第20話 《二人の思い出》
「ん、朝か...。」
木漏れ日を浴び目を覚ます。
昨日の戦いで体がいつもより重い。
「おはようございまーす、ってあれ?」
リビングに入ると、いつもは既に起きているはずのエリーナさんがいない。
「また拐われたか!?」
昨日のことで心配になり、小走りでエリーナさんの部屋に入っていく。
「ッ!」
勢いよくドアを開けたが、そこには布団にうずくまるエリーナさんがいた。
「うぅ、カー君、おはよ。」
「お、おはようございます。」
「どうしたの?」
「(まてよ、許可無しに女性の部屋に入るのはプライバシー侵害では!?)」
「あ、あの~朝起きてなかったので、心配になって...。」
「あーそう言うことね。ちょっと疲れちゃっててね。」
「あ、じゃあ、今日は出掛けるの止めます?」
「いや!行く!」
「まずは起きてくださいね。」
ドアを閉めリビングに降りる。
朝ごはんを作っていると、着替えたエリーナさんが降りてきた。
「では、出発しますか!」
「行きましょう!」
朝ごはんを食べ終え身支度をすると、バルッセ王国の都市に行くため出発した。
少し歩くと小さな村があり、そこで馬車に乗せてもらう。
「何気に私、都市に行ったことないんだよね~。」
「楽しみですね。」
「また拐われないよ、ね..?」
「昨日のことがあったので今日は安全かと思いますよ。」
「だよねー」
馬車に揺られながら目的地を目指す。
「そういえば昨日の組織はなんだったのでしょう?」
「ん~、なんかどこかで見たような見てないような..。」
「見たことが、ある?」
しばらく沈黙が続く。
こういう時間は気まずくて何をしたらいいかわからない。
「あ!たしかミサベラ家の家紋が私の囚われてた施設に描いてあったんだよ!」
「ミザベラ家?」
「そうそう、数十年前に世界征服をしようとした魔法師の家系で、よろしくない研究をしていたんだよね。」
「研究?」
「うん、ミザベラ家は魔人族の血が最も濃い家計でね、魔獣の血を自分達に取り込んで強大な力を手に入れたんだよ。」
「その力を使って世界を手に入れようとしたわけさ。」
「だけど、ミザベラ家は魔人族に近い血統を手に入れたんだけど、数年前に一族が根絶やしにされたんだよね。」
「ではなぜ滅亡したミザベラ家の家紋があったのです?」
「ん~わからない。」
「それにしてもミザベラ家なんて学校では聞いたことなかったのに、物知りですね。」
「私の家系はミザベラ家と関係が深かったからね。」
「ミザベラ家は危険過ぎた、というわけですね。」
「そのと~り。」
「(僕が平和に暮らしているなか、世の中の裏では沢山の事件があるんだな。)」
「だけど、一族根絶やしとは、やりすぎだと思わない?」
「確かに、そうですね。」
「あ、もう都市が見えてきたよ!」
話している内に王国の都市についた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ここが都市、人が多いねぇ~。」
「確かに、だけどバタンニ王国にはもっとすごいところもありますよ。」
「本当!?」
「隠居生活してる間に変わったな~。」
「そういえば、どのぐらい隠居してたんですか?」
「もう五年以上になるねぇ~」
「五年って、思ったより短いですね。」
「てっきり十年以上隠れてたのかと思いました。」
「ん?私は君と結構歳は近いんですけどー!」
「え!?」
「十年って、子供のときに指名手配されてることになるんですけど!?」
「す、すみません!先生と知り合いだから、二十歳は越えてるのかと...。」
「あーあ、なんかがっかりしちゃった。」
「いや、違います!年齢の割には幼く見えるなと思ってたんです!」
「信じてください!」
「てかさー、アナちゃんと友達ってだけで歳上だと思うのはおかしくな~い?」
「(確かに...勝手に勘違いしていた。)」
「本当にすみません!何でもするんで許してください...。」
「何でも、ね。」
「いいよ、じゃあプレゼントでも買ってきてよ。」
