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COUNTERATTACK 解放戦記  作者: 兄ほわ
反撃編
16/25

少しの休息

12月 31日 新国立環境研究所にて


「ですから何度も言っているじゃありませんか!」


湊はさすがにキレはじめていた。あの戦いの後に壁にボロボロの状態で帰ったら、いきなり車に押し込まれて、今の状況だ。


「だがね、湊士長、君の言い分もわかるんだがもっとまともな事を言ってくれないか?」


「自分はさっきからずっと正気ですし、嘘も言ってません!何度言ったらわかるんですか!?ずっとさっきから同じ質問ですよね」


「貴様!今のは上官に対する言葉か!」


「私はあなたの部下ではありません。仲間に会わせてください」


その激しい言葉づかいをマジックミラー越しで見ていた人物がいた。

そう森岡総理大臣と長官や大臣たちである。


「長官、君はどう思う?」


「私が言いたいのは彼らは少し正気を失っているように思えます」


「彼らには休憩をさせたか」


「いえ、壁に戻ってからすぐに連れて来て、事情聴取しています」


「なんだって!事情聴取の時間は?」


「約3時間です」


「彼らを解放しろ」


「お言葉ですが総理、今ここで彼らを出すと危険が・・・・」


「疲れているのにまともな聴取ができるはずがないだろう。とにかく一度休憩させてそれから話を聞いても遅くは無いんじゃないだろうか」


「・・・・総理がそうおっしゃるのなら」


その会話の10分後、湊を含めた隊の全員が解放された。




新国立環境センターから解放されて30分後 自衛隊駐屯地


(さっき出たばかりなのに次はこれかよ)


今の現状を見て、湊は心の中で愚痴ってしまう。



「ところでだ。湊士長、重要な話がある」


「は、はい!」


陸将に名前を呼ばれて、思わず大きく返事をしてしまう。


「あまり肩に力を入れずに落ち着いて聞いてくれ、これはさっきも言ったが重要な話だ」


小崎陸将の真剣な話に思わず、背筋が凍る湊


「実は前に領土奪還作戦の話をしたはずだ」


「させました」


「目標は・・・・大阪」


「大阪ですか・・・・」


「ああ、そのために偵察部隊を現地に向かわせているのだがここで二つも問題が起きた」


「問題とは?」


「まず一つ目はカテゴリー6を覚えているな?」


カテゴリー6とは以前現れたフォーのことだろう


「あれは忘れられません」


「だろうな。その個体の回収と解析に中央特殊武器防護隊と第3特殊武器防護隊が科学防護車2台、生物偵察車2台、NBC偵察車3台で向かい。現地で作業していたがその作業の途中にカテゴリー6が目覚め、武装していた隊員を4名殺害して、NBC偵察車も1台破壊して去ってしまった」


やはりなと湊は思った。あの「6」同士の戦いで最後にワンはこう言ったのだ。


『みんなに伝えろ。ワンはこっち側に就くから今度会ったら敵だとな』


やはりワンは明確にフォーを殺さずにあえて自分は敵だということをカテゴリー側に伝えるために手加減したのだ。


「確かに大変なことですがそれが?」


「確かに我が国は一体のカテゴリー6を現在は手にしているがもし、その事が敵側に伝えられたら?」


そこで湊はハッと気ずいた。


「大阪の警備が強化されて、大阪奪還作戦がやりにくくなる・・・」


その事実を改めて気ずかせられたとき、湊はため息を吐いた。


「今更考えても遅い、しかも君が知らない内に我々はマスコミに近い内に奪還作戦をやると言ってしまい、そのためか国や民間の大手企業から多額の投資が行われているからもう止められない」


「それは大変ですがもう一つは?」


「実は君達も釈放して、この作戦に出動してもらう予定だったのだが次に話す問題に君たちを送れと上が言ってきてね」


「どんな問題ですか?」


「それが前回の戦いで敵も攻勢に出たのか、なんと四国でパンデミックが発生した」


「なんだって!どうゆうことですか小崎陸将!」


パンデミックとは感染が極限まで高まった状態である。普通はカテゴリーのQ細胞はカテゴリーの体内でしか繁殖しない、よって一度カテゴリーの体内から出してしまうとあとはボロボロと時間が経つにつれて崩壊してしまう。

しかし様々な実験を行ったところ、なんとか崩壊の時間を食い止めてることには成功していたのだ。しかしそのウイルスが何らかの原因で漏れて人体に接触するとカテゴリー化してしまうのだ。


「すでにパンデミックで多くの民間人がカテゴリー化している。我々は何とか県一つだけで抑えることができたがまだまだ民間人が生き残っている。だから警察と協力して彼らを救ってやってくれ」


「その前に一つお願いがあります」


「なんだね?」


「自分の隊の隊員を全員解放してもらいたいのです」


その要求に小崎陸将は迷っているのか、押し黙った。


「・・・・・わかった、解放しよう。ただし条件がある」


「条件とは?」


「確かあのカテゴリー6は君になついていたな?」


なつくって、動物みたいだな


「はい、そうです」


「実は上が本当に味方なのか、テストがしていと言ってきた。それで今回の事件でそれを試したい。いいか?」


「それならいいですよ」


湊はあっさりと受け入れた。


「ならいいだろ。出発は3時間後、それまでに体と精神を休ませておくようにそれと現地に着くまでの移動手段は化学科の特殊探査戦闘機が空港まで届けてくれる。そこから陸自のヘリに乗って、目標地点で特殊作戦群の狙撃班を援護する。わかったな」


「・・・・・」


「呑み込めたようだな。ではこれにて失礼する」



3時間後、空港にて


「隊長!どうやったんですか!?」


空港で久しぶりに会った。村田、白河などの隊員に状況を知らせた時に‘‘特殊作戦群”の名前を出して、それの支援に回ると言うと他の皆が食いついてきたのだ。


「一体何ですか?」


「隊長、知らないんですか?特殊作戦群と言ったら、陸自の特殊部隊!つまり超エリート!自分生きててよかったです」


自分は特殊作戦群なんて知らなかったから、よくわからなかったが村田隊員の説明を聞くとどうやらすごいらしい。感心しているとまた別の声が聞こえた。


「ミ~ナ~ト~、これは外してもらえないんですか?」


それは陸自の作業着を着たワンだった。湊は呆れたように


「それは外せないの?」


「外せるけど、自分では外さない」


よくわからないプライドだったがこれのおかげで今は行動を共にできている。


「おとなしくしていたら外すから待ってよ」


「分かりました」


ワンとの会話を打ち切ると前に向き直った。


「あなたが湊士長ね」


湊は敬礼すると正面の女性も敬礼した。


「はい、そうです」


「私は中央特殊武器防護隊の副隊長をしている高木よ。よろしく」


「よろしくお願いします。高木三尉」


「くわしくは中で説明するわ。さぁ入って」


そう言われて、湊達は特殊探査戦闘機「しらかご」に乗って、再び戦いへと戻るのであった。


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