表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

嬉しい知らせ

 この日が来た。

ヨハンナは小鳥のさえずりが聞こえたと同時に目を覚ます。

今日は今日は、待ちに待った発表の日。だから家の前にある赤いポストめがけて一直線に走った。

 

「……っ。お願い、今年こそは」

ポストに入っていた茶封筒をそっと開け始める。

震える手に力を込めながら中に入っていた白い紙を、結果を見た。


「……や、やった……。やったぁああああ!!」


――嘘、私、合格した?

結果を見たときに、まず真っ白になった頭で思ったこと。

信じられなかった。何回もあれだけ勉強しても受からなかった試験に合格するなんて。

 そうだ。おばあちゃんに知らせなきゃ。まだ朝の四時だということを忘れ、

祖母に知らせに家に戻る。


「おばあちゃーん!私受かったよ!受かったんだよ!!」


ねぇねぇと祖母を起こしながら言う。


「なんだい、朝っぱらから。うっさいねぇ」


祖母は元宮廷教官で、その教官をまとめる指揮官でもあった。

私は幼いころから祖母のそんなかっこいい姿を見て強いあこがれを持っていた。だから私は宮廷教官を目指すようになった。


「受かったんだってば、ね、見てこれ!合格書」


うっすらと瞼をあけてじろっと私を迷惑そうに見ている祖母にほらっと合格書を見せびらかす。


「ほぉ……、やっと受かったか。良かったな」


祖母はそれを受け取り、私に温かい目を向けた。

そうなのだ。私はこの試験に何度も落ちてきた。それがこれを最後にと思い、受けた今回の試験に受かったのだ。そのうれしさは半端なものじゃない。


「うん!私、宮廷教官になったんだよ!私、やっと夢かなえたよ」


えへへと笑いながら祖母にいう。

努力は報われるとかよく言うけど、それは本当だったみたい。


「じゃあ、今日はマルセルを呼んでお祝いだねぇ」


 マルセルは私のお兄ちゃんというか私のお姉ちゃんと結婚した人つまり、

義兄ということになる。でもお姉ちゃんは今、仕事で海外にいるから一緒に同居しているわけではない。マルセル兄さんは宮廷の役人で普段は宮廷に住み込みしている。でもお祝いなどの時は家に戻ってくる。


「うん、そうして」


うきうきとしながら部屋に戻る。

 今現在、私は祖母と一緒に住んでいる。両親は普通に健在だけど、両親が住んでいるところは田舎で私の勉強に適していないところであるから祖母と住んでいる。祖母のところは宮廷に近く、試験も受けやすいからだ。

わりと、裕福な財産があって、田んぼとかの手伝いもないから勉強がよくはかどる。


 そもそも宮廷教官の仕事というと、その名の通り、皇子様たちの教育係をつとめる。

まぁ、そのほかに執務の仕事とかあるけど、宮廷の役人だから給料もいいし、そんなに仕事もきつくはないけど、これになるのが難しい。

毎回の試験で百人以上受けてなれるのが五人しか受からない。

 これほど難関試験でも人気なのは、皇子様とのかかわりができるからだろう。だから女性が多く、昔は女性の仕事とまで呼ばれていたほどだ。


その難関試験に私は受かった。

よし、明日から宮廷教官だ、がんばろう――


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