初めて好きになった人
お前の仕草が好きだった。
お前の笑顔が好きだった。
お前の優しさが好きだった。
お前の純粋なところが好きだった。
お前の顔が好きだった。
お前の…全てが好きだった。
なのに。
「――ぁぁぁああああああああ!!」
なんで
「――!!!、!!!!!」
なんで
なんで
「ああああああああああああ!!!!」
死ぬんだよ。
※
気づいたら、そこは自分の家だった。
頭が重い。体が重い。そして、俺の家は少し大きい気がした。
…そして、その理由をやっと、思い出した。
思い出したくもなかった。だけど、忘れたくもなかった。
俺には、彼女が、いた。
そして俺は彼女と強制的に、別れることになった。
理由は一つ、彼女は病気だったのだ。病名は、知らない。彼女がたいした病気じゃないからと、教えてくれなかったのだ。…だけど、たいした病気ではないと言われたのに、彼女は…いなくなってしまった。
たぶん、俺に心配させないために、あえて言わなかったのだろう。そしてそのことを俺は全く知らなかった。本当の彼氏なら、察してあげられたかもしれない。そうゆう思考が俺の体に染まっていき、泣き出してしまいそうな、おもいっきり、叫んでしまいたい気持ちになる。
彼女は俺の人生の中で初めて好きになった人だ。
彼女は俺に生き甲斐を教えてくれた人だ。
そんな彼女に、俺はなんにもしてやれなかった。
もっと、一緒に居たかった。
それだけをずっと思っていた。きっとこの先ずっと思っているかもしれない。
取りあえず、ずっとベッドの上にあった体を起こし、彼女がいつもいたソファーがあるスペースへ向かった。ただ、そこに行きたかったのだ。
そして、ソファーに腰かけたとき、お尻の下に、違和感があった。
それは、一通の手紙だった。
読み終えた後、俺は泣いた。大声で。涙が枯れるまで、ずっと、泣いていた。
※
好きな人へ。
この手紙を読んでいるということは、私は、きっと、死んでると思います。だって、いつも座っている私の場所をあなたが普段座るわけが無いから。私の特等席だと言って絶対に座らなかったあなただから。
私は文を書くのが苦手なので短いかもしれませんが、一生懸命書くので許してください。
まず、私はあなたが好きです。誰よりも、今まで会ってきた男性の中で、一番好きです。
あなたの、優しいところが好きです。
あなたの、変なところにこだわるところも好きです。
あなたの、いつも眠そうな顔が好きです。
…ほんとはもっとあるんだけど、今の私はこのくらいしか書けることが出来ません。
でも、私はあなたが好きです。それだけは変わりません。
私の病名、隠しててごめんなさい。あなたは私が病気だということを知ったとき物凄い形相で駆けつけて来たので、心配かけたくなくて、嘘をついてしまいました。後悔はしていないつもりです。
私は、独占欲が強いので、他の女と仲良くしてくださいだったり、私の事を忘れてくださいなどとても言えません。
ですが、あなたが好きになった女性なら私は目を瞑ります。私は、もう死んでしまうから、あなたの幸せを願うことしか出来ません。
もっと、一緒に居たかった。もっと、あなたといろいろしたかった。
あなたも、そう思っていてくれたら幸いです。
どうか、お幸せに。
あなたの彼女だった人より
頑張ったつもりだけど、書くのほんとつらい。他の作者には尊敬しか出来ません…。