災厄のクリスマスイブ
12月 23日 佐佐保基地付近の港にて
帰ってきた、その事実をまだ龍雅は海の眺めながら受け止めていた。
「まさか、クラーケンに勝って無事に帰って来れたなんてまだ信じられないな」
間違えなくこれを他のイージス艦の艦長たちに話したら、すごい伝説になるのかなぁーいや、正直なってほしいとそう考えていると後ろから声を掛けられた。
「そんな所で何をやっているんですか艦長?」
よく見ると副長だった。
「いや、まだあのことが信じられなくてね」
「ああ、クラーケンのことですか」
「そうだよ、それとここに来るとゆうことは・・・・」
「はい、報告がまとまりました」
「聞かせてくれ」
「はい、まずアメリカの第七艦隊は大破が2隻とさっきの戦闘で中破が一隻と我々の被害は同じく戦闘で「しらね」は中破、「みょうこう」は大破寸前で「いずも」は幸いにも艦に損傷は無かったですがヘリは全滅です。次に乗員ですが死傷者はおらず、意識不明者9名 重軽傷者は27名です。」
「痛いな」
「痛いです」
「司令部からは?」
「はい、この件に関して一度集まって話がしたいと」
「やれやれ、確かに陸自の余った誘導弾を手順をすっぽかして撃ったけど、まぁいいや、ドッグに入ったら全員休んでくれと伝えてくれ」
「分かりました」
「よし、じゃあ行くか」
そうして龍雅は次の目的地に向かって歩いて行った。
それから翌日 12月 24日 とある商店街にて
今日はクリスマスの前日のクリスマスイブなので町の商店街にはクリスマス気分を楽しもうと多くの家族連れや若いカップルなどがこの商店街に買い物に来ていたのだがその幸せそうな光景の中に一つだけ異物があった。
「なんなのあれ?」
「何かあったのかな?」
そう不安そうな目線を皆から受けているのは緑色の服を着た、そう自衛隊である。その車列の中には戦車なども混ざっていたのだ。
ここで一つ問題を出そう。どうして自衛隊の車両がこんな幸せな光景をぶち壊そうとしているのかがみんな知りたい?
答えは今から12時間前にある。
12月 24日 早朝 重信の家にて
「おーいもう7時だぞ!いい加減にベットから出てこい!」
「まだ 寝たいです」
「今日は学校だろ、お前」
「はぁ!今何時ですか!」
「7時」
「うああああああ!急がないと」
急いでベットから飛び起きて、一階まで降りると嬉しいことに朝食はもうできていた。
「急いで食えよ、自衛官ならそれくらいちょろいだろ」
「まだ自分は高校生ですよ!」
そう重信に反論しながらもせっせと口の中に物を押し込む。重信さんには迷惑をかけぱなしだった母親を(父親はすでに他界した)失った後は重信さんの家に泊まらしてもらいそこで生活して、学校には自分は自衛官ですなんて言えないので身分を隠しながらそこで勉強をしていた。
「兄さん達は元気にしてるかな?」
「兄さん?」
「あ、いや家の兄さん達も自衛官をしていて」
「そうか、今度会わせてくれよ」
「はい!もちろんです」
独り言のつもりだったがまぁいいかと湊は思った。
食事を食い終わり、さぁ準備といぅたところで自分と重信さんの電話が一斉になったから携帯を取り出してみると持ち主不明のメールアドレスでこう書かれていた。
『今から最寄りの基地に全自衛官は集合しろ、壁の防衛はしばらくは警察が担ってくれる、それから湊陸士長と重信准陸尉はこの座標に集合すること』
それを見て、二つ思ったことがあった、一つはどうしてこんな非常事態みたいに全隊員を集合するのか、二つ目はどうしてこんなに階級が上がっているのかという疑問だった。だがとりあえず学校はいけないなとその時は思った。
12月 24日 場所不明のとある無人の建物にて
「ここに集まってくれてありがとうだがことは急なことなので急いで会議を始める」
今、しゃべっているのは陸上自衛隊のトップの小崎陸将本人だったはずだ。
「まず我々は近い時期に我々の領土を取り戻すために敵を殲滅して、そこに壁を作っている間守るという作戦を展開する予定だったがそのために偵察に出していたUH-1J6機編成で偵察に行かせたのだが戻ってきたのは五機だったのだ」
「「「え」」」
という言葉が全員の口から驚きの声が上がった。
「どういうことです?」
そのうちの幹部が質問する。
「聞いたとおりだ、内一機は「被弾した!墜落する ダウン! ダウン!」と言う通信からまったく応答しなくなったので捜索したところ大破したUH-1Jを発見して確認したところ機長と陸自隊員が死体で発見されたが残る副操縦士と陸自隊員一名がまだ見つかってない」
「それが今回のこの地区の陸自隊員全員を招集した理由だと?」
「それだけではないUH-1Jに搭載したカメラを確認すると驚くべきことが分かったのだ、これを見てくれ」
ディスプレイに映像が映り、とある廃棄された町を差し掛かったところでビルから閃光が走り、ヘリが爆発しながら落ちていき、やがて砂嵐になった。
「見ての通りだ、この閃光があった場所を防衛省に解析してもらうと・・・」
ディスプレイに男の姿が映る、しかもそれは昨日見た男の姿だった。
「あのどうして俺らが呼ばれたのでしょうか?」
「ああ、すまないまだ説明していなかったね湊君と重信君の階級はこれから説明する作戦に必要なために私が勝手に上げさせてもらった」
「その作戦とは」
「実は君たちどちらかが今映っている男を見たはずだ」
「いえ、自分たちは何も」
「あります」
「!!」
陸将はひどく驚いていたが続けて話した。
「そうか、では何かあの男が持っていたか?」
「はい、持っていましたアタッシュケースを」
「わかった、苅一佐は10式戦車、87式偵察警戒車、82式通信指揮車、96式装輪装甲車、その他の車両で第一戦闘団を編成して向かってくれ」
「分かりました」
「後で第二戦闘団のヘリ部隊と第三戦闘団の74式戦車と90式戦車の部隊が援護に向かう」
「分かりました」
「それと湊君と重信君にはそれぞれ分隊を指揮してもらう」
「え!は、はい」
「それでは解散」
そうして今に至るのだった。やがて車列はトンネルに入り、出るともうそこは壁が目前に迫ってきていた。
「一佐、全車準備完了です」
「わかった」
「無事に帰れますよね」
「大丈夫だ、作戦はヘリを墜落させた男の身柄確保と行方不明者の捜索だから大丈夫だ」
「もし、カテゴリーが来たら?」
「ヤツラはだいたい夜は眠っているから下手に大きな音を立てなければ大丈夫だ、仮にそうなってもそのために戦車を持ってきたんだからな」
「そうですね」
そう話が終わったところで号令を出した。
「全部隊、前進始め!」
まだ誰も知らなかった、これから起こる激しい戦いを