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幽体離脱を通じて外界の惑星を旅行した人間の生存話


第三話 朝鮮朝の女性、金華永(キム・ファヨン)



慶尚道(キョンサンド)安東(アンドン)で生きていた金華永(キム・ファヨン)という女性が300年後に転生して朴奉軾(パク・ボンシク)の娘として生まれた。


金華永(キム・ファヨン)の家門は、安東(アンドン)の一つの地域を本貫とし、両班(ヤンバン)のふりをしていた勢族だ。 しかし、士大夫の階級に属しながらも彼女の家は、官職から排除された。 その当時は党派争いが白熱しており、畿湖地方に根を置いた老論の系列が官職を独占した。 彼女の家門は他の嶺南(ヨンナム)地域の士大夫たちのように 南人系列に属していた。


官僚となることができなかった両班たちは家で本を読みながら静かに暮らしたり、寺子屋を開き、学童たちを教えた。 先代から多くの土地を譲り受けた士大夫たちは、官職に行かなくても、ぜいたくに生きていたが、財産がない両班の家は生活が難しかった。


金華永(キム・ファヨン)の家は土地を多く所有した金持ちだった。 華永(ファヨン)金有瓚(キム・ユチャン)韓眞敬(ハン・ジンギョン)の間で第一児で生まれた。 彼女には珉永(ミンヨン)俊永(ジュンヨン)という2人の弟がいる。 金有瓚(キム・ユチャン)は金持ちだったにもかかわらず、子どもたちに質素な生活を要求し、家の下人たちの人格と生き方を尊重したために、身分の高下を問わず、多くの人たちから称賛を受けた。


しかし、金有瓚(キム・ユチャン)は官職の道がふさがって、自分と子どもたちが抱負を発揮できないことをいつも残念がっており、息子の出世が不可能なら、婿が代わりに高位官職に就くことを期待した。 娘だが、華永(ファヨン)に両班家の規範を教えて經典を読むようにしたこともそのような念願のためだった。 華永(ファヨン)が貞敬夫人になれば子孫たちに官途が再開し、両班家の地位を強固に維持できると判断したのだ。


金有瓚(キム・ユチャン)は娘の年が十五に到達すると、すぐに老論の系列に属した家門の若者として婚期に満ちた婿候補を物色した。 学問が優れて科挙に及第しかねない人物なら、経済的支援を惜しまない考えだった。 そんなに一生懸命花婿候補を物色した結果、ついに○○尹氏家で似合うお壻さんを見つけたがその和子と婚姻がなされるようになった。


新郎は鋭敏な人として知られたが、彼の祖父と父が下位の官職にとどまったためか、暮らし向きは楽ではできなかった。 さらに、生母が早く死亡したことで、母方の実家で育った。 当時、花婿の父は下位職の察訪(チャルバン)として、黄海道で外房勤務中だとした。


金有瓚(キム・ユチャン)は新郎の家の経済的窮乏については全く問題視しなかった。 家の財政状態まで良い権力者の息子なら華永(ファヨン)のペアにならないと判断したためだ。 華永(ファヨン)の家の経済力は官職の道が開かれている程度の壻を得られる手段だった。


華永(ファヨン)は年十七に生員試験に合格した四歳上の尹基升(ユン・キスン)と婚姻した。 結婚が実現されると、金有瓚(キム・ユチャン)と家族たちはまるで科挙及第者が出たように喜んだ。 漢陽(ハンヤン)に住んでいた新郎は安東(アンドン)にある新婦の家に来て婚礼をすませて、妻の家に泊まり、過去の試験を準備した。


当時は新婦の家で婚礼をすませた次の3日程度滞在して新郎の家に入って夫の両親に挨拶して本格的に嫁入り暮らしを開始するのが一般的慣例だったが、妻の実家が豊かか、遠くに離れていたら最初の子供を産む時まで、妻の実家で暮らすのをする場合も多かった。 尹基升(ユン・キスン)の場合、父親が黄海道にとどまっただけに、急いで漢陽(ハンヤン)家に帰る理由がなかった。


