【人類滅亡まであと46日】 何が神じゃ!!! オマエなんか高畑裕太とか野球指導者と同列のカスなんじゃ!
「このままでは人類が滅びます!」
腹が減って死にそうやのに、キチガイが大きい声で叫んだ。
『デカい声だすな、腹減って死にそうなんじゃ。』
「それは失礼しました! でもワイさん、どうして御飯を食べないんですか?」
『金が無いからや。』
「どうしてお金が無いんですか?」
『働いてへんからや。』
「どうして働かないんですか?」
…。
アレ? ワイ、何で働いてへんのやったっけ?
「どうして働かないんですか?」
『これは推測やが。』
「はい。」
『何度か懲役食らっとるうちに労働勘が鈍ったんやと思う。』
「ワイさんて逮捕される前は何をされてたんですか?」
『斫り職人や。』
「ハツリ?」
『いらんコンクリとかを砕く仕事やな。』
「? あー、イメージわかないですぅ。」
『道路とかをガガガッってやってるオッサン見た事ないか?』
「ああ!! ガガガですか!!! あれ格好いいですよね!!
何か面白そうです!」
『あれ結構キツいけどな。
ああ、思い出した。
ワイ、職人仕事探そう思っとったんや。
今は区切りが悪いから働けへんけどな。』
「何の区切りですか?」
『キヨシやな。』
「キヨシさんがどうなったら区切りが付くんですか?」
『おお。 キヨシの胴上げ見たら仕事するよ。』
「キヨシさんはいつ胴上げするんですか?」
『まあ、今年は難しいやろうな。』
「じゃあ、今年はお仕事しないってことじゃないですか!」
『ああ、言われてみればそうなるな。』
「お仕事しなければ御飯が食べられないんでしょ!
どうするんですか!!!」
『わかった。 キヨシには厳しく言っとく。』
「キヨシさんに厳しく言おうとして神奈川県警さんに逮捕されたんでしょ!!!」
『落ち着け。 オマエ、今の喋り方とか元嫁そっくりやったで。』
確かに、この数日何かが喉を通った記憶が無い。
あ~、これはワイ、死ぬかな?
「ふぁっふぁっふぁww 導き手よ困っているようだな!!」
「あっ、神様!! お疲れ様です!!」
クッソ、こいつら人の部屋に好き勝手出入りしやがって。
『何勝手に入っとんじゃ!!! 殺すぞ!!!!!』
手元にあった灰皿を投げつけるが、スウェーで躱される。
普通やったら眉間カチ割りコースやったんやが…
このオッサン、タダモンやない。
「ふははは、無駄無駄www 我は神!! 神は万能!!
だから何でも出来るし、行いの全てが正しい!!」
『高畑裕太みたいな言い分やな。』
「…あの、神様。
本日は如何なる御用件でしょうか?
滅びの日まではまだ時間がある筈ですが…」
「くっくっく。 今日はボーナスタイム!!
全愛たる我が導き手に恩寵を与えに来た!」
「おおお!! 神よ!!!
ありがとうございます!!
この者も喜悦しております!!」
『はよ帰れ、シバき回すぞ!!!』
「…。」
「…。」
「こ、この者!
感激のあまり狂乱しているようで御座います!」
『は? ワイは正気や!!
オマエらみたいなキチガイが人様をキチガイ扱いすんな!!
死ねボケ!!!』
「…。」
「…。」
「こ、この者はっ!
生まれも育ちも貧しく無知無学な為、神の偉大さを理解出来ておりません!!
どうかご寛容を!!!」
この部分は言い返さへんで…
まあ、確かに育ちは悪い。
阪神の私設応援団の奴らにドン引きされたことすらあるからな。
認めたくないが、ワイはあいつら以下や。
ワイの母親はな?
そんなワイに野球をさしてくれた。
今思えば、相当無理しとったんやろうな。
徹夜でミシン回しとったわ…
「…う、うむ。
本来なら許し難い暴言だが…
まあ、愚民の啓蒙も神の務めである。
良かろう。
奇跡を見せてやろう。」
「神よ! ありがたき幸せ!
この者も喜悦の涙を流して感謝しております!」
『野球ニュース始まるから黙っとれ。』
「ふはははは!!
それでは見せてやろう!!
これこそ神の奇跡!!!
