042.オタクvs非オタク
週末明けのこと。
「真夜!!」
「朝から大声出さないでください、火室先輩。」
朝の生徒会室で私は自分の机で自分の仕事をしていた。そして、その机の前の立つ火室先輩。貸していた乙女ゲームを机の上に置く。
「あぁ、わざわざ返しに来てくれたんですか。あり」
「何だ!このゲームは!!」
「へ?」
「俺たち、3人とも死んだぞ!!」
3人だと!?私は該当者だと思われる他二人を見た。が、その人物たちに目をそらされた。死んだと言うのは本当のようだ。それもあるが・・・・・・、ドンびかれた。ドンびかれてるよね!?あー、人生でオタクなら誰でもある苦しみである。しかも風天先輩にドンびかれるとは・・・・・・・、通常ダメージの百倍以上だ・・・・・・。
「ま、真夜!」
「はい?」
ドンびかれてもノーダメージな人に名を呼ばれて主はず間抜けな声になる。何でだろう・・・・・、意外にもこの人が1番ドンびいてない。
「戻ってこい!!」
「はいぃ!?」
何の話じゃ!?火室先輩はわあたしの両肩とを持ち私の体を揺さぶりながら話し続けた。
「い、いいか、こ、この世は、そ、そんなに、悪いことばかりでは、ないぞ。だ、だからな、そんな、そのー」
「ちょ、ちょ、stop、stop!!」
私は先輩の手首をつかみ私の肩から手をおろさせる。
「さ、さすがに、現実と仮想世界の区別ぐらい付いてますよ!!ああうゆのは、ゲームだから良いんですってば!!」
ドンびいてなかった理由はこれかー!!
「本当か・・・・・・?」
「はい、もちろんです。」
火室の勘違いを要約するとこんな感じ。火室先輩は私がこの世に失望しやんだ末ゲームの世界で生きていると思ったのだ。つまり、かわいそうな人だと思われたからドンびかれなかったのだ。さすがとしか言いようが無い。一般常識が無い火室はオタクと言うものをあまりよく知らないのだ。それにしても知らなさすぎである。
「ああ結うのは3次元ではありえないことを2次元で『いやぁ・・・・、3次元でやられてもなぁ・・・・・。』と、思いながらplayして萌えるんです。」
私はそんなことも知らない火室にため息を付きひと言でまとめる。
「つまり・・・・・・、リアルに疲れたときのオアシスです。」
「じゃ、じゃあ、ゲームのキャラと結婚するとか言わないな!!」
「・・・・・・・。」
ヤベー。
「おい!真夜!!」
なんとも言えん。病院から出られず、思春期の恋愛真っ盛りのときに病院にある無菌室から出られなかった真弓。そんな私はゲームのキャラを恋人にするしかなかったし、結婚も同様。だから、そこに関してはなんともいえない。まぁ、これはゲームのキャラだけではなく、2次元全般のことなのだが。
「火室先輩。」
私でも火室でもない第3者が会話に参戦して来た。
「オタクにとっては、3次元の恋人と2次元の恋人は別口なんですよ。だから、そこらへんの追及は禁断なんです。」
と土田君が言う。土田君、ナイスフォローだ!そして、土田君は私の机の上にあった乙女ゲームを手に取り裏面を見る。多分、声優をチェックしているのだろう。
「ま、真夜ちゃん・・・・・・・!」
フッフッフー気づいたか、土田君。
「こ、これ・・・・・・・、○○○○さんが(V.C.として)出てるー!!」
「そうだよ、土田君!だから、ストーリーが薄っぺらくセリフがくさすぎると評価を受けたこのゲームを私は買ったのよ!!」
「なるほど!イケボお楽しみ専用か!!真夜ちゃん、これ貸して!!」
「うん、いいよ。」
「つ、土田!それやるのか!?命が惜しくばやめておけ!!」
((そこまで言うか!?))
乙女ゲームへの免疫がたっぷりある私たちに言ったて無駄だ。playするものはする。
「先パーイ、さっき真夜ちゃんが言ってたじゃないですか。オタクは3次元と2次元の区別はちゃんと付いてるんですよ。なんというか・・・・、リアルを知ってるからこそ2次元で夢を見る、見たいな?」
「そう、それ!!」
オタクの会話してるときだけは土田君とちゃんとかみ合うんだよね。すると、ドアが勢いよく開く。
「ひ、火室先輩!!」
「どうした?水原。」
「今すぐ戻ってください!真美さんが怒ってます!!」
「な、何だと!?」
火室先輩が青い顔をしながら本気であせり始める。
「一応、本人自らが出向くのは食い止めましたが、早く戻らないと命がありません!!」
いやー、瞬君。そこまででは
「だろうな!!」
あるのー!?
「わ、分かった今行く。真夜、本当に区別してるんだろうな!?」
「大丈夫です。ちゃんとついてますよ。」
「そ、そうか・・・・・・!じゃあ、戻る。行くぞ!水原!」
2人は風紀委員室に行った。お姉ちゃんに怒られないといいけど・・・・・・。なにげに、ドンびいていた二人を見るとほっとしたような表情だった。よく分からないけど、心配かけて
すみません。