表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/217

034.地じぃ

 私が目を覚ました場所は半年振りの保健室だった。別に眼鏡がなくても日常生活に支障がないていどには見えているのだが、ついつい眼鏡っ子特有の眼鏡探しをしてしまう。「眼鏡、眼鏡ー」ってやつだ。それをやりながら私は起き上がりきょろきょるする。すると、視界にベットに突っ伏している人物を発見した。――――土田君だ。うーん、どうしよう。ここの長居するわけにもいかないし、だからといってこいつを放置するのを何か悪いし・・・・。

「土田くーん・・・・・・・・・・。」

土田君のほほを突きながら、名前を言う。・・・・・・・反応が無い。ただの屍のようだ。って、違う!!ただ寝てるだけである。もう、いっそのことひっぱたくか?いやいや、土田君が悪いことをしたわけでもないのだからそれはよくないだろう。

(そういえば・・・・・・・、この人・・・・、土の魔元素魔法師だったよね・・・・・・。)

これは土の魔元素を見てみる絶好の機会なのでは!?どうせ起きなさそうだし起こすのは後回しでいいよね?私は土田君に触れていた手に魔力を集中させた。すると、きれいな黄茶色の粒が見える。その中に1人の小人老人がいた。

「こんにちは。」

私は小人老人に声をかける。なんか漫画とかに出てくる老人みたいにプルプルとしているのが面白くて小人老人に声をかけた。

『お嬢さん、この老いぼれが見えるのかい?』

精霊はちゃんと返事をしてくれた。

「うん、そうだよ。」

『まさか、消滅しそうなわしを見ることができる人間に消滅する前に出会えるとはのう。この消滅しそこないの老いぼれが見えるとは、お嬢さんは人間で言うところの魔力と言うものが高いようだのうじゃのう。』

おじいさんの言うことが本当なら力をなくし消滅に近づいている精霊ほど魔力の高い人間じゃないと見えないのか。初めて知った。

「おじいさん、消えちゃうの?」

『・・・・・・・わしは生まれてから何人もの人間と契約してきた。じゃが、ここ百年ほど前からは年のせいで力が弱りわしが見える人間に出会えなくてのう、契約を交わせずさらに力の消費がひどくなっているのじゃ。だからもう、、長くは生きられないじゃろうな。』

「それってつまり・・・・・・、契約を交わせばまた生きられるってこと?」

『少しだけ長くじゃ。おそらく・・・・・・、主がなくなればわしは消えるじゃろうな。』

「お、おじいさん!!」

『なんじゃい?お嬢さんよ。』

「わ、私と契約しよう!!」

『この老いぼれとお嬢さんが?』

私はこくりとうなずく。

「そうすれば、おじいさんにとっては少しかもしれないけど、長く生きられるんでしょ?なら、生きようよ!」

『じゃが、長く生きたところでこの老いぼれには何もできん。』

「うーん・・・、終活とか・・・・、えーと、つまり・・・・・、せめて最後にやりたいこととかして自分のために生きたらどう?心残りは少しでも少ないほうがいいし・・・・・。それに、主が死んだら消えちゃうんでしょ?それってつまり、主と一緒に死ぬってことだよね?1人でさびしくしく死ぬより、2人で死のう。おじいさんはどうだか分からないけど、私は安心できるよ。1人じゃないんだって。」

理解しててもらえたな?

『この老いぼれでいいのかの?役に立てなくとも。』

「若いからって役に立つというわけではないよ。それに年をとっているからこそ知ってることってあるでしょ?それを私に教えてくれるだけで役に立ってるよ。」

『・・・・・・・・・、お嬢さんよ、この老いぼれに名をくだされ。』

「おじいさんの名前は・・・・・・・、地蔵(くにぞう)。地蔵さんでどう?」

『わしの名は地蔵。この老いぼれなりにマスターの役に立つことを約束しよう。』

と言って、(くに)じぃは、黄茶色のきれいな宝石がはまったチャームとなった。私はそれを魔道具につけた。その直後、数時間前同様後ろから抱きしめられた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