051 カリフ=エンポロス in コートロゼ
2話更新
「いや、もう、相変わらず滅茶苦茶な人でしたよ」
エンポロス商会の次期会頭として、カール様にくっついていれば、きっと面白いことに出会えるし、商会を大きく出来そうだと考えたのは確かですが……まさかいきなりこんなタマが飛び出してくるとは。
「あの方は、ご自分がやられていることの非常識さを、ちっとも理解されていませんから」
あきらめたように、秘書のシャリーアが言う。
全くその通りですね。
「それで、今度は何があったのですか?」
使用人のタリとマリムとトーリアが興味深そうに身を乗り出してくる。
「今すぐ詳しいことは話せないのですが、口に含んだお茶を吹き出したくらいのことはありましたよ」
「カリフ様がですか?」
信じられないと言った感じに、トーリアが聞き返してきた。
「そうです。それから、当面コートロゼに拠点を構えることにしました」
「え? こんな辺境に?」
とマリムが驚く。
「そうです。魔物の素材も数多く手に入る場所ですし、それより、カール様のおかげで辺境を気にしなくてよくなりそうなのです」
何のことだかさっぱり分からない3人は首をひねっている。
「カリフ様。しかしこの場所とバウンドを繋ぐ街道は、3つの貴族領に掛かっています。ひとつはリフトハウス様ですから問題にならないでしょうが、残りの2つは、商会が拠点を構えたと分かると、場合によっては高額な通行料を課してくる可能性も」
なにしろここはどん詰まり。迂回することもできませんからね。
「ふむ。シャリーアの心配は最もですが、それも大丈夫なのです」
「……わかりました。カリフ様のご判断を信じましょう」
「ありがとう」
いやはや着いた矢先にこれですからね、これから何が飛び出すのか、ワクワクがとまりませんな。ははっ。
予告通り2/1から、ローファンタジースタンダードの異世界貿易もの連載も始めてみました。
2本連続はキツイかな?
ボロアパートの壁が彼女の部屋と繋がってしまったので商会を営んでみた。
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