086.お姉さん
今日から春休みなんだけど、またお兄ちゃんの車に乗っけられて火室家ご訪問。何故か、総務会メンバーが全員そろってだ。理由は会話の分散だ。マコちゃん1人ではどうにもならないことが分かったからだ。お兄ちゃんはあんな性格なので友達がいない。だからお兄ちゃんが呼べる人間となるとどうしても総務会メンバーとなってしまうのだ。前に行ったときの後、ママさんに「今度はいつ来るのー?」と後ろをちょろちょろされた際に「春休みつれてくる!!」と言ったそうだ。
「ちょろちょろされるにのに絶えられなかった。すまん。」
お兄ちゃんは頭を抱えながらそう言った。お兄ちゃん、あんたお兄ちゃんになってから本来のキャラからかけ離れすぎてませんか?
火室家に着くと、きたことがない瞬君と土田君はきょろきょろした。特に土田君が落ち着きがなく瞬君にへばりついている。瞬君も少し落ち着かないのかつっこまない。流石に、生・メイドさんを見て土田君が「も、萌だ!!」と大声で言ったときは「うるさい!!」って怒ってたけどね。私も正直落ち着かないのだが、心を真弓モードーに切り替えてポーカーフェイスを頑張って保った。
今日は直接ママさんのところに案内された。
「真夜ちゃん、ママとお着替えしましょうねー。」
とママさんに別の部屋へと強制連行された。やっぱり変身しなくちゃダメなの?
「あのー、ママさん。着替える必要はないと思いますがー・・・・・・・。」
「だって、ずーと、娘にこういう風にするのが夢だったんですもの。ママのためだと思って、ね!」
別室に入るとママさんに似た女の人がいた。
「華蓮おば様、その子が真夜ちゃんですか?」
もちろん、巨乳美人。
「そうよ!私の娘の真夜ちゃんよ!とーってもかわいいでしょ!」
ママさん、私の娘のところ強調しすぎ。
「真夜ちゃん、こちらのお姉さんは私の姪の華菜ちゃんよ。」
「はじめまして、城宮華菜です。お姉ちゃんと呼んでくれるとうれしいわ。」
お姉さんもすぐ人を家族にしたがる人なんだね。うん、なんかママさんとあのアホお兄ちゃんとの血の流れを感じた。
「こちらこそ、はじめまして。月影真夜です。」
「さぁーて、真夜ちゃん。ママとおねえちゃんでもーっとかわいくしてあげますからねぇ!」
やっぱり、変身から逃げられないんだ・・・・・・。
お姉さんもママさん同様、テンションが高い人だった。華菜お姉さんは有名お嬢様大学の2年生で、お父さんが政治家なんだって。ママさんの妹に当たるお母さんはファッション関係の仕事をやっていって、お姉さんもそちらに進みたいそうだ。
「はい、出来上がりよ!」
私は右手をママさんと、左手を華菜お姉さんと繋ぎ、巨乳美人に挟まれながら皆がいる部屋につれてかれる。私を見ると一同、目を丸くする。一番、反応が早かったのは土田君だった。
「真夜ちゃん、かわいグフォ!!」
いつもどおり抱き疲れそうになったので、私はよけて1発入れた。土田君は腹を抱えて、その場でうずくまった。うん、いつも通り。
「よくお似合いで。」
「うん、かわいいよ真夜ちゃん。」
つぎに反応したのは金島先輩と瞬君だった。事実かどうかは別として、何かお世辞っぽい。
「な、何で、華菜さんがいるんだ・・・・・・・!?」
お兄ちゃんがこの世の終わりみたいな顔をしながら言った。まぁ、ママさんが2人いるようなもんだからさぞかし疲れるだろうよ。で、風天先輩がまだ固まっている。隣に座っていた金島先輩がひじで突くとハッとして、私と目が合うとまた固まり再びつつかれると口元を手で隠し赤くなりながらうつむきかげんに、
「す、すごく、か、かわいい、と思う・・・・。」
と恥ずかしがりながら言った。そのすがたに萌えた。キュンときた!だが、その雰囲気をぶち壊すように
「ま、真夜!逃げるぞ!!」
「ふへ!?」
お兄ちゃんが私の手首をつかみ、捕獲された。
「お前たちも、行くぞ!!」
「「「「??????」」」」
「ちょ、りっ君!!」
ママさんのの声がする。
私たちはその場を去った。