082.お姉ちゃんの旅たち
予餞会も無事に終わり、卒業式も終わった。
卒業式の終わりに毎年総務会で写真を撮るのだが、なぜか卒業生でもない私がセンターと言うなぞの写真と化した。お姉ちゃん、何考えてるの・・・・・・・。
そしてお姉ちゃんが卒業式の次の日、旅立った。いや、放浪の旅に出たわけじゃないんだけどさぁ。大学の寮にいちゃったの。お姉ちゃんが進学する学部は青森県のとある山奥にキャンバスがあって、学生寮で生活するしかないのだ。その学部では何かいろいろな格闘術を勉強するらしい。もちろん聖魔大学。どんな学部持ってるんだよ、聖魔大!そして、お姉ちゃんがいなくなった我が家はしこたま静かだった。どんだけ、騒がしかったんだよ、わが姉よ。
そしてまた次の日、お姉ちゃんのへ屋をマコちゃんの部屋に使用計画が実行された。まぁ、早い話模様替え。そのあと、火室先輩が遊びに来て、マコちゃんを連れて行ってしまった。私はパス。模様替えで疲れたので、アホの面倒は見きれん。マコちゃん、任したぞ!!私と違って、体力があったマコちゃんはお兄ちゃんが遊んでくれると聞いてご機嫌だ。お兄ちゃんもご機嫌だ。「2人ともご機嫌だなぁ。」と私が言ったら、相変わらず半居候してる瞬君に「っえ!?そうなの!?」と言われた。これは、マコちゃがポーカーフェイスの達人であることから来ている。マコちゃんは、外見は私と瓜二つなチョー女顔なのだが、中身は全く似なかった。マコちゃんの中身は真弓にそっくりだった。マコちゃんと真弓の一番似ているところはポーカーフェイス。マコちゃんも真弓も家族ですら何を考えてるか分からないくらいポーカーフェイスなのだ。そして新しいものにはすごく警戒心を持つ。基本自分のペースを保つ。唯一2人が違うのは運動神経。マコちゃんはお姉ちゃんに似て運動神経が抜群なのだ。真弓は引きこもりなのであるはずないし、それ以前に運動なんてしたら寿命が縮まる。私にとって真弓は自分である。なので、正確にマコちゃんの表情を読み取れるし、そんなことできるのは私ぐらいである。家族はもちろん、マコちゃんが生まれたばかりのころから半居候をしている瞬君ですら5分の2くらいしか読み取れないのだ。でも何故だ。お兄ちゃんは5分の2どころかほとんどマコちゃんの表情が読み取れている。まぁ、私にはまだ及ばないがな。先輩も素直じゃないから共通していつところがあるのかもしれない。だから、仲良し兄弟なんだろうな。
だって、マコちゃん付き合いの長い瞬君より確実にお兄ちゃんに懐いている。マコちゃん、お兄ちゃんのどこを気に入ったんだ・・・・・?
そして、終業式1週間前の週末のことだ。私はラノベを読みながらアニメ曲を聴きコードの解読をしてた。シャーペン片手にラノベを読み、小節のみ書いてあるメモしにコードを描き込んでいく。そんな中、いきなり部屋の扉が開いた。
「真夜!!」
「ギャー!!火室先輩!!?」
いきなり、乙女(?)の部屋に入ってきたよ、この人。この人から言ったら、「妹の部屋に入って何が悪い。」ってことなんだろうけどさ、絶対普通の神経してないよ!いや、前々から知ってたけどさ。
「先輩、いくら私が妹だからって女の子扱いしなさすぎです!!って、いつも言ってるじゃないですか!普通、女の子の部屋にいきなり入りますか!?」
「今はそれどころじゃない!いいからこい!!」
「え!?ちょ、ちょちょー!!」
私は約4ヶ月ぶりに荷物担ぎにされた。
「だから、先輩。人の話、聞いてましたか!?聞いてませんよね!!?いや、それ以前に、部屋着のまま、出かけられませんって!!降ろして!おーろーしーてぇー!!」
先輩は私の言ってることを無視して、そのままスタスタ歩く。マコちゃんの後ろからひょっこりついてきた。そして、マコちゃんも私も車に乗せられた。そして発車した。
「・・・・・・マコちゃん、私たちはどこに向かってるの?」
「・・・・・・・・・。」
マコちゃんが「?」となっている。相変わらずポーカーフェイスだけど。て、おいおい!分からないのかーい!!
「・・・・・・、でも、お兄ちゃんがついてこいって・・・・・・・。」
私はため息をついた。マコちゃん、どんだけお兄ちゃん大好きなのよ。マコちゃんらしくなく、人のこと簡単に信じてほいほいついていくなんて。瞬君どころか私よりお兄ちゃんに懐いてないかい?だとしたら、マコちゃんの血のつながった姉としてとても悲しいです。私はマコちゃんのこと大好きなのに・・・・・、シクシク。まぁ、それは置いといて、答えてくれそうなマコちゃんが知らないとなると、本人に聞くしかないようだ。
「・・・・・・、先輩、今日はどのようなご用件なのでしょうか?」
「・・・・・・・。」
「部屋着のままつれ出したってことは、相当大事なようなんですよね?」
「・・・・・・・・・・・・。」
「答えてください。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
(答えろ!!アホ火室!!)
この暴言は心の中だけにとどめておく。
「・・・・・・・話はついてからだ。」
先輩はそれだけ言った。まぁ、答える気はあるみたいだからまだましか。って、許すレベル低!!と、思っていてもお菓子をもらい何も言えなくなった。子供か!!ちなみに、マコちゃんも結構甘党なのでお菓子にご機嫌だった。相変わらずポーカーフェイスだけどね。
着いた先を見て、私はおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい・・・・・・・・・・∞と思った。だってそこはゲームでも出てくる火室の家だったからだ。個人ルートに入るとでてくる。だが、絶対に個人ルートにはいったということはない。だって、マコちゃんいるし、私は妹だし。しっかし、でっかい家だなー。流石金持ち。これはゲーム上の設定なのだが、敷地内には尋常じゃないでかさを誇る本低と、一般家庭の戸建て4個分ぐらいの別邸がある。見た感じゲームどおりなようだ。だとしたら、お兄ちゃん本人は別邸の方で生活しているはずだ。つまり、両親と別居しているのだ。これは別に、両親に愛されてないとかそういうベタな物からきてるのではない。なぜなら、これは本人の意思だからだ。理由は、子供の前だというのにあまりにも両親がいちゃつくので、それに嫌気が差し自ら別居を希望した。しかも、両親の反対を押し切ってだ。しかも、その発言が出たのは小学1年生だ。おい、小学1年生が嫌がるって、どんだけイチャイチャ夫婦だったんだよ。この設定を知った真弓の感想は、「なんか、いろいろな意味で苦労してるな。」だ。ごくろうさん。