第12話 《出発》
「だいじょうぶ!?」
病室の扉を勢いよく開けて、ダリアが来る。
「うん、なんとか。」
入院中の僕は、人と話すか筋トレしてるしか楽しみがない。
「試合見ててハラハラしたよ。痛そうだった」
「…腕は治るの?」
真剣な表情で僕の顔のを覗き込んでくる。
「回復魔法で治す予定だよ。」
「なるほどね、これから休みだし丁度いいんじゃない?」
「そうだね」
僕は、この休み期間で腕を治してもらうため、バルッセ王国に行く事になった。
バルッセ王国はここからかなり遠いらしく、馬車で半月はかかると先生は言っていた。
「まぁ元気そうでよかったよ。」
「トレーニングは、欠かさずやるんだぞ~」
「わかってる、左腕を鍛える丁度いい期会だしね。」
「出発は?」
「一週間後。」
「気をつけてね、」
「ありがと。」
ダリアはこの後用事があるらしく、早めに出ていった。
しばらくすると、
「折れた剣では勝ち上がれなかったね」
メアイザ・ノアザミさんがお見舞いに来てくれた。
「僕に勝った割にはボコボコにされてたね。」
「お恥ずかしい」
「あの試合は焦りすぎてたね、僕なら勝てた。」
「さすがです。」
「いつか君にリベンジマッチを仕掛けるから、こんなところで凹むなよ~」
「ありがとうございます。」
「よろしぃー」
その後も、ノアザミさんと世間話などをして時間が過ぎてった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
入院から一週間が経とうとしていた日、医者から運動をしていいと言われたので、早速左腕だけでの剣の練習をした。
ちなみに入院してすぐ、こっそり筋トレしていたので体力はあまり落ちていない。継続は力なり、だ。
いつもどうりの構えを左手でやってもうまく行かない。
「(普段右手で持っていたから、どうにも慣れないな...)」
困った。型がしっくり来ない。
「(誰かに聞くしかないな。)」
いつもは何事もロベリアに聞けばわかるはずだが、今は学園は休み、どこにいるのかもわからない。
僕が知ってるのは、ダリアの家の位置だけ。そこしかいくあてがない。
「どうやら困ってるみたいだね。」
語りかけてきたのは、セルシ君だった。
「どうにも左手で剣を使うのは慣れなくて。」
「そうだなぁ...一応僕は片手で剣を扱ってるから少しは教えられるかもだけど..」
「是非お願いします!」
セルシ君指導のもと、僕は基本的なステップ、構え、突きなどを教わった。
「まぁ基本的なのはこんな感じだね。」
「ありがとうセルシ君。これで少しは戦えそうだよ。」
「その身体で戦うのかい?」
「旅に出るんだ。」
「そっか、気をつけていってくるんだよ。」
この日から、左手で剣を扱う練習を始めた。左手は入院中更に鍛えたので、威力は問題ない。型もハマってきて我流を付け加えたり研究している。
新しい技を考えるみたいで面白い。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「レオーネ、遅くなったが明日出発する。一度家に帰り、身支度しろ。」
入院してから二週間ほどたった時、いよいよ旅に出るときがやって来た。
「馬車を取ったりなんなりで少し遅れてしまったが問題ない。」
「明日の朝病院前で待ち合わせだ。じぁあな。」
「分かりました。」
先生は帰っていった。
「(忙しそうだなぁ~)」
そしてやってきた翌日の朝、病院の前でまっていると大きな荷台を引いた馬車が走ってきた。
「でかいな、」
「レオーネ、お前はこの馬車にのって旅をするんだぞ。」
馬車を引いていたのは先生だった。
「貸しきりですか?」
「当たり前だ。魔物がいる森などを抜けて行くんだぞ」
「さぁ乗れ。」
そう促されて馬車の荷台に乗った。
荷台には屋根があり、中はまぁまぁ広い。そこに食料など荷物が置かれていた。
「では、出発するぞ。」
手綱を引っ張ると、馬が走り出す。
しばらくすると、バタンニ王国の国境が現れ、国境を抜ける。
ついに僕の旅が始まったのだ!
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「...。」
「...」
気まずい、担任の先生と二人っきりで気まずいわけがない。
更に女性なので、話の内容が合わないかもしれない。
先生はただひたすら馬車を走らせている。
「せ、先生は、何でそこまでして僕に付き添ってくれるんですか?」
「この腕は僕が無茶した結果ですし。」
「...まぁそうだな。だが、目的は他にある。」
「他、とは?」
「最近ファレル王国に怪しい噂があってな、近いうち戦争になるかもしれないから、バルッセ王国と話し合いをしに行くんだ。」
「それで、先生が派遣されたと。」
「こう見えて私は王国内でお地位は高いんだぞ。」
少し会話が弾んでいると、いきなり馬車が止まった。
「近くに魔物がいる。こっちを狙っているぞ、馬車から降りろ。」
そう促されて馬車からおり、戦闘態勢にはいる。
「短期間で戦い方を身に付けたか。やるな」
「それほどでも。」
会話をしていると、茂みから三匹の魔物が現れた。
四足歩行の魔物で、人と同じぐらいのサイズ。
「私が右の二体を、」
「僕が残りを」
身体強化魔法を唱え、前方にいる一体に攻撃を仕掛ける。
左手初の戦闘だ。
魔物が突進してきたので、こちらも走り出す。
すれ違う寸前に横に避けて後ろ足を突く。
相手が怯んでるうちに首を切断。
初戦闘が終わった。
とっくに先生は終わっていた。
「なんとかやりましたね。」
「なかなかのものだったぞ。」
「さてと、」
「ここからだな」
気づけば僕たちは魔物に囲まれていた。それも数十体。
「さっきの魔物の上位種みたいだな。」
「さっきのは気をそらすためか?それとも、こちらの力を把握するため?」
「あり得るな。」
「こんなに賢いなんて聞いてない、」
「とりあえず戦え。」
すると一斉に魔物が襲ってきた。
僕は攻撃を避けつつ傷を与えていく。
対する先生は、向かってくる敵を一刀両断していき、確実に数を減らしていく。
僕は徐々に体力が減っていく。
ある程度左手で戦えるようになっただけで完璧ではない。無駄な動きが多い。
「しまった!」
一匹が僕の右腕に噛みついてきた。
「うぐっ!」
一気に力が抜けていく。
その一匹をきっかけに、次々魔物が攻撃してくる。
受け流すのにいっぱいで、反撃ができない。
すると、目の前に、一筋の光が魔物たちをなぎはらっていく。
流星のように輝き、魔物を喰らってく、なんて美しい剣さばきなんだろうか。
僕は美しい剣さばきに目が離せない。
先生は辺り一帯の魔物を蹴散らした。
「大丈夫か!?レオーネ。」
「はい、なんとか...」
右腕から血が滲み出てきている。
「大丈夫だ、治癒してやろう。」
「ありがとうございます。」
先生に治癒してもらう。
「…やはりお前はあの構えの方が似合うな…」
「なんか言いました?」
「何でもない、こちらの話だ。」
僕は先生の剣さばきを目の当たりにし、自分の中のなにかが燃え上がってるのを実感した。
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