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069.同志を観察!

Allライライ目線

 初めて会った同じ境遇の人間、月影真夜。確かに話してて、ラブマジの月影真夜とかなり違うな、とは思っていたが、前世に記憶を持っていると聞いて納得した。

「あんんた、大丈夫か・・・・・・?」

「だ、だ大丈夫だよ・・・・・!!」

「でも、前、見えて無いじゃん。」

「っう!!」

俺たちは予餞会に装飾に使うものが入っているダンボールを2つずつ持っている。大きな段ボール箱を2つ重ねて持つと、月影は前が見えないどころか上半身隠れてるし、ダンボール箱が頭の高さを超えてしまっている。とはいっても、中身はすごく軽い。装飾品なんて体積を取るだけど軽く、入っているものの6割は空気である。それに、月影は強化魔法が使えるので重さという面では月影が段ボール箱を2つ持つことに何の問題も無い。だが、高さという面では無理だ。無理すぎる。だからといって、俺が3つ持つと俺が同じ状態になるし。今だって、ぎりぎり目だ出てる程度だ。なにより、ダンボール箱が4つあった時点で2つづつ持つことを譲らなかった。

「あー、真夜ちゃんライライだー!!」

月影以外で俺のことをライライなんでふざけたあだ名で呼ぶのはただ1人。進行方向から土田が現れた。しかし、足しか見えてない月影がよく分かったものだ。

「土田君、危ないからどいて!」

と、同志・月影が言うと土田は正面からどき、俺とは逆の方の月影の隣に並ぶ。

「持とうか?真夜ちゃん。」

「いい。重くないし。」

「いや、それ以前の問題があるでしょ。」

「でも、ライライが2個持ってるのに私だけ楽するわけにはいかないよ。そんなに持ちたいなら、ライライのを持ってあげなよ。」

「でも、前見えないとと危ないよぉ。」

「大丈夫、大丈」

「ぶ」といいながら、月影はこけた。月影が持っていたダンボールは宙で回転し中身が散らばって落ちた。だから言ったのに。

「ま、真夜ちゃん!大丈夫!?いつものことだけど。」

おい、最後そセリフは聞き捨てられなかったぞ!そんなに、しょっちゅうこけてるのか?

「わ、私の眼鏡ことはいいから・・・・・、中身拾って・・・・・・。」

心配してるの、眼鏡じゃねえよ!!といったら、きっと「眼鏡っ子にとって眼鏡は顔の1部だよ!!」とか返ってきそう。けっこう痛かったらしく、月影はプルプルしながらゆっくりと立ち上がった。俺は段ボール箱を床に置き3人で中身にを拾う。

 拾い終えると、月影はこりもせずまたダンボール箱を2つ当然のように持った。すると、月影の手からダンボール箱が消えていた。いや、消えたのではない。

「真夜・・・・・」

ここにいなかった第三者が月影からダンボール箱を2つとも取り上げたのだ。

「ひ、火室先輩!?」

風紀委員長の横には水原もいた。

「何やってるんだ、お前は・・・・・・・。」

「何って・・・・・、ダンオール箱を運ぼうとして」

「お前には無理だ。やめておけ。」

「む、無理じゃないです!!返してくだ」

「無理だ。いいからお前は」

風紀委員長は器用にダンボール箱を片手で持ち自分のポケットをあさり、小さな紙箱を出だし、

「これでも食ってろ。」

と言って、紙箱から出したものを月影の口の中に突っ込んだ。月影ははじめ、「何、これ?」という顔をしていたが、口の中に入れられたものがなんだか分かったようで、頬に手を当て美味しそうに口の中のものを味わっている。幸せそうだ。食い物ひとつでここまで幸せそうになれるのか!?と言いたくなるくらい幸せそうに口の中のものを楽しんでいる。

「あー、またお菓子でごまかされてるよー。」

土田が言う。お菓子でごまかされてるって、子供か!!風紀委員長は満足そうな顔をして、紙箱を月影の手に握らせた。

「これ、どこに運べばいいんだ?」

と風紀委員長が言う。土田が

「ライラーイ、どこー?」

と言ったので、俺は

「会議室」

とだけ答えた。それを聞いた風紀委員長はダンボール箱を持って会議室の方へといってしまった。

「ところで、真夜ちゃん、何もらったのー?」

「ひゃらめりゅ」

多分、キャラメルと言っているのだろう。キャラメルが口の中にはいっていてキャラメルと発音できなかったようだ。何か月影らしい。しかし、本当に美味しそうに食べるな。食べさせたくなる気持ちがなんとなく分かる。

「いるー?」

と月影が言うと、

「いる!」

と土田が返した。月影はキャラメルが入っているであろう紙箱を土田に渡した。と同時に、

「っあ!!ダンボール!!」

と言う。今頃気づいたのかよ!!土田は紙箱を開いてキャラメルをとりだし自分の口に放り込んだ後、もう一粒取り出して、

「瞬ちゃんは何でいるのー?」

と言いながら、キャラメルを水原の口に入れようとしたが、その前に水原が土田の手からキャラメルを奪い取り自分の口の中に入れた。土田はとても残念そうにしている。

「職員室に行く途中なんだよ。本当は火室先輩の用なんだけど、あの人1人で行かなくてさ。一緒についてきてあげてたの。でも・・・・・・、はぁ・・・・、また僕が代わりに行かなくちゃいけないみたい・・・・・・。」

いつものことなのか・・・・・・、ご愁傷様。土田は「ふーん」と言いながらもう一粒、キャラメルを取り、月影に紙箱を返す。月影はその紙箱をポケットの中にしまうと、

「じゃあ、ライライ、1つづつ持とうか。ダンボール箱。」

といって、1つダンボール箱を持った。俺ももう一つのほうを持つ。すると、土田が

「は、ライライ。あーん。」

と言って、キャラメルを俺に食べさせてきた。ま、まさか・・・・、これのために俺が手を離せないようにダンボール箱を持つ流れを作ったんじゃ!?と思っていると月影からは笑顔のみが返された。クソ!!

「じゃあ、俺は、瞬ちゃんについていってあげよーッと。」

「ついてこなくていい!!」

2人は職員室のほうに行ってしまった。


 でもなんか、月影がなつかれる理由が分かったような気がする。

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