066.ソファドン
「どうよ!雷瀬君!!」
エッヘン!!というように私は言った。だが、雷瀬君はただ固まっている。
「おーい、雷瀬君?おーい。」
雷瀬君の肩を持ち、ゆらゆらとゆすると雷瀬君はハッとし、意識を取り戻した。
「・・・・・・・・。」
「どうよ!!(ドヤ)」
「・・・・・・・・・・・・。」
「なら、負けを認めてよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
また、プイットそっぽをむかれた。クソォ!
「ねぇねぇ、真夜ちゃんとライライは何の勝負、してたの?」
土田君が聞いてきた。
「いや、勝負とは違うんだけど、雷瀬君があまりに私のことを馬鹿にしてくるからギャフント言わせようと。・・・・・・・・て、ライライって雷瀬君のこと?」
「うん!〝ライセ" だから〝ライライ" !!」
「ライセじゃない!アズマセだ!!」
雷瀬君がやっと口を開く。
「ライライがイライラしてるー(W)」
土田君が楽しそうだ。
「ライライがイライラでライライライラ!」
それを聞いた私が
「♪ライライライラ ライライラ ライライライラ ライライラ」
と即席でピアノ伴奏付き曲を作る。
「変な曲作るなー!!」
「「♪ライライライラ ライライラ ライライライラ ライライラ」」
土田君と歌い、さらに雷瀬君を馬鹿にする。そして、雷瀬君がさらにイライラする。その光景を見た先輩2人がププと笑う。
「よーし!雷瀬君に一泡吹かせたことだし、私もこれからライライって呼ぼーっと!!」
「どんだけ、俺を馬鹿にすれば気が済むんだよ!!」
「今まで、ライライだって私の言葉かにしたんだからお互い様だと思うよ?」
「・・・・・・・・。」
ほら、言い返せない。
「お茶でもどうですか?」
金島先輩がいつの間にかお茶を入れていた。わーい!
「そろそろ、あっちらのほうも飽きているころですしね。」
と金島先輩が言うと、あちらのほうこと風紀委員組が来た。
「あれ?雷瀬君、何でいるの?」
と瞬君が言うと、火室先輩が「誰だ?こいつ。」という顔をする。そしてライライ以外が休憩用のソファーに座る。そういえば、何の前触れもなしにつれてきちゃったもんね。
「月影さんが、手を繋いでつてれてきたんですよ。」
金島先輩が笑顔で言う。私がライライをつれてきた現場にいた2人と私たち当事者を除く人たちが驚く。
「先輩、違います。手を繋いでいたわけで張りません、手首をつかんで引きずっていただけです。つまり、連行しただけです。ピアノがあるところで私が出入り自由なところがここだったからです。」
と私が言うと、金島先輩と当事者を除く人々がほっとした。金島先輩は、クククと笑った後、
「雷瀬さんも、どうですか?」
と言う。いきなり生徒会長に話しかけライライがおろおろとしていると、土田君が、
「俺の隣に座らせて、あ・げ・る♪」
と言う。この場に知り合いが少ないライライは嫌々ながらも土田君の隣に座る。そして、金島先輩が
「どうぞ。」
と言って、お茶を出した後、
「お茶菓子は適当につまんでください。」
と言った。
「ほれ、真夜。」
隣に座っていた、火室先輩がお菓子を私に向けてくる。どうしても、お兄ちゃんは妹に餌付けがしたいようで、基本適当な順で座るのだが兄妹はかならずと言って隣どうしである。先輩が差し出したお菓子を話す様子がないので、私は先輩が持っているお菓子にそのままかぶりつく。ライライはあぜんとしていたが総務会メンバーはつもの兄妹ごっこだと知っているのでノータッチ。だが、ライライで遊んでテンションが上がっていた土田君はタッチしてきた。
「火室先輩、ずるーい!真夜ちゃんにあーんなんてぇ。」
「じゃあ、瞬君にやったら?土田君。」
私がそう言うと、ライライとは逆側の土田君の隣に座っていた瞬君がギョッとしていた。その顔見た土田君はお菓子の包装を開け、ニコニコと言うかニヤニヤしながら、
「瞬ちゃん、あーん」
と言って、瞬君にお菓子を向けた。瞬君は逃げ腰で、顔を背け逃げようとしたが、それに気づいた土田君が瞬君に壁ドンならずソファドンを仕掛け逃げられないようにした。おー、これはこれは、絶対ゆかりんが黄色い声を上げる光景ですな。いかにも薔薇っぽい。私は携帯をポケットから取り出し、土田君が瞬君の口にお菓子を突っ込む直前のところを写メり、口の中に押し込まれたところも写メった。そして、ゆかりんに送信し、消去。土田君は、満足そうにソファドンを解除しお菓子を手に取り開け、お菓子を自分の口に放り込んだ。すると瞬君が
「土田君、せっかくだから雷瀬君にもやってらげたら?」
とどす黒い笑顔を、口を押さえ笑いをこらえようとしているが全く抑えられていないライライ向けながら言った。それ聴いたライライは青い顔をした。そして土田君は
「瞬ちゃん、ナイスアイディア!!」
と言って、瞬君にした事と同じことをライライにした。もとろん、ゆかりんに写メを送りましたとも!