第10話 《1年トーナメント戦②》
「お疲れー!カイン!」
ダリアが明るく声をかけてくれた。
「ダリアもお疲れ様。」
「いやー惜しかったよー」
ダリアは、上位6名まであと少しのところで負けてしまった。
「優勝まであとちょっとだね。」
「あぁ、負けるわけにはいかない。」
「次の相手は厄介だよ。気をつけて。」
「強いの?」
「うん、優勝候補だよ。」
「用心するよ。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「今年の1年上位6名が決まりました!」
「トーナメント戦も後半戦です。」
「準々決勝一回戦は、カイン・レオーネ対メザイヤ・ノアザミ!」
出番がやってきた。
上位6名に入ったので緊張はあまりしてない。
「よしっ!」
そして現れたノアザミさん。
「(見た目はあまり強そうじゃないな。)」
ダリアが言うほど強い感じはしない。
青みがかった黒髪の女性で、眠そうな顔をしている。
「構え」
「ッ!」
ノアザミさんが構えた。
構えに隙がなく、どこに叩き込めばいいかわからない。
「開始!」
少し驚いていると、初手をとられた。
「(しまった!)」
相手は一直線にきたかと思えば、急に横にずれ、横から攻撃を仕掛けてきた。
「捉えた!」
僕は向かって来るのに合わせて、剣を振るった。
「(消えた!?)」
僕は宙を振るっていた。
「!?」
上から気配を感じたので、慌てて転がる。
案の定上から剣で地面を突き刺していた。
「(今の隙に身体強化だ。)」
一瞬の隙をみて身体強化を唱えると、今度はこっちから攻撃を仕掛けた。
彼女目掛けて剣を縦に降る。
かわされた。
横、斜め、剣を振るっても避けられる一方。
「(ならば壁際に追い込む!)」
徐々に壁まで追い込んでいくと避けをやめ、応戦してきた。
「はあぁぁぁー!」
「ギジィィン!」
「グハッ!」
壁に叩き込まれた。
「(こいつ、力も強い!?)」
彼女は眠そうな表情一切変えず、迫ってくる。
僕は再び構え、最高速で仕留めにいく。
彼女の上半身目掛けて剣を横におもいっきり降る。
「!?」
リンボーダンスをしているかのように、上半身を曲げて避け、すかさず僕の腹を蹴る。
勢いよく上に飛ばされた僕は、着地のために受け身の準備をすると、更に上から蹴られ地面に叩きつけられた。
「くっ!」
幸い身体強化をしていたので、気絶することは無かった。
トドメをさすべく彼女が近付いてくる。
「(参ったな、相手は自分より早く力強い。勝つためには攻撃を当てなければならない。)」
「(攻撃を当てるには、動けないように捕まえる。)」
「よしっ、」
彼女がトドメの一撃を放つのをまつ。
「(神経を集中させるんだっ!)」
目を閉じ、自分の感覚を研ぎ澄ます。
首もとの風の流れが変わるのを感じた。
「いまだ!」
剣に魔素を流し、全力で受け止める、
「バキィン!」
「彼女の剣を捉えた!」そう思い目を開くと、
両者の剣が粉々に砕け散っていた。
剣の破片が宙を舞い、キラキラと輝いている。
彼女が一切変えなかった表情は変わり、目を大きく見開いて動揺している。
圧倒的自信がある人ほど、破られたときの対策は考えてない。
僕は彼女が見せた一瞬の隙を逃さず、折れた剣を投げ捨て彼女に抱きついた。
けしてやましい気持ちがあったわけではない。そう、抱きつかなければ彼女に一生触れられない、そう思ったからだ!
「(この際場所なんて関係ない!掴めるところに飛びかかるんだ!)」
「キャッ!」
「捕まえたぁぁぁぁ!」
さて、抱きついた後はどうしよう。峰打ちか?馬乗りになって殴り続ける、それはかわいそうだ。
僕は彼女の身体を探り峰打ちを狙う。
「チョッ!」
「そこだめ//!」
「(クソッ!彼女が暴れて狙いが定まらない!)」
僕がもがき苦しんでいると、
「参りました!もう降参ですぅー!」
「そこまで!」
「勝者カイン・レオーネ!」
「勝った?まさか降参するなんて思ってもいなかった。」
「はぁはぁはぁ...」
ノアザミさんをみてみると、息をあら上げ服が乱れ、半泣きになっていた。
「!?」
僕は冷静に彼女にしたことを思い出した。
無理やり抱きつき、身体を触る...
変態じゃねぇーか!!!!
「あ、あのぉぉぉ。」
「申し訳ございませんでした!!!!」
僕は土下座をし、頭を地面に叩きつける。
「カイン・レオーネ君、次の試合があるので退場願います。」
「あ、すまません。」
審判にそう促され立ち去ろうとする。
「あの、だいじょうぶ、で、ですか?」
一向に立ち上がる気配がないノアザミさんに声をかけると、
「腰が、抜けてしまって..」
「あ、あのぉ..手貸しましょうか?」
「お、おねがいしますぅ、」
こうして僕たちは、身体を密着させながら会場を後にする。
彼女の吐息が間近で聞こえ、ドキドキしている。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「さっきは申し訳ございませんでした。」
僕はそう言って、彼女に謝る。
「勝つためだもん、しょうがないよ。」
「にしても剣が折れるとはな~驚きだよ。」
「はい、僕も驚きました。」
「レオーネさんはこの後どうするの?たしか、武器の替えは違反じゃなかった?」
「そうですね、折れた剣で勝ち上がってみせますよ。」
「すごいね。」
「ノアザミさんも、すごい速さと強さでしたね!」
「そうだね~、正直負けると思ってなかったよ。」
「君の試合を見てたんだけど、君は土壇場に力を発揮するね。」
「まぁギリギリですね...」
「面白いなぁ~。君に興味が湧いてきたよ。」
「あ、ありがとうございます。」
「それにしても、ちゃんと目を見て話してくれないかなぁ~。」
「そ、それはぁ~」
あんなことがあった後だ。彼女の顔を見るとドキドキしてしまう。
「どーしたの?」
気づけば彼女が顔の近くまできていた。
「うわぁ!」
心臓が高鳴り顔が真っ赤になっていた。
「もしかしてドキドキしてるでしょ、さっきのことで」
「まぁ、はい。」
「安心して、僕もドキドキしてるから。」
「えっ?」
「準備決勝第1回戦、カイン・レオーネ対バンレル・ザック」
「両者位置について下さい。」
「呼ばれたよ。」
「そ、そうですね。じゃあ、」
「頑張ってね。」
見送る彼女はどこか寂しそうだった。
「変態」
会場に行く途中、ダリアからそんなことを言われた。
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