手からパンを出す!!」
お。
今日の野球ニュース…
ん?
中日ヤクルト戦中止か…
関東は雨って言っとったもんな。
「おお!!!
何もない所からパンが!!!
流石は神!!!
神! 神! 神!」
阪神巨人戦。
ドーム、ガラガラやんけ…
あれで主催者発表5万って…
伝統の一戦がここまで見向きされへんとはなあ…
「えっへっへ。
まあねww
この程度は神的には最初のジャブみたいなもんよww」
ん!
横浜広島戦。
広島の先発は黒田…
おいおい、ベイに黒田当てんのナシやろ…
「素晴らしい!!
感動的なミラクル!!
神様オブ神様!!!!」
っつ。
ベンチの表情お通夜やんけ…
コイツら…
元々駄目やったけど…
キヨシおらな全然アカンやんけ!
「でっへっへww
そう褒めるでないwww」
やっぱり中畑清が必要やねん!!
景気の悪いこの現代日本、絶好調男のキヨシが求められてるねん!!
「この者も狂喜乱舞しております!」
そうか…
ワイの為すべきこと…
それは…
「おい! ワイ!
聞いておるのか!
どうだッ! 神の奇跡は!!
恐れ入ったか!!」
『え?』
「え? じゃないわあ!!!!
さっきのワシの奇跡について一言おおお!!!!」
『いや、見てなかったから解らんし。』
「おいいいいいいいいい!!!!!!」
『いや、オマエな?
人が野球見とる時ばっかり来るのが悪いねんで?』
「神様、落ち着いて!
どうか、冷静に!」
「れれれ、冷静だよワシはあああッ!!!!!」
「どうか、どうか!」
「おおおお怒ってはないよ!?
冷静だよ、ワシは!!!
ほら、ワイ!
パンを恵んでやるぞよ?」
「わー、良かったですねえ、ワイさん!
神様が奇跡を起こしてパンを産み出して下さりましたよ!」
『ほーん。
で?』
「ん。
食べていいよ。」
『は?
いらんし。』
「おいおいおいww
ワシはキミの為にパンを出してやったんだよ?
早く食べなさい。」
『は?
ワイに指図すんなや、殺すぞ!』
「いいやいやww
餓えてるんでしょ、今?
だからね?
神様直々にパンを精製してあげたの。
わかる?」
『え? 何?
このパン、オマエが作ったんか?』
「ふはは!
その通り!!
神の奇跡とは…
って捨てるなあああ!!!!!!!」
『いや。
こんな包装もしてへんのなんか食えるわけないやろ?
しかもオマエ、素手で掴んどるやんけ?
キモいんじゃ!』
「ワイさん!!!
神様はワイさんを思ってパンを出してくれたんですよ!」
『そんなんワイが一言でも頼んだか?
恩着せがましいんじゃ、ボケ!!
淀川のルンペンにでも配ってこいや、アホ!!』
「(ヒクヒクヒク)ワシも神生活長いけどね?
ここまで言われたのは初めてよ?
いや、怒ってないけどね?
怒ってないけど、初めてよ? こんな扱いわああああ!!!」
「神様!!
何卒何卒!!
この者自分が餓えているにも関わらず!
憎まれ役を演じてまで更に貧しい者を救おうとしております!
見ようによっては!
これこそが神の教えの実践とも言えなくもありません! 」
「いやいやいや。
それは詭弁よ? 詭弁っぽいよ?
そもそもコイツ… ワシに対してのリスペクト無いよね?
ソドムよ!? ゴモラよ!?」
「何卒何卒!」
『あのなあ。』
「何だこの野郎!」
『オマエの奇跡って、この汚いパン作ることか?』
「何にもない所から作るから凄いんだよ!!
これ質量保存的に滅茶苦茶凄いことよ!?」
『うーん。』
「いや、ワインも作れるよ!
ワインも!
ビチャビチャ!!」
『人の部屋でゲボ吐くなや!』
「っぷはッ!
ゲボじゃないよ! ワインだよ!
舐めてみてもいいよ?」
『いや…
流石におっさんの口から出た汁とか…
キモすぎるやろ…』
「ちゃんと匂えよ!!
葡萄っぽい匂いするでしょ!?」
『いや… そんなん…
ガストのドリンクバーの下位互換やろ?
