047.手でも繋ごうか
火室先輩は言った通りにしてくれた。お兄ちゃんは瞬君を、金島先輩は土田君をそれぞれ回収し帰っていった。生徒会室には、私と風天先輩だけが残される。
「風天先輩、お、お誕生日おめでとうございます!あ、あの、これ、大したものじゃないんですが・・・・・、ど、どうぞ!!」
私は週末に買ったプレゼントと昨日作ったカップケーキを渡した。はじめは普通にケーキを作ろうと思ったんだけどさすがにドンびかれそうなのでカップケーにした。先輩はそれを受け取るとうれしそうにに笑いながら、
「ありがとう。真夜。」
と言ってくれた。(その笑顔に)ご馳走様です!と思っていると、開けていいか?と聞かれれうなずく。プレゼントにも喜んでくれたが、何よりカップケーキ。手作りと聞かれそうだと答えたら、今日1番の笑顔が返ってきた。お姉ちゃんが料理をすると凶器が出来上がる。そんなお姉ちゃんにいじられないように牽制しながら作るのはとても大変だったが、この笑顔が見られるという見返りがあるのならそのかいがあったというものだ。
帰るころには日が落ち、寒かった。手袋とかマフラーでも持ってくればよかったかな、と思いながら手に息をかける。息が白くなる。駅まで歩いて10分歩かないかといったところだが、ホームで電車待たなきゃだし・・・・・・・・。私が手に息をかけこすり合わせているのを見ると、風天先輩が
「寒い?」
と聞いてきた。私がうなずくと
「もう11月だしな。」
といって、少し考えてから顔を赤くし私から視線を少しそらしながら、
「手・・・・・」
「?」
「手でも・・・・、つな、ぐ、か・・・・・・・?」
とつっかえつっかえ言った。すると先輩はハッとしあわてて、
「いや、あのその、け、けしてやましいことではなくて、下心とか・・・・、で、では、な、な無くて、・・・・・・。だだ、手を繋いだら少しくらいは、だ、暖が取れるかなって・・・・・・。いや、あの、い、いやなら、な、無かったことにしてくれていいから!」
とつっかえつっかえあわてて言い訳(?)を言った。私は面白いというか、かわいいなと思ってクスリと笑ってしまった。これを口実に好きな人と手がつなげるので私は、
「先輩さえよければ喜んで。」
と言い手を差し出した。私が提案を受け入れると思ってはいなかったようで、先輩は驚いた表情をし笑顔で私の手をとった。