少女
架空兵器を今回から出します。
12月 24日 場所不明のとあるビルにて
「陸将は本当にこの作戦が成功すると思いますか?」
「君はどう思う?」
「私はきちんと隊員に事情を説明したほうがいいと思います」
「今、「あの事」を言ってしまったら隊員達の中に必ずしもパニックを起こさないと君はそう思うかね?」
「それはそうですが・・・・」
幹部が口を詰まらせる。
「今は彼らに頼るしかないのだ、日本の運命は彼らが握っている。」
快晴になっている青い空を見ながら小崎は静かに言った。
壁から出発してから、およそ30分 放棄された町付近
「全員、ここで止まろう」
分隊長になった湊には苦労の連続だった。重信さんは他の地域の捜索の担当になってしまい今は一人である。その苦労とは分隊長になってためにいろいろな許可を取ったりしていた。
その装備と人数は
自衛官6人
MINIMI軽機関銃 1丁
89式小銃 2丁
64式小銃 2丁
50式小銃 1丁
84mm無反動砲 1丁
9mm拳銃 6丁
パジェロ 1台
高機動車1台
である。
50式小銃は自衛隊の新しい小銃でAKライフルをベースに作られた小銃である。外見はAKライフルに似ているが自衛隊のありとあらゆる作戦や使用目的を考えて開発され、自衛隊の「安全第一」の目標もきちんと受け継がれている。
その50式小銃を手にしながら湊は命令した。
「村田さんは高機動車から「AD」を取ってきてください」
「了解です」
「あっ、忘れてた!「RD」も取ってきてください」
「分かりました!」
まだ命令になれておらずいつもわなわなしてしまう。
「しっかりしないと」
そう自分を叱った後に隊員二名といっしょに村田二等陸士が帰ってきた。小さな筒と大きな箱を持って。
「すぐ、準備します」
そうしてすばやい動きでコントローラーみたいな機械を取り出して操作を始めた。それを待っていると隣の女性自衛官が話して掛けて来た。
「これからどうする気で?」
たしか名前は白河だったはずだ。
「そうですね、まず手前の八百屋跡を調べてその拠点にして、しらみ潰しにこの街を調べていく予定だ」
そう話していると村田隊員が「準備完了」と言ってきた
「では捜索開始!」
暗い中での大捜索が始まった。
12月 24日 同時刻 重信班にて
「湊班は先に現地に到着したみたいだな」
重信はそう言っているとパジェロが止まった。
「隊長、我々も現地に到着しました」
「では全員、装備確認して降車!」
そうして全員が装備をチェックして、降車した。
重信の班は湊とは少し離れた森の中の捜索を命令されていたがやはり森の中は暗く、すぐに小銃についているフラッシュライトをつけることになった。
「全員、全周囲警戒態勢」
「了解」
「少しの異常も見逃すな」
そう言って暗い森の中を20分くらい探していると隊員の一人が何かを見つけてきた。
「隊長!すぐに来てください」
「どうしたんだ」
隊員についていくと隊員が大きい道で止まり、そこでしゃがんでライトを当てた。
「これは何か引きずった跡ですよね」
「ああ、でかしたぞ。全員乗車!この跡を追うぞ」
12月 24日 湊の班にて
「良し、「RD」を放て」
そう命令すると村田隊員が小さい筒を取り出し、ふたを開けた。
そこに入っていたのは4つのプロペラがついたドローンを取り出した。
「他の4つも起動が完了しています」
「ではこの付近をくまなく偵察させてください」
そうすると4機の偵察ドローンが散って行った。
「では行きましょう」
そう言って、町の入口まで進んで近くの八百屋だった建物に入った。
「慌てて逃げたんだろうな」
「ええ、ありとあらゆる物が置きっぱなしですしね」
建物の現状を見て話を二人はしていたが一階の確保が終わると話をやめた。
「全員、二階は見透視が悪いから気をつけろ」
「「「了解」」」
慎重に階段を上っているが階段がミシミシと音が聞こえて来て、小銃を持つ手も次第に力が入ってくる。やがて長く感じられた階段が終わり部屋の前で止まる。
「「AD」をこの建物の入口に配置しといてください」
「わかりました」
村田の操作を待ち、それが終わると合図を開始した。
「行きます、3、2、1 ゴー!」
なるべく音をたてないように静かに突入した。
そこで見たものは驚きのものだった。
12月 24日 重信班
「この場所で痕跡は途切れています」
「この場所でどっかの建物に移したな」
「ていうか、ここ湊班の持ち場じゃないですか」
「確かにそうだ、司令部と湊班に連絡を入れるんだ」
「了解!うん?これは?」
「どうした?」
「隊長!湊班から連絡が来ました」
「何!代われ!」
『重信さんですか?」
「どうした?何かあったのか」
『それが自分たちも捜索を始めたんですが入口付近の八百屋跡で気になるものが見つかりまして』
「何がみつかったんだ?」
『とにかく来てください!」
そうして通信が切れた。
「仕方ない、「AD」を起動して護衛に就かせるんだ」
「わかりました」
そうして急いで湊が言っていた建物に着いた。こんなにも早く見つけたのは入口に湊班の「AD」があったことだろう。
ちなみに「AD」は無限軌道を持つドローンでMINIMI軽機関銃を2門と4連ロケットポッドを2門持っている。
急いでその建物に入り、二階に行くと湊が待っていた。
「重信さん」
「何があったんだ」
「これを見てください」
「これは・・・・」
その部屋はまるで空き部屋のように家具が少なかったがそこに隊員達に注目されていたところを見ると体はやせ細り、服は汚くなっている一人の少女が居たのだ。
「これは!・・・・」
「驚いたでしょう」
「彼女は一人でこの3年間を?」
「いえ、どうやら衛生科の隊員が聞いてみるとほかにも生存者がいるそうです」
そう話していると少女が話しかけてきた。
「も・・いる・・・・の」
「え?なに」
「もっと私以外にいるの!」
全員がこれには驚いたが重信がすぐに立ち直らせた。
「わかった、司令部に連絡しろ、第二戦闘団の応援を頼むんだ」
「重信さん、これからどうします?」
「こうなったら、仕方ないその子の言っている場所まで行くぞ」
「わかりました」
そう答えて、準備に取り掛かった湊たちの頭上を雨雲が徐々に集まってきだしていた。
次回は生存者達との交流を書こうと思います。お楽しみに