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【人類滅亡まであと41日】 激闘・魔境都市名古屋編 中日横浜3連戦 先発山本昌・井納翔一 解説・立浪和義

「ここが名古屋ですか?

私、初めてです♪

あ、試合まで時間ありますけど、どこか観光していきますか?」



『名古屋は何もないで?』



「あっはっはwww

嫌ですねえ、ワイさん!

名古屋と言えば日本三大都市圏・中京経済圏の中核ですよ!

東京を除外すれば、人口は横浜・大阪に次いで日本3番目の都市です!

しかも2008年にはユネスコから日本で初めて創造都市に認定されています!

加えて!  信長・秀吉が生誕した街でもあります!

おまけに!  この街を守護するのは三種の神器の一つ、草薙剣!

その名古屋が『何もない』訳がないじゃないですか!」



『いや、オマエにな?

見たいものとか食べたいものがあるんやったら連れてったるけど?』


「いえ、特にないですね。」


『きしめんとか喰うか?』


「いえ、同じなら普通のおうどんが食べたいです。」


『ういろうとか喰うか?』


「いえ、同じなら普通の羊羹が食べたいです。」


『天むすとか買ったろうか?』


「いえ、天ぷらと御飯は別々に食べたいです。」



キチガイには特に見たいものが無かったようなので、食事をとりながら作戦会議をすることにした。



「あ! ワイさん!  あそこの看板見て下さい!

350円終日モーニングって書いてますよ!

トースト・サラダ・うどん・ゆで卵・コーヒー・マッシュポテト・柿の種がセットで食べれるみたいです!」


『いや、冷静に考えてみーや。

それを350円で出そうと思ったら、どんだけ原価削らなあかんねん。

いや、ワイもな?

オマエが、どうしてもトーストやらゆで卵が好きなんやったら付き合うで?

オマエ、あのラインナップを食べたいんか?』


「あー。

いえ、冷静に考えたらトーストなんて切った食パンを焼いただけですものね。」



『オマエ、好物とかあるんか?』


「あー。  これと言ってないですね。

ただ、食事は清潔感のある場所で出来たら嬉しいです。」



という会話があったので、キチガイをヒルトン名古屋に連れていく。

こんな所に来るのは、ワイが明子と結婚する前以来や。

そっか、ワイ、アイツに何もしてやれへんかってんな。


…ごめんな。




「ねえ、ワイさん。

何かこのホテル、体格のいい人が多くないですか?

野球関連ですかね?」



『そうやな。

夕方から試合やしな。』



違う…

あれはヤクザ。

しかも、あのファッションの系統は名古屋系のヤクザやない。

関西…  それも京都系やなく、神戸系や。

緊張感を感じないのは、地元ヤクザから招かれてここにおるから。

非公式の会食?



『なあ。

今日の試合…

解説には誰が付く?』




「あ、はい。

今、一覧を出しますね。

ヤクルト巨人戦は橋本清氏…


横浜中日戦は立浪さん和義氏ですね。」



『立浪君、か。』



「立浪さん和義氏に何か問題でもあるんですか?」



『いや。』



実は、この時期にTV局がどういう人間をゲストとして呼んでいるかは

一番重要な問題や。


考えてもみてくれ。

巨人が賭博問題でこれだけ揺れてる今、問題のある人間がゲストに平然と呼び続けられるということは…

マスコミがこの問題をスルーしたがってることを意味するんや。



『インターネットで巨人問題の評判って調べることは出来るんか?』


「ええ可能です!

っていうか今って検索で何でも調べることが出来ちゃうんですよ!」


『け、検索とは?』


「検索というのはですね!

知りたいことを入力するだけでコンピューターが何でも教えてくれる機能のことです!」


『いや、21世紀じゃあるまいし…

そんな学研の付録みたいなこと…』


「あはは、やだなあワイさん!

もうとっくに21世紀ですよ!」


『お、おう。 そうやったな。

おっちゃん『21世紀は未来』って脳みそに刷り込まれとる世代やねん。

それにしても、今って凄い時代やねんな。』


「あはは、ワイさんww

ウチのパパみたい!」


『ワイもなあ、タイピング技術さえあれば…

検索とやらを使って戦えるんやが…』


「え?

そのスマホ、音声入力も出来ますよ?」


『おんせい…?』


「ほら、こうやってマイクみたいなアイコンを押してっと…

さあ、ワイさん。

知りたいことを喋ってみて下さい。」



知りたいことなら山のようにある。

何せ、ワイは知らん事ばっかりの人生やったからな。


でも!

今、ワイが知る必要があるのは!












『野球賭博』










なんや?

勝手に文字が入力される?

魔法か?


