は俺の料理だぜ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
まずは今日のメニューを決める。食材とにらめっこし、頭の中で工程を描く。ニンジン、鶏肉、じゃがいも、カレー粉……『カレー』だっ!
頭のなかでパーフェクトイメージクック手段が思い浮かんだので行動に移す。まずは斬る!
台の上にまな板を敷き、具材を斬っていく。いや、切っていく。こう見えて料理は苦手だ。一人暮らししてたときは、ずっとササミ、ゆで卵などしか食べてなかったのでちゃんとした料理は作ったことがない。
結構前、ふとロベリアと食堂で料理の話をしたときに、レシピを見ればほとんど失敗しないと言っていたのを思い出したので、切るまえにまずはレシピを探す。
棚を開け、鍋を開け、重ねてる皿の間を見る。
“レシピがない!”
どこを探しても紙切れ一つもない。これは、まさか、エリーナはノールックッ!
まぁいい、カレーごときこのカインにとるに足らない!
少々不安がのこるが、カレー作りに着手する。
まずは相棒となる包丁を取り出し、野菜を切る。丸いものを平面において切るのは結構手間がかかる。力任せに叩きつけても、コロコロと具材が逃げていく。指で押さえてやるが、指を気にそうで怖い。
「もういい!」
チマチマやるのを止め、一気に方をつけるべく包丁を振り上げる。必殺…………
《『『ギロチンショット!!!』』》
勢いよく叩きつけられた野菜はその圧力により逃げ場をなくし飛び散った。
「ふん…」
まぁ不格好だが鍋にいれれば問題ない。そのまま野菜を切り終え、鍋にぶちこんだ。
次の獲物を狩るために舞台へ鶏肉を上げる。野菜とは違い、まな板に張り付いた鶏肉はスパスパ切れた。一口サイズに切っていき、鍋に投入。だんだん包丁さばきになれてきた。
野菜と肉を入れた鍋に水をいれて火をかける。グツグツいってきたぐらいでカレー粉を投入。カレーっぽ色になってきた!
そのま数分回し続け、沸騰しそうになってきたので火を消す。二人分皿に盛り付けテーブルへ。丁寧にスプーンを並べ彼女を起こしに。
「エリーナ」
ユサユサと方を揺らす。
「はわぁ~」
あくびをしながら目を覚ましたエリーナは虜になるような紫の瞳をこちらに向ける。
「ご飯、できたよ。」
どや顔で伝えた。
「!?嘘、寝てた?」
「ぐっすりと」
「ご飯作ってくれたの?ありがと~」
ソファーから立ち上がりテーブルへ移動する。エリーナをみてふと背、伸びた?と思った。出会ったときはもう少し身長に差があったと思うが。
二人は席に着き食事を始める。
「(さぁ、わたくしが作ったカレーのお味は……)」
うぅーむ。
不味くはないけど、旨い!となるほどでもない。
つまりまぁ食えるって感じ。
「エリーナの方が数百倍旨いな…」
だがエリーナの方を見るとバクバク食べている。僕の前だから無理してるのかな…
「ど、どう?」
恐る恐る聞いてみた。
「うん!おいひぃ!」
満面の笑みで答えた。
そこに嘘など感じられない、つまり彼女はお気に召したってこと、成功だ!だか、自分のなかでは納得していない。あまり美味しくない。
「僕はエリーナが作る方が何倍も美味しいと思うんだけど、何がおかしいのかな?」
「え?そうかな~ありがと~//そうだな~言われてみれば、うーん、スパイスが足りないんじゃないかな?」
「ス、スパイス」
スパイス、それはなんか香りがすごいとか健康だとか、そういう未知の領域だ。南にある国で盛んに栽培されていると言うのは聞いたことがある。
「今度の休日一緒に買い出し言って作り方教わってもいい?」
「いいよ!面白そう」
この夜は包丁の切り方など基本から教わった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
食後のトレーニングを終えシャワーを浴びいざベットへ。今日あった出来事を話すとエリーナは盛大に驚く。
「そんな!あの学園の管理はどうなってるの!」
「で、でもね、新しい友達ができたよ!」
「友達なんて、私に比べたらちっぽけなもんじゃん」
プクーと顔を膨らませる。
そうだねとエリーナをなだめるとにっこりと笑う。
二人で話ながら数十分。いつもなら数分で寝落ちするはずだがお互いになかなか眠らない。
「眠い?」
「ぜんぜ~ん」
どうやら二人とも夕方に寝てしまったのでなかなか寝付けない。
「お散歩行こ」
二人はベットから起き支度する。
大通りにはまだちらほら店が開いていて、適当にふらふら歩く。特になにも買うものはないが二人で店内を散策する。
アクセサリーの見せに行き、あれが似合うこれかわいいなどの会話をしてふとあるものが視界に入る。
店を出てそろそろ帰ろうとなり、大通りを歩く。
「そ、そう言えばさ、エリーナ指のサイズっていくつ?」
「なんでぇ~???」
ニヤニヤしながら正面に回り込み顔を覗き込んできた。
やはり直球過ぎたか。
月明かり下で笑う彼女は天へ召されてしまいそうなほどに可愛かった。
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良ければ感想などをいただけると幸いです。
やる気が“グワァー”と湧いてきます。
呼んでいただいて感謝です。




