049.餌付け=観察
いつもどおり特に目的も無く、こっちへフラフラ、こっちへフラフラ。そして、また商店街にある駄菓子屋さんに来た。先輩に連れられて商店街に来るたびにこの駄菓子屋さんに来るので、ここの店主のおじいさんとおばあさんとはもう顔なじみだ。
「また来たのかね。」
「本当に仲のよい、兄妹ですねぇ。」
と、話しかけてきた。このことから分かるように、ここのおじいさんとおばあさんは私と先輩のことを本当の兄妹だと思っている。先輩がそう言ったからなのだが。似てないと思うんだけどおなぁ。騙されるか?それでこの人がご機嫌だから、まぁ、いいか。と思うし、変に勘違いされるほうが大幅にいやだ。私も駄菓子を買い店内にある小さな食事スペースのいすに座りお兄ちゃんを見守りながら食べる。買いあさるのが終わった用で先輩は私の向かい側に座り、駄菓子を食べ始める。この人の場合、買ったものの殆どがお持ち帰り用で、今食べているのは私に付き合っているだけ。これは昼休みに行われている餌付けも同じで、お菓子を一箱開ければ9割ほどは私の胃の中に納まってしまい、先輩が食べてる1割は先輩が手をつけないと私が食べにくいと思ってのことだろう。変なことには気が回る。先輩は、食べているのより私が食べているのをがん見していることのほうが多い。ほぼ間違えないと思うのだが・・・・、例えるなら、ペットに餌付けて観察するみたいな。うん、絶対これだ。ぴったりすぎてほかに言いようが無いくらいだ。でもこれ、火室先輩だけじゃないんだよね。総務会メンバーの殆どがそんな感じだ。私が食べてる姿ってそんなに面白いか?もしかして、私が気づいていないだけで食べてるときかなり変顔をしているのかもしれない。甘いものをお食べてるとき変顔までは行かなくてもかなりほほが緩んでいる自覚はある。うん、そういうことにしておこう。
外が急に騒がしくなり始めた。駄菓子屋の老人夫婦のそわそわしだした。
「あのー、どうしたんですか?」
私がそう聞くとおばあさんが答えてくれた。
「反魔法団体のデモが起きてるんだよ。」
あれー?そんなの今までここで起きてたっけー?
「1週間前くらいに、若い魔法師が近くに引っ越してきたんだよ。今までは老いぼれて力の弱った魔法師しかこの近辺にはいなかったけど、急に若く力の強い魔法師が来たものだから出て行くように反魔法団体が抗議しているんだよ。日に日に規模が大きくなって今ではでもといわざるおえないんだよ。」
マジか!おいおい、憲法にある移住の自由はどうなってるんだよ!これは聖魔に報告しなければならないだろう。先輩と視線を合わせると、先輩は立ち上がり
「行くぞ。」
と言って、私の手を引いた。