新郎と新婦に夢のような日々が続いた。 早婚が一般化した時代だが、華永(ファヨン)の体と心はすでに男性を受け入れることに十分成熟していた。 房事が苦手だった初めての数日が過ぎた後から新郎と新婦は男女の交わりが与える面白さにすぐに陥った。 異物のようだった張りのある男性のシンボルが自分の体を開けて入って来るたびに、華永(ファヨン)は堪えられない歓喜に身を震わせた。 尹基升(ユン・キスン)の手先だけ触れても彼女の肉体は燃えそうだった。 両体が一つにかかわると、夜を明らかにしがちだった。 そんな時は、新郎を客間に呼び出して勉強を促す父が恨めしいた程度だった。


基升(キスン)やっぱり初めて味わった性的快楽の泥沼から脱することができなかった。 科挙試験を準備しようと本を開いても目には文字の代わりに華永(ファヨン)の肉体だけが見え隠れしていた。


そんなに六ヶ月が過ぎた時、外房勤務していた舅が漢陽(ハンヤン)に戻った。 官職が内職に変わったのだ。 基升(キスン)華永(ファヨン)も時を合わせて婚行の途についた。 今まで誰よりも大切に育てた娘を夫の実家に送らなければならない状況が起きると、金有瓚(キム・ユチャン)夫婦は心が重くなった。


しかし、娘夫婦を無制限に自分の家に泊まることにすることはできない。 むこ養子は妻の実家にとても長く留まると、未来がないとし、漢陽(ハンヤン)家に行き、本格的に科挙試験の準備に没頭してほしいと催促した。 華永(ファヨン)には早期に尹氏家の家風を習得することで、家門を再建して、夫が政丞の隊列に合流するように内助をしっかりしなさいと要請した。


「夫の実家の大小事をうまく処理しなければならない。 あなたの考えと行動で、我々の運命も変わりかねないからだ。 父は一日も早くあなたの夫が科挙試験に首席で合格したという知らせを聞きたいの。幸いにも我が暮し向きが楽ですから、あなたの生活が不自由しないように支援してあなたにも私の財産の一部を分配する予定だ。」


「心配しないでください。 父の教えと期待に反しないよう慎重に行動しようとします。」


漢陽(ハンヤン)があまりにも遠いために、華永(ファヨン)がそこに定着すると実家に立ち寄ることが難しいだろう。 もうよく会えない気に 金有瓚(キム・ユチャン)夫婦と華永(ファヨン)の弟たちは非常に悲しんだ。 華永(ファヨン)は夫の実家へ贈る贈り物と暮らしの元手を満載して家を出た。 新郎は子馬に乗って新婦は輿に乗った。 金有瓚(キム・ユチャン)の家門の大小事を主管する朴氏がポーターと下女などの七人を引率して婚行の道を主管した。


一行は1日程度、洛東江航路を利用した後、陸路で変えて中原を経由した後、再び南漢江の水路を利用して漢陽に到着する予定だった。 礼安からあまり離れていない中原地域には華永(ファヨン)の母親の実家のあるので、漢陽(ハンヤン)に直行する代わりに、母方に立ち寄って休んで行くことにしたのだ。幼い頃から格別に孫娘を愛していたおばあさんは華永(ファヨン)が夫の実家に入ると、再び会いにくいと必ずお母さんの実家を経由するようにお願いして、華永(ファヨン)も母方家族が恋しかった。


洛東江下流の方に船に乗って行けば歩くよりもはるかに便利、遠く行くことができる。 しかし、日が短い季節だからハフェ村を過ぎるともう日が暮れ始めた。 一行はプンチョンで一泊した後、再びから再び船に乗り込んだ。 午後には船から降りて聞慶(ムンギョン)方向に歩いた。 それと姑母山城近くで一泊した。 翌日、一行は朝早く出発して聞慶セジェを向かって歩いた。


船に乗って移動する間にはつらいとは知らなかったが、山道に入ると皆が疲れていた。 新郎はロバに乗ったけどとても疲れた表情を見せ、御輿と荷物を運搬する働き手たちはずっと汗を流した。 それでも強行軍を持続した一行は辛うじて鳥嶺第1関門を越えて宿所を定めた。


次の日は嶺南街道から脱し、抜け道を通じて母親の実家のある中原地域で入ったが道がはるかに険しく、人影もまれな山道だった。 一行は午後遅く、ハヌルジェに到着した。 日が暮れるたが、ハヌルジェ峠を越えると、今の忠州市に該当する中原だ。 多分峠の向こうにある弥勒大院址には母方の働き手たちが迎えにでているはずだ。 その付近で一泊すれば翌日正午ぐらいにお母さんの実家に到達することができる。


