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track3

さて、どうしたものか。


 私の座る運転席の横にある助手席には気を失ったままの青年が座っている。例の動物たちが周りにいないことを確認し、恐る恐る彼を運び入れたのが数分前。不思議なことに重さは驚くほど感じなかった。それにしてもこの青年、よく見ると絶世の美男子と言っても過言でないほどのイケメンである。西洋系の顔立ちの所為かはっきりとは分からないが十代後半から二十代前半であろう。さっきまでは腰に下げた剣にばかり目が行っていたが、落ち着いてから見てみるとまるで中世ファンタジーから抜け出てきたかのような見慣れない服装をしている。そして、あれだけの剣捌きを見せた姿とは対照的な少しあどけなさすらも残るその横顔に、思わず、手を伸ばして……


≪ピロロン!≫


 肘がなにかに当たり、電子音がする。一瞬、無意識に止めていた息を吐きだし、差し出しかけていた手を戻す。どうやらカーナビの画面に触れてしまったようだ。そういえば女神様が後でこれを使って何かを確認しろと言っていたような……いきなり色々あって忘れかけていた。見てみると、画面には自分の位置を示すのであろう矢印とそれを囲む地図らしきもの、そして≪メニュー≫の文字が見える。


「ステータス? アイテム?」


≪メニュー≫をタップすると、予想していたラジオやテレビといった文字はそこにあらわれず、代わりに見たことのない機能が画面に並んだ。とりあえず始めに目についた≪ステータス≫を選択してみる。すると、



≪トラック LV3 種族:中型トラック

  HP : 361245 / 361253

  MP : 0 / 0

攻撃力 : 63878

防御力 : 74136

 魔力 : 0

 速度 : 14872

スキル :

 「魔法耐性 LV3」「異常耐性 LV6」「地形適応 LV2」「オートマッピング」「第一種永久機関」「殺戮神の加護」「異世界送り」≫



……なにやら物騒な数字と文字がたくさん出てきた。ただでさえ訳の分からない状況にさらに理解不能の情報ばかり増えていく。困った、どうしよう。


「……ん……」


 隣から声が聞こえる。どうやら青年が目を覚ましつつあるようだ。咄嗟に≪戻る≫を選択しカーナビを初期画面に戻す。彼がそれを読めるのかはわからない――日本語を話していたことを思うと読めると考えるのが自然だろう――しかし、これを彼に見られてはいけない、と私は本能的に感じた。


「……ここは?」


すみません、私も知りたいですそれ。しかし、最初に聞いた時も思ったがこの美青年、声までイケメンである。


「えーと、私のトラックの中……です」

「トラック……?」

「あの、車というか、その」

「車? という事はやはり戦車でしたか!」

「戦車!? 戦車って……」

「もちろん太陽を運び天空を馳せるあの戦車です! 何時もと違うお姿で現れたので何か召喚方法に手違いがあったかと心配でしたが、まさか……まさか載せていただけるとは……」


まだ気絶の影響が残っているのか、なぜだか感極まっている美青年。

何やら盛大な勘違いをされてしまっている様だが……さて、どうしたものか。

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