043.ヒロインなしの文化祭
9月中旬。やってきました文化祭。とはいっても正直することが無い。劇の公演は1回だけだし、クラスのほうでは何か総務会のほうが忙しいと勘違いされてシフト1時間だけだし。暇な時間は生徒会の腕障と式典用の黒のブラウスで巡回と称して文化祭をぷらぷらと見て回るだけなのに。困っている人がいたら助けましょう、見たいな。劇はお昼。現在、文化祭開始の09:30。クラスのシフトはこの時間から1時間のみだ。クラスのフリマで出すものが無かったのでクッキーを20袋ほど作ってきたけど売れるかな?
「瞬君は何もって来たの?」
瞬君も同じ時間のシフトだ。
「こんなの。」
瞬君が持ってきたのは絵本とか子供用の図鑑だった。
「うわー、懐かしいねぇ。この昆虫図鑑好きだったよね、瞬君。」
幼馴染ならではの会話をする。でも、これ、高校の文化祭で売れるのかな・・・・・?親子客が来るのを願おう。
「真夜ちゃーん」
「っげ、土田君。」
「『っげ』はないでしょ、瞬ちゃん!」
土田君とゆかりんが一緒に現れた。ゆかりんのシフトは午後から。2人で仲良く回ってるみたいだ。よしよし、いいぞ!
「真夜ちゃん、何見てたの?」
「瞬君がもって来た本だよ。」
「瞬ちゃんの?・・・・・・・・・。」
「どうしたの?」
「・・・・・・・・いやぁ、何と言うか・・・・・・、普通だなって・・・・・。」
「土田君、いったい瞬君の幼少時代ってどんなのだと思ってたの・・・・・・・・・。」
「だって・・・・・・・、真夜ちゃんと小さいころから関わってたと同時に、月影先輩とも関わっていたわけでしょ?」
「うんそうだよ。」
「だから・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・?」
「分からない?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・、うん。」
「あー、だよねー。だと思った・・・・・・。」
「え?」
「まぁ、この世には知らない方が幸せなこともあるから・・・・・・・・。」
何のが言いたいんだ、土田。まぁ、分からない方が幸せだというのなら追求はしないがな。その後、2人は私が作ったクッキーを買って、いってしまった。
2人が来た後、入れ替わり入れ替わりに総務会メンバーがやってきては私が作ったクッキーを買っていった。