第28話 《赤い景色》
「もっと踏み込みなさい、」
「はいっ!」
カンヘビア王国に着いてから一夜明け、僕はおじいちゃんに稽古してもらっていた。
僕が使っていた型は、おじいちゃんが編み出したものらしく、体の使い方や間合いの距離など一から教えてもらっている。
「カインはお父さんから教わったんだって?」
「うん、そうだよ。」
「まさかあいつが見様見真似で会得するとは..。」
「おじいちゃんが親父に教えたんじゃないの?」
「いや、ワシは教えてないよ。」
「(じゃあ親父から教わったのは完璧じゃなかったってことか。)」
僕は元々型をある程度できていたので、習得はスムーズに進んでいった。
イザベルさんは毎日は一人で特訓していてたまに見かける。
「もっと剣を素早く」
「たぁ!」
半日ほどの特訓を積み重ねて五日経ち、僕の剣裁きはより研ぎ澄まされていた。
「カインは魔法制御がものすごく上手いね。」
「ありがとう、おじいちゃん。」
魔法系はいつもエリーナに教えて貰っているのでパワーや体の素早さは申し分ない。
「それで、カインはいつ頃帰るんじゃ?」
「学校があるし、あと七日ぐらいかな?」
「寂しいのう。」
居間で雑談をしていると、特訓を終えたイザベルさんが帰ってきた。
「イザベル、いつもより早いの~。」
「水分補給です。」
「水筒忘れたんですか?」
僕は水筒を取り出し水を入れ差し出す。
見事に素通りされた。
「では、再開してきます。」
「イザベル、カインと練習しなさい。対人戦もやったほうがいいぞ。」
「私がこいつと?」
「そうだ。」
「まじかよ..。」
おじいちゃんの提案により、僕とイザベルさんは家の周りの森で対戦することに。
「ルールは?」
「ルール?ないわ。」
「どちらかが負けを認めるまでやり続ける!」
叫びと同時に僕の目の前に現れ、剣を振るう。
「いきなりかよ!」
とっさの判断で攻撃をかわす。まともに食らっていたら首から血が吹き出ていた。
「やったな!」
すかさず今度はこっちから攻撃を仕掛ける。
僕が放った剣撃は風を生み出し相手を巻き込む。
そして背後に周り、剣を打ち込む。
甲高い音と共に、僕の剣撃は止められた。
僕は木々の枝の上に上がり、剣を交える。
相手も僕を追撃してくる。
木と木を飛び移り、攻撃を仕掛け両者が交わる。
上から、横から、下から。
立体的に攻撃が仕掛けられていく。
「(くそっ、見失った!)」
「(どこだ)」
辺りを警戒し、剣を構える。
すると、乗っていた枝が切り落とされ体が中に浮く。
真上から彼女が落ちてくる。
「ギシィン!」
彼女からの剣撃を受け止めたものの、勢いで地面に叩きつけられた。
「ぐはぁ、」
「勝負あったわ」
首元に剣が伸ばされていた。
「負け、ました。」
勝負がついた。
やはりイザベル・シロンは強かった。
「また先輩に負けてしまいました。」
「まぁ前よりはましになってたんじゃない?」
思いがけない言葉が返ってきた。
「そうですか!よかった~。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
特訓から十日がたったある日、今日もまたイザベルさんと特訓していた。
「はぁぁー!」
「おらりゃぁぁ!」
勝負は中々決まらず、昼頃まで続いていた。
両者場所をかえ、山の頂上までやってくる。
「(しまった!)」
僕は足を踏み外してしまった。
「隙あり、」
イザベルさんの冷静な声と共に、僕の腹に強烈な一撃が入る。
剣は下から上に振り上げられ、僕の体が空高く打ち上げられる。
しかし、落下する前に僕は近くの木の枝に掴まり体勢を整える。
「イタタぁ~、強烈なのをくらっ..」
「嘘、だろ、」
僕の視界には、赤く燃え上がっている街が写っていた。
ここからはよく周りが見える。
近くの街からは煙が出ていて、燃えている。
「今、街にはおじいちゃんが...。」
目の前の光景に動揺する。
「ちょっと、来ないの?」
「ねぇ!」
イザベルさんの声を聞き、我に返った。
「あぁ、先輩!こっち来てください!」
「何を言っているの?」
「早く!街が!」
「少し黙っててちょうだい。」
イザベルさんが木の枝に飛び移る。
「これは...。」
「どうします?」
「師匠が心配だわ、街に行きましょう。」
「そうしましょう!」
急いで山を降り、街に向かう。
「一体誰がこんなこと...」
数分かけ街に到着した。
街は崩れ、火が回っている。
「誰か助けてくれ!」
「お母さ~ん!」
人々の悲鳴が聞こえる。
「これはひどいな..。」
「助けましょう。」
僕たちは人々を瓦礫からだし助けていく。
「とりあえず先へ進みましょう。」
「そうしましょう。」
ある程度終わったら、先へ進んでいく。
「オラオラァ!」
街中を走っていると、騎士団が建物を破壊していた。
「(騎士団が、どう言うことだ?)」
「あなたたち、どう言うつもり?」
イザベルさんが騎士団に話しかける。
「生き残りか、殺せ。」
僕たちを見るなり指揮官らしき人がそう言うと、周りにいる騎士がこちらに迫ってくる。
「あなたたちは、市民を助けるんじゃないの!」
イザベルさんが訴える。
「何言ってんだ?俺たちはあのお方に従うまで、この国をぶち壊すんだ!」
「狂ってる..。」
イザベルさんをみる限り、ショックを受けている。
「(そうだよな、自分は騎士団に入りたいんだよな。)」
「おらぁぁぁぁぁあ!!!」
騎士が突撃してくる。
「先輩、来ますよ、先輩?」
イザベルさんは騎士団の気迫に押され、動揺している。
「後ろに下がってて、」
僕はイザベルさんの前に出て、迫り来る騎士を凪腹っていく。
鍛えぬいた動きで裁く。
剣を振るい、血飛沫をあげながら剣を振る。
「これで、お前が最後。」
残りは指揮官らしき人だけになった。
転がっている死体を蹴り飛ばし、指揮官らしき人に剣を向ける。
「中々やるようだな少年、だが今倒したのはかき集めの兵士。」
「私はそう簡単に行かないぞ!」
相手が構え突進しようとする。
「(相手が動く前にこっちか仕掛ける!)」
僕は一気に間合いに潜り込み首を切断する。
しかし剣を受け流され横に飛ばされる。
飛ばされた瞬間、相手はうずくまっているイザベルさん目掛けて突進していく。
「先輩!避けろ!!」
すると先輩は立ち上がり剣を振るう。
両者がすれ違い間が生まれる。
「な、にぃ..」
相手から血が吹き出しその場に倒れる。
「先輩、大丈夫ですか!」
「えぇ、ちょっと人との殺し合いが初めてで、」
「足手まといになってしまったわ、ごめんなさい。」
「え!?いや、僕は大丈夫ですよ。」
「それにしても、イザベルさんが無事てよかった。」
「騎士団が攻撃とは、謎だわ。」
「とりあえず師匠を探しましょう。」
僕とイザベルさんは街を駆け抜けて行った。
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