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Alternative World  作者: ねこまんま
▼第1章 新たなる世界
7/14

#3 旅立ちⅡ

日常もそこそこ挟む予定なので会話が多いかも。

ゆったりと話が進みます。

 心地よい風が肌をなでる感触に気が付く。どうやら横になっているようだった。床の感触は草かな?暫くそのままでいると不意にひんやりとした感触を感じる。


「つめたっ。なになに!?」


 起き上がりその感触がしたのを確認しようとするが、その前に視界に入ってくる光景に驚いてしまった。


「わぁぁぁ!」


 はしゃいだ子供のような声を出してしまったがそれも仕方ないだろう。目の前には実に雄大で感動的な光景が広がっていたのだから。

 AOにも似たような場所はあったけれどはここまでは再現されていなかった。

 いや、爽やかな風に草の匂い。感触。全てにおいてこれがゲームではなく現実だということが実感できる。


「すごい、あの胡散臭い管理者が言ってたこと嘘じゃなかったんだ」


 感動しているとまた手の甲に先程の冷たさを感じる。目の前の光景に唖然しているたボクはそのひんやりとした感触に正気に戻り、確認すると


「なんだろこれ。スライム?」


 そこにいたのは白みがかった透明で丸みを帯びたボディ。

その体は不定形なようで常に形を変えている。

中央にはコアのような物も見えていて、恐らく俗にいうスライムという奴だろう。

 指先でつついてみればぷにぷにとその部分が変形する。面白い。


「ひんやりした正体はお前かぁ。起こしてくれてありがと。でもそっか、もう異世界なんだ。君は大丈夫だったみたいだけど他にも魔物はいるんだから気を付けないといけないね」


 ふと相棒の様子を確認すると、どうやら腕輪型になっておりまだ起動はしていないようだ。その際に自分の服装を確認するとAOの時のままだった。


「あー、流石にこのままじゃ変だよね、そういえばロトがインベントリに何か入れておくって言ってたけど」


 AO時代にやっていたようにメニューウィンドウを出そうとすると、目の前に透明な板のような操作盤が出現する。

 念じただけで開くとは便利、と思いつつ確認していくとAO時代とは色々変わった項目もあるがその中にインベントリを見つける。

 開いてみると一番上にコートがあった。取り出してみると黒を基調としたコートに所々刺繍もされているが落ち着いたデザインで割と好みかも。


「少し目立つ気もするけど今の装備よりはいいか。それにしても収納機能が使えるのはありがたいな...よし。さてと、見当たす限りでは広いだけで建物らしいものはないし奥に森がある以外何も見えないけどとりあえず道でも探そうかな、それを辿れば街か村には着くでしょ」


 気合を入れなおし足元のスライムに挨拶するとスライムはぴょんぴょんと跳ねながら去っていく。それを見送ってからボクも最初の一歩を踏み出した。



 ~3日後~



「もう...ダメ...お腹すいた...そうだよね、AOでは疑似的に空腹のシステムがあったけどここはもう異世界。お腹もすくよね。この感じも久しぶりな気がするよ...」


 やっと道を見つけたというのにどこまで歩いても道しかなく、誰も通らなければ野生動物すらいない。

 歩き疲れた少女はついに空腹で倒れた。


「¡ᴉo>oɹᴉsᴉzuǝɥ¡ɐʞnqnoʎzᴉɐp nʇɐʎnɹoǝʇǝɹoɐʇᴉuoʞos ᴉo」


 ガタガタという何か乗り物のような音と声が聞こえる気もするがそちらを確認することもなく意識が途切れてしまう。



 ♢          ♢



 馬車の御者をしつつ毎度の商売のために村へと向かっている途中。道の先にふらふらと歩いている黒ローブが見える。


「なんだぁ?見るからに怪しそうな奴だな」


 独り言をいいながら警戒しつつ進んでいると、そのローブがぶったおれた。


「おい、そこで倒れている奴大丈夫か!返事しろ、おい!」


「どうかしたんですか?ウォーレンさん」


 声をかけてみるが反応はない。どうするか考えていると馬車の中から弟子のレクターが顔を出して来た。


「おぉ、なんか道の先で突然倒れたやつがいてな」


「えぇ!?大変じゃないですか!助けましょうっ」


 レクターが助けろというので仕方なく近くに馬車を止めてそいつを拾うことにした。



 ♢           ♢



 背中が痛い。ガタンゴトンという音と共に何かに揺られているような。


「.......んっ」


「お、目が覚めたか」


「んぁ、此処は?君は誰!?」


起きたら目の前に知らない男がいた。

咄嗟に構えをとると、呆れた様子で声をかけてくる。


「おいおい、寝起きに物騒だな。俺は道で倒れてるお前を拾ってやったんだ。助けてやったんだから殺される謂れはねぇぞ。」


 男の答えに周囲を見渡す。荷台に幌、揺れてるってことは移動中?てことはもしかして馬車なのかな?