他に何か出来へんのか?』
「人類を滅ぼす術を使えるよ!」
『オマエ、マジで生産性ないな。
警備員とか基礎工の奴らでも、もっと役にとっとるぞ。』
「きいいいいいいい!!!!!!
もう怒った!!!
せっかく、滅亡を延期してやろうと思ってたのに!!
あーあ。
何かやる気失くしたわ~
あーあ、せっかくチャンスをあげようとしてたのにな~。
誰かさんの所為でモチベーションが消滅したわ~
あーあ。
今すぐ滅亡させちゃおっかなー。
どうしようかなー?
(チラッチラッ)」
『リトルの監督がこんな屑やったわ。』
「あーあ、偉大なる神を侮辱した罪は重いよ~?
ハー(ため息)
せっかく助けてあげるつもりでいたのに。
せっかくなのにね~」
『コイツ、野球指導者級のカスやな。
大体、オマエのどこが偉大やねん。
その程度やったら、ワイの方が凄いことできるわ。』
「ほー、言ったね?
大口叩いたね?
神であるワシより凄いこと出来るって言ったね?
その言葉、もう取り消せないよ?
で、ワイよ?
大口叩いた君は何が出来る訳?」
『ワイがその気になれば今年の横浜を日本一に出来る。』
「…。
っぷww
うわっははははは!!!!!!
こいつはお笑い草だwwwwwww
横浜wwww 日本一wwwww
昭和ロッテ以下のゴミカス球団がwwww
優勝ってwwwwwww」
『何がおかしいんや?』
「あははははwwwwww
恐怖のあまり気でも触れたのかな~wwwwwww
横浜ってwwwww
優勝ってwwwww
日本一ってwwwwwwwwwwww
あーっはははwwwwww 腹が捩れるぅwwwwwwww」
『横浜が優勝することがそんなにおかしいか?』
「ワイよww
首位とのゲーム差解って言ってるのぉwww?」
『首位の巨人とは23ゲーム差や。
今日、巨人が勝って横浜が負けたら24ゲーム差になるな。』
「うはははははwwwwww
23ゲーム差wwwww 23ゲーム差wwwww
草野球ですかぁ(語尾↑)wwwwwwwww
四国リーグに混ぜて貰ったらぁ(語尾↑)wwwwwww」
『ペナントが終わるまでは、途中経過に過ぎへん。』
「あははははははwwwwwwwwwwww
コイツは傑作だwwwwww
…ペナントが終わるまでは、途中経過に過ぎへん(キリッ)
うははははははwwwwww
ばっかじゃねーのwwwwwwww」
『オマエみたいなカスには無理かも知らへんけど
ワイなら今の横浜を優勝させることが可能や。』
「…その言葉
もう取り消せないよ?」
「ワイさん!
すぐに発言を取り消して下さい!!」
『なあ。
ワイと勝負せえや。』
「勝負?
何を勘違いしてるんだい?
ワシ、46日後に確実に人類を滅ぼすけど?
ひょっとして、神相手に駆け引きとか出来ると思ってたのか?
…オマエラ、絶対ブッ殺すから!!!!!!!!」
『怖いんか?』
「…はァ?
てめえ!!」
今、何つった!!!」
『オマエ、ワイに負けるんが怖いんやろ?』
「キサマ…」
『ちなみに、ワイはオマエ程度のカスは何とも思ってへん。
逃げてくれてもええで?
見逃したるわ。』
「…。」
「ワイさん!!! 発言を今すぐ取り消して!!!」
「ワイよ…
勝負の方法は、今季の横浜を日本一にさせられるか否かで良いのだな?」
『ああ、そうや。
横浜が日本一になったらワイの勝ち。
なれへんかったらオマエの勝ち。』
「一応念を押しておくが…
今年の日シリにはソフバンが上がってくるぞ?」
『おう。
ワイもパ・リーグはソフバンと踏んどる。
しかも総合的なチーム力はV9巨人・黄金時代西部に匹敵するレベルや。』
「それはリーグ戦を勝ち抜けたらの話だろ?
そもそも日本シリーズに出る為には23ゲーム差を覆す必要がある。
不調といっても巨人は強いよ?
腐っても球界の盟主だ。」
『覚悟の上や。』
「神様! ワイさん!
阪神巨人戦の結果が出ます!!