「それで許して上げる。」
「わかりました。買わせていただきます!」
「じゃあ、ここで少し待っててください。すぐ買ってきます。」
「え?何でおいてくの..。」
「なんかサプライズ的な?」
「私も一緒に買いに行く!」
エリーナさんが腕に抱きついてきた。
「お!?おぅ、わ、わかりました。では一緒に行きましょう。」
僕とエリーナさんは都市内の雑貨屋などをブラブラしながら見て回る。
ああでもない、こうでもないと議論を交わしながらプレゼントを決める。
途中からエリーナさんがアドバイスを言っていたりした。
もう、お金を渡して好きな物を買いに行かせたほうが早い気がする。
「このぬいぐるみ良くないですか!可愛い。」
「飾るところがないね。」
「じゃあ、このバックは!」
「色が..ねぇ...」
結局、二時間以上が経過してしまった。
「このコートは?」
僕は棚に豪華に飾ってあったベージュのコートを手にする。
「ん~私にこの服似合うと思う?」
「絶対似合いますよ!」
「エリーナさん可愛いし、美人だし、スタイル良いし!」
「これから寒くなるし、ちょうど良いですよ!」
「ほ、本当にぃ~?」
「はい!」
早く終わらせたい気持ちも少し含まれているのは黙っておく。
「じゃあ、これ買ってもらおうかな...。」
「よしっ!」
早速会計しに行く。
「(お腹すいたな...。)」
「これください。」
「はーい、二十グロパイス金貨で~す。」
「(ん?二十グロパイス金貨?)」
「(二十グロパイス金貨あれば最高級の鋼を使った剣がかえるぞ...。)」
「(...。高い!!!)」
「あの、お客様?」
「二十グロパイス金貨って、無理しなくていいんだよ?」
エリーナさんが心配そうに声をかけてくれた。
「(ここで棚に戻したら情けない!かっこいいところをを見せるんだ!)」
「お願いします!」
「どん!」と金貨を棚にだす。
「お会計、ありがとうございました!」
「ど、どうも..。」
「では、さようなら。」
「(良い買い物をしたな!うん、したよね、エリーナさんが喜んでくれるし!)」
僕は心の中で納得させる。けして後悔はしてない。
「あ、あの!この商品は今はやりのブランドの最新作で、証明書をお配りしているんですけど要りますか?」
「(ん、だからあんなに高かったのか!)」
「証明書があったら良いことがおきるんですか?」
「あの、証明書があると買い取りを行うさいに高く売れます。」
「偽物対策か。じゃあ、ください。」
「ありがとうございました~」
僕たちは店を後にする。
「ごめんね、私こう言う服買ったことなくて..。」
「いや、良いですよ。このコートを着たエリーナさん見たいし。」
「どうぞ!」
「私がこんなの貰って良いの?」
「良いですよ!元は僕がエリーナさんにお礼したいって言ったことだし。」
「ありがと、一生大切にするね。」
「じゃあ、お腹空いたしご飯でも食べに行きますか。」
「そうだね。」
僕とエリーナさんはお昼ごはんを食べながら今後の予定を組み立てた。
「明日ぐらいにはバタンニ王国に行きたいよね。」
「はい、僕も学園があるので。」
「(正直学園にいる皆と大きく遅れを取っているので、焦っている。)」
「じゃあ明日旅に出よっか。」
「そうですね、早めに出たいです。」
「バタンニ王国まで半月だっけ?」
「結構長いね。」
「まぁしょうがないですね。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「今日はデートに連れてってくれてありがと!」
家に帰るとエリーナさんがそんなことを言ってきた。
「デ、デートって..。」
「こんな良いコート買って貰ったし?これはデートだね。」
「確かに、初めてでしたけど楽しかったです。」
「私も楽しかったよ。」
ちなみに昼ごはんは予想外の出費があったので、二人でお金を出しあった。
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