 確かボクは道を探していて、見つけたからそのまま歩いてた...までは覚えてるけど空腹で意識は朦朧としてたしその後の記憶がない。気絶した?だとするとこの男性は助けてくれた人なのかな。

 とりあえずそうだとしたら今の自分の姿は割と失礼だ、と思い構えを解く。


「おう、状況理解してくれたか。よかったよ、お前さんが突然襲いかかってくるような危ない奴じゃなくて」


「あはは、すいません。つい反射的に...もしかして貴方がボクを助けてくれたんですか?」


「一応そうなるな。俺はスルーしてもいいかと思ったんだが弟子が助けろと言うから怪しさしかねぇ恰好だがとりあえず拾ってやったんだ。今は御者をさせてる」


「あれ?割とシンプルなデザインのローブだと思ったんだけど変なのかな?」


「王都とかじゃいるかもだがこんな辺境の地にいるにしては上等なローブなのは一目見りゃ分かる。そんな奴がこんなとこうろついてたら怪しさしかねぇだろうよ」


 なるほど。辺境だったのか。それなら確かに怪しいかもしれない。


「助けていただいてありがとうございました、ボクの名前は八桜 薙と言います」


「ヤザクラ?随分と変な名前だな」


「あ、そっちは苗字でナギが名前です」


「ほぉ、てことは東方の出身か?そっちにはお前さんみたいな名前の奴がいるそうだが」


「あ~、そうなんですね。すいませんまだこの世界については詳しくなくて」


 言った瞬間あ、しまったと後悔していると男は「この世界?」と聞き返してくる。


「あぁいや、あはははは。気のせいですよナンノコトカナァ」


(取り合えずごまかしてみたけどこれは明らかに怪しんでるなぁ)


「ほぉん?まぁいいさ。お前さんが何者でも俺には関係ねぇ。聞きたいのは何であんなとこで倒れてたかだ。聞かせてくれるよな?」


「実は突然この辺りの草原に飛ばされたみたいで街か村を探そうとしてたら道を見つけたから歩いてたんですが食料とか持ってなかったもので、あはは」


「なるほど、つまり行き倒れか。通りでさっきから腹の虫が鳴ってるわけだ。そういうことならちょっと待ってな」


 そういうと男は近くにあった箱から果物を取り出し手渡してくる。


「いいんですか!?ありがとうございます!」


 見た感じ普通のリンゴのような物をもらったので、もぐもぐ食べているとまた男から話しかけてくる。


「しかしまたこんな辺境に飛ばされるとは災難だったな。お前さん転移者なんだろ?」


(ぶふっ。バレてるじゃん)


「げほっごほっ、っえ?なんで、いやチガイマスヨ」


「ごまかす必要はねぇよ。その身なりと話し方で最初は貴族かとも思ったがなんとなく違う気がしたしな。それに無理して敬語を使う必要もねぇ。見たところまだ子供みたいだし気にするな」


「あはは、ばれてたかぁ。まぁそうなるのかな。敬語になるのは初対面の人だと緊張しちゃって、癖なんだ」


「(癖だぁ?)それでいいんだよ。名乗っていなかったな、俺の名前はウォーレンだ。積み荷を見りゃ分かるだろうがこの先の街で武器屋をやってる。今は辺境の村に行商にいってた帰りだ。そしてこの道は通る人間も少ない。運がよかったなお前さんは」


「なるほどそれで誰もいなかったんだ。ほんとにウォーレンさんに助けてもらってよかった。あのままじゃのこの世界に来たばかりなのに野垂れ死んじゃう所だった。そういえばボクが転移者だってことに気づいても驚いてないね?」


「さん付けもいらねぇよ。少しは驚いてるさ。だが稀にいるし俺も昔似たようなのに会ったことがある。そいつは召喚者だったし勇者と名乗っていたが」


「へぇー勇者!この世界にも勇者っているんだね。てことはやっぱり魔王とかも?」


「いるっちゃいるが別に戦争とかはしてねぇぞ。とうの昔に戦争は終わってる。まぁまだ昔の魔王派の魔族共は残ってるらしいから小規模なのは起こってるだろうが今じゃ別に人間と魔族の関係は悪くねぇ」


「そうなんだ。それは意外」


 などと雑談していると突如、ヒヒィーン!と外から馬の鳴き声と男の子の悲鳴らしき声と共にガタン!!と馬車に衝撃が走り停止する。


「どうしたんだろ?突然止まったみたいだけど」


 外の様子をうかがおうとした瞬間叫び声が聞こえてくる。


「おい、中にもいるんだろう!出てきやがれ!」


(うわぁこれはもしかしてよくある盗賊フラグかな?)


「ちっ、野良の盗賊だ。レクターはまだ無事か」


「どうするの?」


「もう少しで街だってのに運が悪いな。誰かさんを拾ってたせいで時間くったせいか?」


「おじさん割と余裕だね。じゃあ助けてくれたお礼にボクがやるよ」


「はぁ?お前はまだ子供だろう。武器も持たねぇガキが危険だ。俺がやるからお前は弟子をたのむっておい!」


 ボクはその静止を無視して立ち上がり、外に出る準備をする。


「まぁ任せといてよ、これでも腕には少しは自信あるんだ。それに武器ならここにあるよっ」


そう言いボクは腕輪を見せ相棒へと問いかける。


「マキナ、起きてる?」

『yes my master』


(うん、ちゃんと起動しているみたいだし問題なさそうだ。)


「じゃあ行ってくるね!」


 そう声をかけるとボクは幌の外へと飛び出した。

やっと異世界についたクオン(ナギ)、だがそこには草原しかなかった。仕方ないので街を目指し道を見つけひたすらに歩き続け、行き倒れもしたがなんとか馬車に拾ってもらい一息つくことに成功する。もう少しで街に付くというその時、馬車を狙う悪党共に絡まれてしまう。クオンは悪党を倒し、無事に街に付くことができるのか!?

次回「異世界と言えばやっぱりこれだよネ!」

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