日本エリア防衛戦 前篇2
12月 25日 夜明け後の瀬戸内海 第四護衛艦隊群
夜明けの朝日が昇っていて、とても綺麗だった。その朝日に照らされて8隻の護衛艦が照らし出される。そう日本エリアの中部地方にカテゴリー6が現れたと言う報告が入ってきたため政府は全ての地方の自衛隊に防衛出動を命じた。
「残り時間は?」
「はい、残り1時間24分です」
この残り時間は現在は全ての自衛隊の部隊がまだ到着していないため、その前に第四護衛艦隊群のDDH-182「いせ」、DD-105「いなずま」DD-106「さみだれ」、DD-113「さざなみ」、DDG-172「しまかぜ」、DDG-176「ちょうかい」、DD-104「きりさめ」、DD-117「すずづき」の編成でミサイルを町に打ち込み、町ごと「6」を消すのだ。これは日本だけではなく、世界中でそうすることが決まっていた。
「間にあえよ」
まだ町に残っている全ての人間に心の中で伝えた。
「避難所」から出て来てから40分後 壁も北門にて
「岡島刑事!」
そう呼ばれて岡島は振り向くと見慣れた顔がそこにいた。
「よう、湊」
「状況は?」
「わからんが最初に爆発があったところに警察官を数名送り込んだが最後に救援要請した後に連絡が途絶えた。その後に上は機動隊、SIT、SATの部隊の一部隊を送り込んだがこつらも先ほど連絡が途絶えた」
「そんな・・・・」
「そこでだ。君たちは知らないかもしれないがあと2時間でここを自衛隊がミサイルでこの街を攻撃する」
「「「え!」」」
「それが世界が決めた方法なんだ。だからそれでに彼らと民間人を探し出してくれ」
「わかりました」
「それとコイツを持って行け」
「これは?」
「この無線機で連中と連絡を取っていたから何かの役に立つはずだ」
「ありがとうございます。それでは」
彼らが乗ってきた車両はみるみる内に遠ざかっていった。岡島はその背中を見ながら、幸運を祈った。
SAT第二班、通称「サット2」 とある商店街にて
「撃ちまくれ!」
ダダダダダダダ
全身にくるような反動をその肩で受け止めながら、SATの隊長は焦っていた。
「隊長!全員が避難完了しました」
「良し!退くんだ!」
一切、無駄のない動きで撤退に移るが「6」がその動きを感じ取り、追撃を開始する。
「逃げたらだめ~~~」
「なら、これで遊んどけ」
扉が閉まる前に声がする方にスモークグレネードと閃光手榴弾を投げつける。
一瞬で耳を塞ぐような音と目を覆いたくなるような閃光が来る前に扉が閉まった。SAT隊員全員が息を吐くが隊長はそれを叱咤した。
「まだ安全ではない。だから早く民間人と合流するぞ」
そうしてまた起き上がり、移動を始めた。
ミサイルで都市が消滅するまで残り1時間 13分 機動隊、SITの生存部隊にて
「ヘリ部隊は?」
「もうすぐ来るそうです」
生き残った警察特殊部隊は自衛隊のヘリがあと数分で次が来るので今いる民間時と共に脱出しろとの命令を受けた。
「発煙筒で合図しろ」
命令すると一人の隊員が発煙筒を取り出してヘリに合図した。すると護衛のヘリのAH-1S「コブラ」と共にUH-60J「ブラックホーク」の航空自衛隊仕様が現れた。
「急いで乗るんだ」
搭乗員が叫ぶ。幸いにもあまり人がいなかったので素早く離脱することができたが飛行するヘリから見た光景はあの戦いを思い出させるのに十分だった。建物が燃えて、人の悲鳴やまだ戦っているであろうSAT部隊の銃声が聞こえた。
「我々は役に立てなかった」
SITの隊長はそう言った。たしかに目に見えないほどスピードで「6」に接近され部隊は壊滅状態、民間人にも少なからず犠牲が出てしまった。だが隊長を含む機動隊、SITの隊員達は今、ヘリに乗っている民間人だけでも救えたことで自身を正当化するしかなかった。
ミサイルで都市が消滅するまで残り50分 SAT第二班 とある商店街にて
「全員、弾を確認しろ」
MP5の今、入っている弾倉と予備の弾倉を確認する。
「できました」
「弾は?」
「全員が今入っているのを合わせて残り3つの弾倉しかありません」
「そうか・・・・」
絶望に明け暮れていると無線機が鳴った。
『聞こえるか?こちらは航空自衛隊の救助部隊だ。誰か応答してくれ!」
「こちらはSAT第二班、聞こえているぞ」
『サット2、高いところで何か目印を立ててくれ。そうしないと現在地がわからない』
「わかった。通信終わり」
ようやく希望が見えてきた。そう思うと自然に足取りも早くなった。
それから15分後 ビルの屋上にて
「発煙筒を出せ」
素早く隊員が発煙筒を取り出し、合図を行う。
『見えた!すぐに向かう』
するとヘリのローター音がして、航空自衛隊のUH-60Jが現れた。
「先に民間人を乗せるんだ!俺らはそれまで周辺確保だ」
まず70代くらいの夫婦が搭乗員の助けをもらいながら乗り、それからこの近辺で働いていただろう白人と黒人の男性が数名乗り、残るは家族連れと初老の男性と中学生と我々だ。
「良し、それじゃ早く・・・」
家族連れを乗せようとするとコックピットにけたたましいアラートが鳴った。
「接近警報?まずい!離れろ!フレア点火!」
フレアを蒔きながら、ヘリが離れていった。事態がわかった隊員と民間人はすぐに建物に避難しようとするが最後に入ろうとする隊長の頭上を何かが通り過ぎ、
退避しているヘリに当たった。
「そんな・・・・・ウソだろ」
ヘリはそのまま高度を下げ続け、近くの建物にぶつかり大破炎上した。
「隊長!危険です」
その言葉に我に返り、中に入った。皆が安心しているときに一人だけ深く後悔していた。
(皆には教えていないがあれが最後の脱出ヘリだったんだ)
ヘリの搭乗員と民間人と隊員達を救ってやれなかったことに彼だけが深い後悔の念につつまれていた。
ミサイルで都市消滅まで残り36分 湊班 国道にて
「くそ!残り時間は?」
「あまりありません」
どうしたものかと考えていると岡島刑事から渡された通信機が鳴った。
『くそ!脱出ヘリが落とされた。誰か迎いに来てくれ』
「現在地は?」
『誰だ?まぁいい、今はとあるビルで「6」と交戦中だ。弾が少ないから早く来てくれ!目印に発煙筒を焚いておくから来てくれ!』
すると向こうの方から発煙筒が見えた。
「行けますか?」
「任せてください」
怪我を負いながら村田が答えて猛スピードでその場所に突っ込んで行った。
残された時間は残り30分を切っていた。