いや、そんなことより…



『おい、野球賭博としか言ってないのに、勝手に別の文字が浮かんできたで?』


「ああ、それは検索候補ですね。

コンピューターが、関連のあるキーワードを表示してくれるんですよ。」



ふむ。

〔野球賭博 巨人〕

〔野球賭博 笠原〕

〔野球賭博 やり方〕

〔野球賭博 逮捕〕

〔野球賭博 一般人〕。

こうやって関連性の高い言葉をコンピューターが教えてくれるわけか…





『この〔なんJ〕って何や?』



「あ、このなんJというのはインターネットの掲示板です。

野球の話ばっかりしてるので、ワイさんが見たら面白いんじゃないですか?

ガラが悪いので私は苦手なんですけど。

長い自分語りとかして気持ち悪い人も多いですし。」



『へー。  最近は色々あるねんな。

どれどれ~?』




〔野球賭博 立浪〕




『…。』



「ワイさん。  何か気になる記事でもありましたか?」



『…いや。

おっちゃん、よくわからんかったわ。

やっぱり機械は難しいな。


とりあえず作戦を練り直すから、このスマホはオマエが持っといてくれ。』



「はい///」



さてと…

問題は切り崩す順番や。

野球がリーグ戦である以上、どこか1チームだけに大コケされても、それはそれで困る…



『ヤクルト巨人戦の解説は橋本君やったか?』


「はい! 橋本さんって面白い人ですよね♪」


『ん?  橋本君って人気者なんか?』


「勿論ですよ!

いつもバラエティに出てるじゃないですか!

清原選手とも仲がいいですしね!」


『あ~

ワイ、野球以外は見てへんねん。』


「橋本さんてすっごくキャラ立ってるんですよ!

真っ黒に日焼けしてますし、歯も真っ白なんです!

ちょっと行き過ぎですけど、スポーツマンって感じですよね!」


『ふむ…

そんなに日焼けしてるんか?』


「もうサーファーみたいですよ~

ほら、スマホの画像検索で出てきました!」



『ん~、どれどれ~



ッ!?』






「ね!  真っ黒でしょーww  

現役時代より日焼けしてるかも~♪






…ワイさん?」




『…ああ。

そうやな。


今からワイ、ちょっと仕事の電話するから。

オマエ、好きなモン注文しとき。』



「え、ホントですか!

じゃあ私、フルーツパフェが食べたいです!」



『うん、ええよ。


あ、店員さん。

この子にフルーツパフェ。』



「わーい///」























勝利への道は…  見えた!

掛けた電話はたったの4本。

そのうち、どれか一つでも手として機能してくれれば…



6時間後、ワイとキチガイは名古屋ドーム入りしていた。




「うわあ、凄く大きい旗ですね。

観客席、すっごく青い~♪」



『ああ、あれは中日の私設応援団や…

あまり近づいたらアカンで。』



「え?

どうして応援団がダメなんですか?」



『…いや。

ワイらは地元民ちゃうしな…

あまり刺激せんようにしとこう。』



「あ、そうですよね。

気を付けます!」




いや、ワイも中日の私設応援団が大きいことは知っとった。

せやけど、この人数は何や?


明らかに、頭数を総動員しとる…


しかも、スタンドの要所要所に堅気には見えない人間が規則的に配置されている?




これは、応援というよりも…

むしろ…




「あ、ワイさん、見て下さい!

解説席に立浪さん和義氏が入りましたよ!

TV局の人と談笑しておられます。」



『…立浪君、か。』



「でも、不思議ですよね?

中日っていつも監督の人選で揉めるのに

どうして立浪さん和義氏を指名しないんでしょうね?

PLでも現役でもキャプテン、愛知県警で一日署長も務めた事もある人なのに。」



『…そうやな。』



「あ、でも立浪さん和義氏と言えば一つ不思議なことがあるんです。

この前、清原さんとTVに出てた時に、清原さんが立浪さん和義氏を『さん付け』で呼んでたんです。

確か清原さんの方がPLの先輩じゃなかったですか?」



『ああ、清原君の方が2学年上やな。』



「あれ?

でもPL学園って上級生が下級生を奴隷の様に虐待してることで社会的に問題になってましたよね?

そんな学校の上級生がどうして?


あww  ひょっとして立浪さん和義氏が清原さんの弱みでも…」




パアアンッ!!!





『伏せるんやー!!!』



銃声、反射音から推測すると発射位置は左後方20メートル以内。

口径は小さい。



「キャッ!!!


え?  え?  今のって?

てっぽう?

逃げた方がいいんじゃ。」




『いや、あれはただの警告射撃や。

弾道に殺意はない。

この場で殺す気はないみたいやから安心せえ。』




「そんな、神聖でクリーンなスポーツ会場でどうして発砲なんか…」



『世の中はタテマエ通りには動いてへん。

ただそれだけの話や。』




球場にサイレンが響き渡り、中日横浜3連戦が始まる。



先発は中日が山本昌、横浜は井納翔一。

そして、解説は立浪和義。






1、人類滅亡まであと41日(但し、横浜以外のチームがリーグ優勝を果たした瞬間人類滅亡)

2、転生可能なろう民5人。

3、横浜ベイスターズ首位まで22.5ゲーム差

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