cocoroにて
ケイコ先生に初めて会った次の週僕はcocoroにまた訪れた。
前の週と同じく白で統一された部屋でケイコ先生に悩みを聞いてもらっていた。初めて幻聴に囁かれた日のことから悪魔のような像が脳裏に見えることや辞書を引いたら傀儡という言葉を目にしたことや病院で出会った人の話やらかなりの時間を使って話した。うんうんとうなづくだけだったケイコ先生が僕の話を聞き終えると少し間を置いて言った。
「とうま君の話って面白いと思うわ。とうま君にとってみたら悩んだり怖かったりするかもしれないけど私からしたら映画みたいだもん。なんだかあの映画のあのシーンみたいだとか思って聞いてたわよ。」
ここでケイコ先生は一置き置いて、また話し始めた。
「とうま君、、私実はね、、」
と言ってケイコ先生が何か話すのを迷っているように僕には見えた。そこで僕は、
「ケイコ先生何でしょうか?僕の話ばかりしてたので先生の話も聞きたいのですが。」
と言った。先生は躊躇いながらも、
「私、自主製作映画を作っているの、、
でも一緒に作っていた仲間が辞めちゃったから、あなたに手伝ってもらえないかなって。病気のリハビリになるのかもしれないし。どうかな?あなたの体験を基にしても良いと思うし、私自身作りたいと思う映画があるし。」
ケイコ先生のなんだか無茶な誘いに僕は驚いたが毎日のように暇を持て余していた僕は了解することにした。
「それじゃ、明後日の夜、あそこの親水公園ってわかるよね?あそこに来てね。手ぶらで良いからね。」
僕はcocoroからの帰り道空っぽだった心に何か一筋の光が射すようなそんな感覚に浸っていた。幼い日にやったように道端に捨ててあるアルミ缶を蹴飛ばしながら家に帰った。