058.モフモフ
途中から最後まで風天目線
今日はクリスマス。風天先輩とお出かけ。風天先輩は総務会の連絡はメールで、プライベートなことだと電話で連絡してくるので、多分、2人りっきり。それで区別が付くからなんとなく助かる。風天先輩は遠慮うがちに誘ってきたけど、風天先輩からのお誘いなら、用があっても行っちゃうよね!誰との約束よりも優先だ。とはいっても、元々部屋に引きこもって乙女ゲームやる予定しかなかったけど。
自分なりにおめかしをして待ち合わせ場所に行くと、先輩はもう着いていた。
(あー、もう、どうしよう。昨日の今日だから何も考えられなかった・・・・・・・。)
ずっと、どうしようどうしようと考えながら真夜を持つと、いつの間にか真夜がいて、俺のことを上目づかいで見ていた。真夜は小さいから、人の目を見て話そうとするとこうなるのだ。か、かわいい。すごくかわいい。思わず、見つめてしまう。好きながする上目づかいは強烈だ。見つめすぎたせいか、彼女はコテンと首をかしげる。しかも、上目づかいのままでだ。このコンボはかわいすぎる。(絶対ないのは明白だけど)計算してるのかと言うくらいかわいい。俺はハッとし、彼女のかわいさで緩みかけた口元を押さえながら目をそらす。
(お、落ち着け・・・・、落ち着くんだ、俺・・・・・・・)
彼女が心配そうな顔をしたので、俺はごまかすように
「い、行こうか!」
と、行って歩き始めた。なにげに彼女の手をとることだけは忘れなかった。
そういえば、真夜のことを好きだと意識してから初めてのデート(と言っていいよな!?)だ。何か、意識するとデートしてるうれしさが倍、手を繋げているうれしさが5倍、彼女のかわいさが50倍と化している。恋のパワー、恐るべし。
電車に乗り、俺たちが来たのは動物園+遊園地+公園(キャンプ場を含む)の大きなテーマパーク。暗くなると、クリスマスシーズンならではのイルミネーションがあるのでカップルが多い。
(俺たちも、はたから見ればそう見えるのかな・・・・・。)
やめよう、やめよう。自分から余計なことを考えて、パニクルのよくない。とりあえず、真夜に動物園と遊園地、どっちに行きたいかと聞いたら、彼女は目を輝かせてまであげて、
「動物園がいいです!!」
と元気よく答えた。
彼女は大きな動物を見たときは「おおー!」と声を上げ、小さい動物のときは目をきらきらと輝かせながら喜んでいた。はたから見たら普通なのだが、実際は、動物を見てはしゃいでいる真夜と動物を見てはしゃいでいる大好きな子をニヤケながら眺めている俺。彼女のかわいさでついついニヤケ、・・・・・口元が緩んでしまう。
お昼になったので、園内にあるレストランで昼食をとる。
「真夜って、動物好きなのか?」
「はい!動物と言うか自分より小さい生き物が好きなんです。っあ、虫は全般的とはいえませんが・・・・・、てんとう虫とかチョウチョは好きで周りに誰見いなかったり親しい人だけどったら思わず追いかけちゃうんです。あと、モフモフしてるとさらにいいです。」
あー、あたしかに自分より小さいものってかわいいよなぁ、真夜とか真夜とか、・・・・いや真夜だけか。
「食べ終わったらふれあいコーナーに行ってもいいですか?」
「うん、いいよ。」
彼女はうれしそうに笑った。
――――好いてもらっていることは俺でも知っている。でも、彼女が俺に向けている好意が、俺が彼女に向けているものと同じなのかが分からない。
(告白か・・・・・・。)
食事が終わりふれあいコーナーに行く。動物度とに仕切られていて、まずはウサギの所へ。彼女がしゃがんで
「おいでー!」
と言うと、まず、1匹やってきた。彼女はそのウサギを抱えて撫でながら、
「モフモフ・・・・・・・」
と言って和んでいた。するともう1匹、、2匹、3匹、4匹・・・・・・・・、と集まってくる。あっという間に彼女はウサギに囲まれた。彼女は全く動じず、ウサギに次々と触って和んでいる。かってに膝に乗ってきたウサギに
「順番守もらなくちゃダメでしょ?」
と優しく叱った。・・・・・・・って、区別がついてる!?
これはウサギだけではなく、すべての動物がそうだった。彼女は動物に懐かれつつ、手なずけていた。流石、あの睦を手なずけているだけはある。
彼女は懐かれる天才だ。めんどくさいと言いながらも人の世話を焼く彼女の優しさからくるものだろう。動物がそういうのに敏感だと言うことをしみじみ実感した。
ふれあいコーナーから出た後、彼女が、
「先輩はモフモフしなくてよかったんですか?」
と聞いてきた。俺が全くといっていいほどに動物と触れ合ってなかったためだろう。だって、動物と触れ合うより彼女を見ていたかったのだ。「モフモフ・・・・・」といいながらニコニコしている彼女は大変かわいかった。
(そう・・・・・、動物より・・・・・・)
俺は無意識に、彼女の手を引き、彼女を自分の腕の中に収めてぎゅっと抱きしめた後、彼女の頭を優しくなでた。もう一回言うが、この行動はすべて無意識でやった。確信犯ではない。
(こっちの方がくらべものにならないくらい・・・・・、いい・・・・。)
数分後、俺はハッとしあわてて彼女を放す。彼女は顔を真っ赤にさせながら「ほへぇ?」となる。俺は目を泳がせながら、
「え・・・、えーと・・・・・、い、今、モフモフしたから・・・・・、大丈夫・・・・・、です。」
と我ながら苦しい言い訳をした。もはや、言い訳にすらなってないような・・・・・・・。彼女は数秒間ポカーンとし、その後「っぷ!」と噴出し笑い出す。
「・・・・・・・、そんなに笑わないでくれ・・・・・。」
俺が悪いんだけどさ。
「いえ・・・・・、ププ、そういうことならプププ、先輩が満足したならいいですよ。プププ。」
と笑いながら言う。あー、でも、かわいいなぁ・・・・・・。