(;゜д゜)ゴクリ…
ああああ!!!!
3対7で巨人です!!
勝ち投手は澤村拓一・負け投手は藤川球児です!」
「ワイよ…
これが現実だ?
神の偉大さを思い知ったか?」
『今、巨人に倒されたばっかりやんけ。
アホちゃうか?』
「減らず口を…
おい、天使。
横浜広島戦の経過はどうだ?」
「はい、えっと。
7回ウラで13対1…
現在、広島の攻撃中で満塁から…
あっ!!!
新井の打球が…
抜けちゃいました!!!
田中、菊池帰って、15対1になっちゃたです!!!!」
『…。』
「決まりだな?
これで首位とは24ゲーム差。
で?
これでもまだ諦めないと?」
『当然や。
横浜はワイが責任を持って勝たせる!』
「ほう。
どう見ても不可能だと思うがな?」
『不可能を可能にするのが奇跡や。
もしもワイが奇跡を起こしたら…』
「人間を滅ぼすな、と言いたいんだろう?」
『そうや。』
「だが46日以内に横浜以外のチームの優勝が決定した場合…
猶予期間は終わりだ。
その時点でワシは人類を滅ぼすよ?」
『それは勝手にせえ。』
「転生ルールについても確認しておこう。
ワシは神として、新世界の支配者には【なろう民】を正式に指名する。
但し、【なろう民】として認定されるのは、この作品をブックマークした者だけだ。
その者たちのみを【正しきなろう民】として新世界に転生させる。」
『条件に異存はない。』
「で、天使よ?
現在の【正しきなろう民】は何人まで増えた?」
「そ、それが…
神様…
この者はネット環境にも恵まれず…」
「ブックマーク数は幾つだと聞いている!!」
「ふ、二人です…」
ウッター、オオキイオオキイ、ハイルカハイルカ
ハイッター、エルドレッドコンキハヤクモニジュウゴウダー
「ふん、大口を叩いてそれか?
ああ、その二人は新世界に転生させてやるよ。
約束だからなあ。
でもなあ、個体数2って絶滅決定種だぞ?
朱鷺以下の個体数なんて、もう滅びているようなものだと思うがな。」
『ワイは横浜を優勝させる。
ただそれだけや。』
「わかった。
後はペナントの行方を見守るだけだな。
それにしては随分余裕が…
ハッ! まさかッ!!
キサマ、天使の力を借りるつもりか?」
『いや、それは想定してなかったな。』
「か、神様!
私がこの者に助力することの許可を下さい!!!」
「…加護の力か。」
「恐れながら! 私の任務は人に加護を与えることです!
加護を付与することは、背信行為には該当しない筈です!」
「構わんよ。
オマエが加護を与えたい相手に与えなさい。」
「神様ありがとうございます!」
「但し!
オマエが加護を与えた人数と同数の人数にワシも加護を与える!
勿論、横浜以外のチームになあ!」
「そ、そんな…
それでは加護の意味が…」
「更に!
加護を与えていいのは明日のブックマーク数までとする!」
「いや、それは!!
神よ、お待ち下さい!!!!
慈悲を!!!
か弱き横浜に慈悲を!!!」
「ワシはこれ以上の妥協は無いと思うがな。
何よりワイ自身が納得しておる。
なあ?」
『納得?
ワイは単に感謝しとるだけやで。』
「…。」
『オマエ、案外フェアやんけ。
一ミリだけ見直したるわ。』
「ふっ、どこまでも増上慢よ。
キサマがいつまでその傲慢な態度で居られるか見ものだな。」
マウンドニハオサエノシュゴシンナカザキショウタガノボリマス
カンセイニツツマレルヒロシマキュウジョウ
コノオウゴンパターンハサイコウデスネ
「神様!!」
ワイとおっさんはコタツを挟んで仁王立ちで睨みあう。
「『決着はペナントで!!!!」』
泣き崩れるキチガイ。
去るオッサン。
誰かが通報したから来たであろう兵庫県警。
テレビから流れる「それ行けカープ」の大合唱。
この日、ワイは…
決意した。
1、人類滅亡まであと46日(但し、横浜以外のチームがリーグ優勝を果たした瞬間人類滅亡)
2、転生可能なろう民2人。
3、横浜ベイスターズ首位まで24ゲーム差