第25話 《君への思い》
「ごめん、負けた。」
「今回は相手が強かったね。」
目を覚ますと、僕は医務室で寝ていた。
ノアザミさんが様子を見に来てくれていたようだ。
「まぁ、レオーネ君は僕が勝ち上がるところを見ててね!」
「あぁ、しっかり見ておきますよ。」
「じゃあ、行ってくるね。」
「頑張ってください。」
「ありがと!」
ノアザミさんが笑顔で手を振り医務室を出ていった。
眩しいぜ。
「...。」
「また、負けた..。」
「クソッ!」
まだ僕にはまだ、力が足りない。
相手の言葉を思い出す。
「…今度また父さんに稽古して貰うか..」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「勝者、メザイヤ・ノアザミ!」
「はぁ、はぁ、はぁ、」
私は順調に勝ち進んでいき、今は三年の先輩を倒した所だ。
「(さすがに三年生は手強かった..。)」
「(次の試合で勝てば、上位四名か。)」
次の相手はイザベル・シロン、レオーネ君を倒した相手..
ノアザミ家は代々トップクラスの剣士を輩出している名家で、私は次女として産まれた。
私は小さい頃から剣を学び、鍛えてきた。
同年代には絶対に負けないと思っていた。
彼と対面するまでは..。
一年トーナメントで戦った彼、カイン・レオーネ君は難なく勝てる相手だと思っていた。
彼を倒す単純作業。
学園には自分の脅威になる同級生はいない。
だからこそ、日々がつまらなく感じていた。
私の剣撃でレオーネ君を圧倒していく。
追い詰められた彼は、諦めたかのように剣をおろし、目を閉じた。
「(おしまい。)」
私は彼の首を弾き飛ばす勢いで斬りかかると、彼はさっきまでとは比べ物にならないほどの速さで、私の剣を砕いた。
剣の破片が宙を舞い、光で反射し銀河のように輝いていた。
「(なんて..綺麗...。)」
私はあの光景を今でも鮮明に覚えている。
自分の剣が砕け散る初めての光景、私の視界が鮮やかになった。
目の前の彼には驚かされ、心が高鳴った。
この出来事から、私はレオーネ君に興味が湧いた。
そんな彼も負ける時はある。
さっきみてた試合では、レオーネ君は最後まで諦めず戦っていた。
でも、そんな彼でも、対戦相手のイザベル・シロンさんに一撃も攻撃を当てれずに敗北した。
私は彼女に勝てるだろうか?
「(……いや、勝つんだ!)」
「僕はレオーネ君を越えるよ。見ててね、レオーネ君..!」
私の番がやってきた。
「イザベル・シロン対メザイヤ・ノアザミ!」
相手の攻撃は把握した、ただ全力でやりあうまで。
「僕は、この人に勝ってレオーネ君を越えるんだ!」
「構え、」
やはり相手はレオーネ君と同じ構え、だけど僕はレオーネ君を見てきている。
「(先手だな..。)」
私は先手を受け流し、即カウンターする作戦にした。
「開始!」
刹那のごとく相手の攻撃が迫ってくる。
「はあぁぁぁあ!」
「(肩だ!)」
肩の前に剣を構え、相手の攻撃を弾く。
弾いた瞬間、剣を素早く横に振り、相手に攻撃を当てる。
「うそっ、」
入ったと思った攻撃は紙一重で避けられ間合いを広げられた。
相手はまた仕掛けてくるつもりだ。
ならばこっちから攻撃を当てに行く。
一気に間合いを詰め、すばしっこい脚を狙う。
右太ももを狙って振った剣は宙を斬り、目の前から彼女がいなくなった。
慌てて身を後ろに下げ周りを見るがどこにもいない。
「(違う、真上だ!)」
太陽光が眩しく、彼女を視野に捉えられなかったのだろう、彼女の攻撃を受けとめたはずが少しずれて私の腕に彼女の剣が直撃した。
「うぅっ!」
硬化していた腕に振動が響く。
「(だがまだやれる!)」
「腕にヒット~。」
相手が嬉しそうに囁く。
着地した彼女目掛けて剣を振り下ろす。
受けとめられ弾き返される。
何度も彼女に攻撃を仕掛け隙を狙う。
角度を変え強さ、テンポを変える。
相手が速さなら、こっちはテクニック。
加速する暇を与えない程に相手を混乱させる。
フェイクを交え相手の視界外から攻撃を入れる。
だが相手も食らいつき、隙を見て剣を突くため腕を伸ばす。
だが相手が狙った隙は、わざと作った隙。剣が来るタイミングや位置は読み取れる。
剣を突いた腕を私は掴み、話さない。
「何!?」
「つーかまえた。」
即時に、相手の首を剣で叩きつけ意識を刈り取った。
「勝者、メザイヤ・ノアザミ!」
「僕の、勝ちだ..!」
沸き上がる観客達に目を向けると、受けしそうに見届けているレオーネ君が目に入った。
「僕は君に間接的だけど勝てたかな?レオーネ君。」
私は心が嬉しさで満たされた。
レオーネ君が視界から離せない、離れなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
メザイヤさんは美しい剣裁きで相手を誘導して、勝利を掴んだ。
「すごいよ..メザイヤさん!」
気がつけば僕はメザイヤさんのもとへ駆けつけていた。
すると、メザイヤさんは照れくさそうにお礼を言った。
「これで上位四名入りですね!」
「優勝が見えてきましたね!」
「え?あぁ、だけれど優勝は無理そうかな。」
「え?何故です?」
「次は三年生との戦い、しかも最強クラスらしいよ。」
「二年の差はおっきいですよね...。」
「まぁ、出来るだけ頑張ってみるよ。」
「頑張ってください。」
僕にはメザイヤさんの強さ、技量が計り知れなく思えた。
間違いなく、彼女が一年生最強だ。
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