ハヌルジェは、月岳山を越える峠だ。 科挙試験を受けるに漢陽(ハンヤン)に行く安東(アンドン)地域の両班たちは豊基-竹嶺-丹陽に行って漢陽まで水路を利用しでもなければ善山-尚州-鳥嶺-陰城-利川-廣州を経て、漢陽(ハンヤン)に到達する嶺南街道を選んだ。 その路線がよく整備されていて旅人も多い。 それでも華永(ファヨン)の一行がハヌルジェを超えたのは中原への近道だったからだ。 華永(ファヨン)は母方の家族を会うことに精神が集中して新婚生活物品を運搬する働き手たちは休むところだけ考えて歩みを早めた。


しかし、人跡稀な峠を選んだのが禍根になって華永(ファヨン)の婚行は悲劇に終わってしまった。 ロバに乗った新郎、輿に乗った新婦と嫁入り道具をたくさん背負った人夫らが、ハヌルジェの頂上にほぼ到達した頃予想しなかった事が発生した。 朝鮮王朝時代に韓半島の深い山中には虎とヒョウが生息していた。 人跡まれな山の中では地方官や捕り手より猛獣が通行人をさらに苦しめた。 毎年多くの家畜と人々が彼らに殺害された。


当時、月岳山で猛獣の王の役割をしていた虎が華永(ファヨン)の一行をそのまま通過させることはできないと判断したようだ。 成人男性が多数なので大丈夫だろうと信じて何の対策を設けなかったのが禍根だった。 一行が峠の頂上に到達していた瞬間に大きさが子馬ほどのトラが突然現れると、人夫たちと下女は、いずれもびっくり仰天して新郎と新婦を見捨てて逃げてしまった。


その時代に非常事態に備え、訓練をした筈がない。 一行の中で武芸が優れた人物もなかった。 そのような状況で極限の危機に直面すると自分だけが危機から脱却しようというのが人間の心理だ。


落ち葉できれいに染まった晩秋の景色を鑑賞しながら思いに沈んでいた華永(ファヨン)はうなる虎を正面から出くわし、気を失ってしまった。 新郎は明日なら到着する妻の母方の実家で疲れをとって妻を愛するシーンを夢見たかもしれない。 御輿と新婚物品を運搬していた働き手たちは、一刻も早く別の作業員に荷物を渡して安東(アンドン)に帰ることだけを考えたかもしれない。


誰でも予測できる危険要素を無視したまま、闇が降ったハヌルジェ峠を越えてもらおうと急いだために乱暴された。 家の中では'アシ(若奥様)!'してぺこぺこしていた召使いらが絶対絶命の瞬間が誤字すべて自分だけ生きようと四方に逃げた。 彼らはトラが人の話を聴くと'我々より両班たちの肉がもっとおいしい!''と叫びながら自分の命を維持しようとしたのだ。


月岳山とその周辺にはイノシシ、シカ、ウサギなど猛獣たちの食べ物が豊富なところであるため、このトラが腹を空かせなかっただろう。 成人男性たちが一丸となって対抗したなら、虎は後退した可能性が大きい。 虎が決死的に攻撃すれば、ロバの一匹を通行税に捧げることで、すべての人が無事だろうだ。


働き手たちは、このような状況を予め予想して対策まで用意しなければならないが、そうしなかった。 そして事故が起きた後、最も卑怯な選択をした。 誰もが驚いて混乱している状況で、そのような高水準の戦略を発揮できる人物であれば、そもそも卑しい仕事をする下僕の身分として生きることもなかっただろう。


とにかく完全に壊れた御輿とともに谷間に押し込まれた新婦は真夜中にたいまつを持った母方の人たちによって救助された。 ポーターと婢一人も遠くない所で傷だらけで発見されたが残りの一行は発見されなかった。 暗い山の中でたいまつだけで捜索するのも無理なので母の実家の人々は、ひとまず発見された人を担架に載せて撤退した。


翌日夜が明けると、華永(ファヨン)の母方では下人と町の人々を動員して事故地点付近を全部調査したのに新郎はロバと一緒に死んだまま発見された。 朴氏と他の働き手たちは、行方を知ることができなかった。 彼らは事故の瞬間驚いてどこかへ逃げたことだ。 彼らは、生きて帰ってきたらどんな悪口を受けるかもしれない状況だから、新婚物品を持って遠い所に逃走した可能性が大きいというのが捜索に参加した人たちの大方の見方だった。


