第3話 《最初の難関》
……そうだね」
「でさ!私は世界を変えるんだーー!」
「おー頑張れ。」
「カイン君もやるんだよ、一緒に!」
会話には慣れてきた。返事を返すタイミング、とりあえず音を発しておけば返事になると言うこともわかってきた。
ロベリアと何気ない会話をしていると、授業開始のベルが鳴った。
しばらくして1人の大人が教室に入ってきた。教師か?
目が少し怖い。怒らせたらヤバそうな感じ。歳は20代後半~30代後半ぐらい。
「これからお前達の担任をするアナナス・モラエアだ。よろしくな。」
そう告げると簡潔にこの学園の説明を始めた。
「みなも知っていると思うが、この学園は3年制で3学年ある。1年ごとにクラス替えをする。」
「卒業した生徒のなかで一定以上の成績を修めた者が、騎士団に所属できる。細かいことは配っておいたプリントをみてくれ。」
「ではこれから簡単な自己紹介を始める。1人ずつ好きなように挨拶でもしてろ。でははじめ。」
「パンッ!」
先生の手をたたく合図と同時に、生徒達が騒ぎ出す。
「誰からやる~?」
「端の人からやっていけば?」
「端ってどこの。」
ざわざわと周りの輩が話し出す。
モタモタしていると、生徒達の雑談を切り裂くように1人の生徒が言葉を発した。
「じゃあ、端の僕から行かせてもらうね。僕の名前はセシル・オズ=ファレル。気軽にセシルってよんでね。」
「ファレルってファレル王国の王族!?」
「まぁ、ね」
「とにかく、俺の特技はダンスかな。小さい頃よくやらされてさ。みんなと仲良くなれるように頑張ります!」
「(おやおや、周りの輩が騒いどる。王族かースゴいな。クラスの人気者になるタイプだしモテるぞー。)」
セシル君の挨拶から順番に次々に挨拶がはじまった。
男女比は半々ぐらい。男の方が多いと思ってた。
皆が挨拶してる間に僕は一生懸命自分の挨拶の内容を考えた。
挨拶は人それぞれで特技、好きな異性のタイプ、趣味などなど。ここで第一印象が決まる。慎重にいかなければ。何を言おうか。
と、考えていると隣から声が。
「カイン君。挨拶、出番だよ。」
ロベリアが出番をしらせてくれた。
「(え、まだ挨拶の内容が完成してない!早くね!?)」
そして顔をあげると回りの生徒皆が僕の方を見ていた。
心臓がキュッとなった…
いつまでも黙っているわけもいかなく、とりあえず立つ。
「(こうなったらぶっつけ本番だ!)」
僕は一息吸い戦闘態勢に入る。
「こ、コンチャ!えっと...カイン・レオーネです。特技は..努力することです。よろしくお願いします。」
『よろしくー』
クラスの皆のどうでもいいような声が返された。
思い込みか??
「努力って大切だよねっ!」
ロベリアが小声でそう言ってくれた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
しばらく時間がたち、いよいよメインがやってきた。
そう!ロベリアの番であるッ!
「ロベリア・ニシェルです。趣味は読書で、特技は足が速いことかな?皆さんとたくさん話したいです。」
…なるほど。読者か。今度読んでみようかな。
「ロベリアで最後だな。では後程授業を始めるので10分間休憩をはさむ。」
休憩時間になったとたん、ロベリアの周りに女子が数人群がり始めた。
「私カワ・イイコ。ロベリアちゃん読書が好きなんだね~。」
...気まずい。女子達が話してる隣でボーっとしていた僕は席を立ち、とりあえずトイレに行く。
小便がでなくても出してるふりをすればとりあえずしのげる。
廊下に出ると他のクラスの人などがきていてグループで話してる。ここの間を通るのは勇気がいるな。
なにも起きずにトイレにたどり着くと、そこには尿を足してるセシル君に合った。
挨拶するべきか?と迷いながらセシル君と3つ隣の小便器に行くと、こちらに気づいたのか、
「やぁレオーネ君。」
セシル君から挨拶してくれた。
「こんにちは、セシルさん。」
「さん付けなんて堅苦しいよ。同じクラスメイトだろ?」
「そうだねセシル、君。」
「うん、よくなった。」
「(いい人だ。よかった。)」
「ところでさ、カイン君。騎士団になぜ入ろうと思ったか聞いてもいかい?」
もう尿がで終わったはずなのに僕とセシル君は体勢をかえない。
「そうだね、ただ単純に強くなりたいから。(そしてお給料が良い!)」
てきとーに返事をいれつつ会話をかわす。、
「なるほど。僕と似ているね。僕はファレル王国の第二王子でね。兄はギャンブル漬けで言うことをきかない。更に第一王子だから将来は兄が王になる。未来は少し暗いね。」
「だから僕が騎士団で高い地位についてファレル王国を変えるんだ。」
なんだなんだ?いきなり自分語りがすごい。なんか疲れているのか?
「…ごめんねつまらない話を聞いてもらって。」
「いえいえ。」
「もうすぐ授業がはじまりそうだから行くね。」
セシル君が去って行く。心なしかセシル君はスッキリしていた。単に愚痴を聞いて貰いたかったのか...
僕は少し遅れてトイレをでた。
ちなみにトイレはキレイで立派だった。
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