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COUNTERATTACK 解放戦記  作者: 兄ほわ
反撃編
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太平洋撤退戦 前篇

2067年 12月23日 とある海上自衛隊基地にて

湊たちがカテゴリーとの戦闘をしている中、もう一つの戦いが海の上で起ころうとしていた。


「うん?これはまさか」


「どうした?」


「大変です!、沖縄が堕ちました」


「なんだと!」


そこにいた全員が驚きの声を口々に言った。


「他はどうだ?アメリカの艦隊がいるだろう」


「それで沖縄から撤退してくるアメリカ艦隊の旗艦から通信が入っています」


「よし、繋げ」


「了解!」


即座に通信手が手早く通信を繋げるとディスプレイに顔が現れた。


「そちらの状況は?ラウスマン大佐」


「こちらはなんとか持っているが「ジョージ ワシントン」は艦載機の半分を消失し、ミサイル駆逐艦の「ジョン・s・マケイン」と「ステザム」は大破して、現在消火中であとは無事な駆逐艦と民間船だけだ」


「了解、お向かいに上がります」


「気をつけろ、まだ3か4は追ってきているから注意するように」


「分かりました」


通信が途切れると基地の司令官はこういった。


「これより非常招集を掛ける。幹部は全員集合させよ」



2067年 12月 23日 会議室


「これより、本作戦の説明を開始する」


その司令官の言葉によって、しんと静かになる。


「今回の作戦は知っているように沖縄から撤退してくる「ジョージ ワシントン」を含めた第七艦隊の撤退を援護することだ」


「今回の編成は?」


イージス艦「みょうこう」の艦長の小林 龍雅が質問する、ちなみに名前でわかると思うが湊の兄弟である。この若さで艦長になるのは海上自衛隊を含めた各国の軍隊でも極めて異例であった。


「今回の救助艦隊の指揮は「みょうこう」の君に任せる、そして編成は「みょうこう」を旗艦とした「いずも」、「しらね」、「ゆうだち」、「あさゆき」、「とわだ」の合計6隻で艦隊を編成してくれ」


「どうして、補給艦の「とわだ」まで?」


「通信して会話した時にだいぶ焦っていたから、沖縄を出るときにまだ燃料補給が満足にできていない軍艦や民間船がきっとあるはずだ」


「なるほど」


「いいか!これは絶対に成功させなければいけない作戦だ、一隻たりとも沈めるな!」


「了解」


そうして会議が終了した後、帽子をかぶり直しこういった。


「さぁ、カテゴリーに目にもの見さしてやるぞ」


2067年12月 23日 出航完了予定時間 「みょうこう」艦橋にて


「艦長、出航準備全艦完了しました。いつでもいけます」


「わかった」


そう言い、龍雅はいままでのことに思いを巡らせていた。あの戦いから3年前、海上戦力で世界のトップ10に入る海上自衛隊は護衛艦全てを投入して、戦いに挑んだ、だがあまりの数と強力な、カテゴリー5とカテゴリー6に撤退するしかなかったのだ。イージス艦を含めた多くの護衛艦が大破し、現在はドッグに入っている、轟沈しなかったことが唯一の救いだろう。

そこで考えをやめ、出航を命令した。


「出航用意」


「出航よおぉーいっ!」


「錨を上げ」


錨が巻き上げられ、巨大なメインアンカーが収まる。


「甲板片づけ」


「錨、甲板よし。」


そうして「みょうこう」を旗艦とした救助艦隊は出発した。

 

12月 23日 太平洋


アメリカ第七艦隊は救助艦隊を見つけた。


「大佐、ニホンの艦隊を見つけました」


「ようやく来てくれたか」


艦隊は放送で僚艦に伝え、民間船にも伝え安堵感が彼らの中に溢れていた。


「やった、これで安心だ」


「無事に日本に帰れるのね」


みんなが歓声に沸く中、ラウスマン大佐はじっと「みょうこう」を見ていた、たしかあの船に乗っているのは若い艦長だったはずだ。


「ニホンからの連絡は?」


「来ていません、こちらから通信しても聞こえるのはノイズだけです」


「しかたない、ライトを使って応答しろ」


「了解」


そういってからニホンからの軍船とやり取りをしていると通信手が伝えに来た。


「今から読みます、ソチラノカンタイニホキュウガヒツヨウナフネガイルカ、イルノナラ「トワダ」カラホキュウスルだそうです」


「わかった。キョウリョクヲカンシャスルと返信しろ」


そうして「とわだ」から民間船から先に補給が開始されたがそのとき艦全体に横殴りの衝撃を受けた。


「どうした!」


「艦長、敵襲です」


「くそ、こんな時に」


「みょうこう」の艦橋で舌打ちする。


「艦長、「とわだ」から通信が入っています」


「艦長、こちらはまだ補給が終わっていない、それまで護ってもらえないか」


「どれぐらいで終わりますか?」


「短くても25分はかかる」


「わかりました。必ず守ります」


「全艦に伝えろ、「いずも」はSH-60Kにヘルファイヤを搭載させて、「ゆうだち」、「しらね」、「あさゆき」はアメリカの艦を守るんだ」


「了解!伝えます」



各艦の乗員が慌ただしく、自分の配置についていく。

そして、各艦が第七艦隊を囲むように配置することができた。


「レーダーに何か映っているか?」


「映っています。感およそ20」


「よほど沈めたいらしい」


「一体、我艦に接近!」


「迎え撃つぞ。指定兵装主砲、目標敵カテゴリー、主砲撃ち方用意」


「撃ち方用意」


「撃ち方始め!」


「撃ち方始めーー」


海上自衛隊創設以降、最大の撤退戦が幕を開けた。

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