失踪した人々の中には朴氏も入っている。 彼は下僕の身分で生まれた後、華永(ファヨン)の家で一緒に暮らしながら農業を手伝った。 大人になってからは小作農として働きながら、同時に華永(ファヨン)の家事を主管する執事の役目をした。 同輩である金有瓚(キム・ユチャン)が彼を信頼して家族のように、隔てなく接した。 彼は最後まで華永(ファヨン)を保護すべきだったが、虎に殺害されたのか生きているのか分からない。 生きていても華永(ファヨン)の家族を会う面目がないだろう。 安東(アンドン)には彼の妻子がいるが、現れなかった。


とにかく婚行の道は悲劇で終わって華永(ファヨン)は一瞬で寡婦になった。 彼女にはこれよりもっと大きな悲劇がない。 華永(ファヨン)夫妻を招待した母親の実家の家族らは、安東(アンドン)の娘の家はもちろん、漢陽の縁家に何と言葉を取り出したらいいか分からず困惑している。 母方の祖父母は傷心し、病気で倒れ、その他の家族たちもたまらなかった。


華永(ファヨン)の外部傷はそれほどひどくないが、精神的ショックが余りにも大きかった。 毎日うわごとをしながら気が抜けた人のように見えた。 可憐な孫娘の姿を見て、かえっておばあさんが先に元気を取り戻した。 まずは孫娘を生かすことが急がれるとして、家族にお粥を作って食べさせて薬草を煎じと指示した。 事故の一部始終を聞いた金有瓚(キム・ユチャン)が姻戚の家に真相を知らせ、基升(キスン)の父は子なくこの世を去った息子の遺体を妻の実家の先祖の墓に埋葬することに同意した。


華永(ファヨン)は一ヶ月になってどの程度心身が回復されると、実家に戻った。 朝鮮時代には婚行の道で寡婦になっても一生夫の実家で嫁入り暮らしをしなければならなかった。 しかし、本妻から生まれた唯一の息子を失った舅は傷心がとても大きかったのか子供を奪って行った嫁だとし、華永(ファヨン)を快く思わない様子だった。 子孫が途絶え、息子の遺体も婦人の実家の先祖の墓に埋められたから嫁が里に滞在しながら、息子の墓地をよく面倒をみるようにしたほうがいいと判断したのだ。


金有瓚(キム・ユチャン)の心的苦痛はどうだったであろうか? あれほどお互いを大切にしていた娘夫婦を見て、天生縁分と思ったが、わずか半年ぶりに無惨に新婚生活が終わってしまった。 すべてが自己責任のようで、耐えられない。 安東(アンドン)とその周辺にも、由緒ある家で、利口な壻が多かったが、官職の道が開かれた老論の家の結婚相手を探して、この惨憺たる事故に遭った。 あれほど活気が溢れた娘は魂が抜けた人のように見える。 ややもすると号泣するのが常だからそのまま置いて見ることもできない。


金有瓚(キム・ユチャン)は自分まで傷心していたら家が没落しかねないという考えに新たに心を整えた。 不幸はペアを組んで来るという昔の言葉のように自分が気を引き締めなければ憂患に繰り返されかねないと判断したのだ。 彼はまず、華永(ファヨン)の健康を回復させることに没頭し、婚行の道で不幸な事故に遭った朴氏とほかの関係者の家も世話をした。 うら若い身で未亡人になった娘を夫の実家で送れば虐待を受けたり心理的な苦痛で短命することができる。 したがって、華永(ファヨン)が実家で滞在することができて不幸中の幸いだと思った。


時間が経つにつれ、華永(ファヨン)はたまに悪夢に苦しんだり、虎の話が出ると、驚きながら悔恨の涙を流したが、表面的には健康を取り戻した。 しかし、 病んだ体が回復されると、未来に対する懸念が高まった。 両親が生きている間には手厚い世話を受けるがこの方たちがこの世を去った後にも残った家族たちと親しく過ごすことができるのか、不安したのだ。


何よりもうら若い身で未亡人として生きなければならない自分の身の上を考えると、耐えることができなかった。 わずか六月だが、夫と同じ布団を使いながら、夫婦の情を実感して、性的な結びのスリルも感じることができた。 天生縁分と思った尹基升(ユン・キスン)と共白髪し、貞敬夫人になる夢を膨らませたのが昨日のことのなのにどうして過酷な運命の主人公がなったということか! 彼女は生涯独身女性として生きなければならない身分に転落した自分の運命を容易に受け取ることができなかった。 貞敬夫人はおろか、一つ人の子供を持つことも許されていない運命がとてもつらかった。


