052.回復
車は私の家の前で止まった。土田君とゆかりんも一緒だ。私が降りようとしたら、先に降りていた先輩にまた荷物担ぎにされた。先輩は玄関まで行くと、
「おい!水原。いるんだろ、出てこい!!」
と叫ぶ。私は、
「せ、先輩!!インターホン!!インターホンを押してください!!」
と私が言うと先輩は今、思い出したように、
「あぁ。」
と言い、インターホンを押そうとした。そのとき、ガチャリとドアが開き瞬君が顔を出しながら、
「もう遅いです、火室せ」
出てこようとしたが、私が担がれているのを視界に入れたとたん、瞬君は動きを止めた。まぁ、そりゃー、驚いてフリーズぐらいはするよね。それくらい変な光景であることは火室先輩以外は分かっている。数秒後、瞬君が再起動した。
「ま、真夜ちゃ、ん?ど、どうし、たの?」
言葉がつっかえつっかえになっているが再起動はしている、一応。
「燃料切れでーす(W)」
私は反開き直り。だって、火室に何言っても無駄なんだよ。所詮アホだから。
「あ、あぁぁ、そ、そうだったんだー・・・・・・・。」
瞬君苦笑い。私が開き直ってるせいだと思う。でも、そうでもしないとアホの相手なんて無理なんだよ!分かってくれ、親友よ!!すごく動揺している瞬君は、一回深呼吸をして落ち着こうとしている。
「えーと・・・・・、じゃあ、火室先輩。真夜ちゃんを中まで運んでくれませんか?僕には無理なんで。」
これはガチである。瞬君は典型的な頭脳労働派でもやしっ子なのだ。だからって、私を担がれたままにしようとしないでくれ、友よ。だが、友は完璧にあきらめ先輩が私を担いだままでも家に入りやすい用のドアを全開に開けた。廊下の隅で、マコちゃんが観察するようにジーと見ていた。火室先輩は玄関に入り靴を脱ぎながら、瞬君に言う。
「実ですら真夜を持ち上げることぐらいできるのに、何でお前はできないんだ。」
風天先輩は小柄なほうで男子の平均身長より若干大きいくらい。瞬君より小さいい。
「僕は全く筋力が無いんですよ。そういうのには全く不向きな体なんです。」
まぁ、そうだろうな。私が一番知っている。それに何まり激しく運動したら瞬君の本体、・・・・眼鏡が危険である。落ちたりするからね!
「先輩、嫌なら降ろしてください。自宅なら這いつくばって進んでもぜんぜんOKなので。それに、壁伝いなら歩けそうなくらいまで回復しましたから。」
と私が言うと、先輩は
「いいから、前はおとなしくしてろ!」
と少し怒った。すると土田君が、
「心配性だねぇ、先輩。」
と言うと、先輩は
「妹を心配するのは当然だ。」
と堂々と言った。それを聞いてなんか申し訳ない感じがした。
「っあ、ゆかりん。よかったら、あがって。お菓子ぐらいは在るし、私のコレクション見ていいよ。」
と私が言うと、ゆかりんは目を輝かせて、
「おじゃましまーす!」
と言って、家の中にはいった。なにげに土田も入ろうとしていたので、
「入るな!変態!!」
と私は言った。
「そんなー。俺だけダメなんてぇー。」
「不審者を家喜んでいれる人なんていないでしょ!!」
「ふ、不審者!?不審者なの!?俺って!?」
「・・・・・・・、う、うん、・・・・・・まーね・・・・・・・。」
「泣いていい?泣いちゃうよ、俺。」
「・・・・・・・、と言うのは半分冗談で、リビングだけならどうぞ。」
「半分って・・・・・・・、もう半分は本気なの!?」
「うん。」
「もう、泣くぅ。」
土田君は泣きまねをしゆかりんに泣きついた。ゆかりんは慰めないとめんどくさいから形だけ慰めていると言うのがひしひしと伝わってくる慰めをしていた。
「よしよーし。」
とすんごく棒読みで言った。棒読み感、半端無い。
リビングに入ると、いつの間にかマコちゃんがリビングの机で勉強をしていた。マコちゃんにはMy roomが無いのでリビングの机で普段は勉強をしている。私がいすにおろされると、私に瓜二つの顔であるマコちゃんの顔がこちらを向いた。
「マコちゃん、魔力、回復して。」
と私が手を伸ばすと、マコちゃんはこちらに来て私の手を握り自分の魔力を流し込む。流れてきたマコちゃんの魔力が私の体の中に残された少量の魔力を倍へ倍へと増やしていく。魔力の流れが止まると私はすかっり元気になった。ついでに首もとの傷も軽くふさいでくれたようだ。瞬君は練れタオルを四人分持ってきた。家事の時にすすが付いたので拭くためだ。
「真夜ちゃんは、かなりひどいから、お風呂に入ったら?」
「うん、そうする。」
一番火元の近くにいたからひどいようだ。ゆかりんを私の部屋に案内しお風呂に入った。
8日00時ちょい過ぎぐらいに「裏・学園ラブアンドファンタジーをやってみたin乙女ゲーム」と言う新作をupします。早い話、番外編集です。まずは、17期生の修学旅行です。よろしければそちらもよろしくお願いします。