婚行の道に乗り出したが、青天の霹靂を受けた当事者は華永(ファヨン)夫妻だけではない。 夫の実家まで同行しようとした小婢は安東(アンドン)に戻ってきて新しい人生を始めたが、若い時から農家の下働きしながら一家族のように過ごしていた朴氏は、行方が分からない。 朴氏は婢の娘と結婚した後、小作農をしながら有瓚(ユチャン)の家事を手伝った。 膝下に息子が一人いるが、家長が行方不明になったから、朴氏の家柄の雰囲気は見なくても明らかだ。 華永(ファヨン)より一歳年下の彼の息子の達遜(ダルソン)が父に代わって農業をしながら家事の面倒を見ているが、父と同じだろうか?


達遜(ダルソン)の母親は夫が行方不明になって、しばらく病気で倒れて身の上話ばかりして過ごすという音が聞こえたが、数ヵ月経つと、徐々に元気を取り戻して外部の出入りを始め、以前の明るい姿も回復したという。 人たちは歳月が薬という言葉は間違っていないと思った。 彼女はたまに仏に祈りするためのものとし、寺に入ってしばらく滞在したりする。 一方、自分の父に似て人物良く、健康な朴達遜(バク・ダルソン)が、昼夜問わず華永(ファヨン)の家を行き来しながら家族のように過ごしながら有瓚(ユチャン)の家族たちは、朴氏に対する残念さを癒すことができるようになった。


虎患が発生して3年が経ち、家族らは、あの時の悪夢から脱した。 歳月が流れ、死んだ人は忘れられるものであり、生きている人々には新たに気を使わなければならないことがしきりに生まれる。 弟の珉永(ミンヨン)の結婚が迫り、家の雰囲気は再び明るくなった。


まるで独房に閉じ込められた罪人のように、小部屋の片隅に隠遁したまま、さびしく生活していた華永(ファヨン)もいつからか、生気を取り戻した。 これまでお父さん、お母さんだけ相手するだけで、誰も親しく交わろうとしなかったが、家族を気兼ねなく対し始めた。 華永(ファヨン)の不幸を自分のせいだと考えるて苦しんていた金有瓚(キム・ユチャン)は娘のそんな姿は喜ばしい。


当時、平民や賤民はいくらでも再婚が可能だったが、両班の家の女は未亡人になれば、一生を守節しなければならなかった。 華永(ファヨン)の未来も未亡人の道のほかには選択の余地がなくて彼女を世話をしなければならない責任は家族のものだった。 金有瓚(キム・ユチャン)は自分が生きているときは大丈夫だろうけどその後は誰が娘の後を見てくれるか心配が山々のようだった。 婿が遺児でも残したなら、その子供を教える楽しみで生きたはずなのにそうもできなかったことが、実に残念だ。 娘を考えると心が重かったが、その娘が生気を回復したので、金有瓚(キム・ユチャン)の心がずっと軽い。


達遜(ダルソン)と彼の母親はすでに安定を取り戻して久しい。 朴達遜(パク・ダルソン)はお父さんに代わって処理することが多いせいか、とても忙しく過ごしている。 朴氏の妻はしょんぼりしていながら、一時は息子の結婚を急ぐ姿を見せた。 ところでお正月が過ぎた数日後、荷物を取りまとめて仏門に入った。 周りの人たちは子供である達遜(ダルソン)とも別れようとするのか知りたがったが、達遜(ダルソン)が自分のお母さんを制止しなかった。 多分縁を完全に絶つようではない。


誰も華永(ファヨン)が生気を取り戻した理由を知らない。 それは達遜(ダルソン)のためだった。 彼女は、世を去った尹基升(ユンキスン)の墓地を丹念に面倒を見て自分の雑用を引き受けて処理した達遜(ダルソン)をある瞬間から男として認識し始めた。 一歳年下の達遜(ダルソン)は幼い頃から毎日顔を見ながら 家族のように身近に相手にし、性格がいい子だった。


ところが、年齢が二十歳になると、人物良くて頼もしい男前がなった。 いやしい身分から生まれて注目を受けなかっただけで、男としてはある両班の家坊ちゃんと比べられないほどに魅力的だ。 金有瓚(キム・ユチャン)達遜(ダルソン)を見るたびに残念だった。


そんな達遜(ダルソン)華永(ファヨン)に生気を取り戻してくれた。 達遜(ダルソン)は幼い頃から華永(ファヨン)を片思いした。 身分の壁のために彼女の腕一度握ってみなかったが、他の女が目に入らないのは仕方がなかった。 自分の母親が紹介する女たちを毎回、断ったのも華永(ファヨン)を心に置いているためだ。 達遜(ダルソン)は幼い頃から片思いした華永(ファヨン)が、うら若い身で未亡人になると、一生彼女のそばを守ることを決心したかも知れない。


父親の代わりに金有瓚(キム・ユチャン)の家事を手伝って母が山の中にある寺に入ってから彼は門屋で寝る日が多くなった。 そしていつかから密かに華永(ファヨン)が滞在する離れに出入りし始めた。 華永(ファヨン)達遜(ダルソン)を先に誘惑した可能性が大きい。 尹基升(ユン・キスン)の三年目の祭祀を終えた後、彼を招いたようだ。 始めは苦労したと称賛するために呼んで次は、自分が解決することが難しい事をさせようと呼び出したことだ。 しかし、20代前半の男女が真夜中に密かに会ったら何が起こるかは自明だ。


いくら注意しても永遠の秘密はない。 華永(ファヨン)の活気に満ちた姿を怪訝の目で見た金有瓚(キム・ユチャン)に、ついにしっぽをつかまれてしまった。 金有瓚(キム・ユチャン)の立場では達遜(ダルソン)やつが憎くも二人の出会いで娘が生気を取り戻したのは幸いである。 多分、嫁がそんな様を見せたら、今すぐ放出した可能性が高いが、娘は肉親だ。 尹基升(ユン・キスン)を通じて男を知った娘が異性にひかれるのをどう非難だけできますか?


事実、達遜(ダルソン)は下僕の息子に生まれ、身分が卑しいことだけであって人物、心性、仕事腕前など、どれか一つも不足のない頼もしい青年だ。 金有瓚(キム・ユチャン)は男として非の打ち所がない達遜(ダルソン)が卑しい身分のために十分な待遇を受けないことを誰よりも残念がった。 金有瓚(キム・ユチャン)の家族たちも彼を高く評価しながら、家族の一員として相対した。


しかし、金有瓚(キム・ユチャン)は彼らを放っておけば、メガトン級の事故が発生する恐れがあることを知っているため、とても不安にした。 二人の不倫がうわさを流せば家の恥は言うまでもなく、姻戚の家に知られる日は華永(ファヨン)にどんな苦難が迫ってくるのかもしれない。 そんな状況だから、特段の措置を取らなければならない。 一人で悩んでいた有瓚(ユチャン)はある日娘を呼んで座らせては密やかに意中を探った。


「この国の風俗はは士大夫の家柄の未亡人が再婚することを容認しない。 だからお前はうら若い身で未亡人として生涯を秀絶するのが当然だが、それよりは身分が低くても頼もしい男を配偶者に会って、新しい出発するのがよくないのか? 代わりに遠く離れて隠れて生きなければならない。」


「……」


華永(ファヨン)は何と答えたらいいかわからず、いらいらした。 達遜(ダルソン)にそんなに気を付けなさいと言ったが、ばれたというのか? 父は考えが深く、非常に慎重な方だから大丈夫だが、他の家族や使用人に知れると大変だ。 華永(ファヨン)は羞恥心と心配のために顔を上げることができなかった。 気持ちとしては本音を打ち明けてみたいが、それも容易ではない。


「父が生きている間は一人になったあなたを助けることができるが、親が世の中を離れると誰があなたを面倒を見ることができるかな。 喜んで秀絶するのか、さもなければ両班(ヤンバン)家の規範に反して他の道を選択するかあなたの気持ちを打ち明けなさい。」


華永(ファヨン)が思ったら、父が達遜(ダルソン)との関係に気づいたことは明らかだ。 お父さんの言うとおり歳月が経つと残った家族が私をどのように対するのかな? 弟たちは一人で老いていく姉を悲しい目で眺めることだ。 甥たちが大人になったら私の立場はもっと惨めになるだろう。 むしろその前に静かに消えたほうがみんなのためにいいだろう。 父はそんな状況を念頭に置いて言葉を取り出したのだ。 いずれの場合にしても父の処分に従わなければならない。


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