031.お茶
夏休みも残りあと二日。総務会の集まりも無いので、自室で乙女小説を読んでいた。そんなとき、きわめて珍しい人からメールが来た。その人物に指定された場所に行く。数分後、その人物が現れた。――――金島先輩だ。
「すみません。いきなり呼び出したりして。」
「いえ。暇だったのできにしないでください。」
「本当ですか?明日とかにご予定があって今日は休んでいたかったとかではありませんか?」
「それも無いです。明日も暇だったので。」
「そうですか。それはよかった。では、ついてきてください。」
着いた場所は、金島先輩の家だった。火室先輩ほどではないが金島先輩も金持ちである。この人もこの人で、火室とは別の方向で金持ちならではの性格をしている。なので、家はそこそこでかい。私は、庭に隣接しているガラス張りでできているテラスの案内された。お庭がとてもきれいだ。まさに金島先輩の性格が現れている。照らすにはテーブルといすがありいすに座るように促される。金島先輩もいすに座り、ベルを鳴らす。現れたのは、生メイド!さすが金持ちだ。ここのメイドは秋○原のメイドと違い萌えのために存在してるわけではない(それでも私的には萌えるけどね!)。清楚で言葉づかいも丁寧でよくしつけ(?)が行き届いている。と、私がメイドさんについて考えていると、お茶とお菓子が置かれる。
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
まずはお茶を一口。
「っあ、これ、ハーブティーですか?とても美味しいです。」
「そうですよ。ちょうど今日、手に入れたものです。」
「とても飲みやすいです。さわやかな味で今の暑い夏の季節にはぴったりですね。」
冷やしても美味しそうだなぁ、と思っていると今使っていたマグカップとは違うグラスを差し出される。
「こちらも飲んでみてください。」
と言われたので飲んでみる。
「・・・・・・・これ、冷やしたものですか?あとレモン・・・・・・・・、シトラスが少し入っていますか?」
「正解。先日行った店でこれが出てきたて美味しかったので取り寄せたんです。冷やすと少しクセが出るのそうなのですが、シトラスを1・2滴加えるとクセが隠せて冷やしても美味しくいいただけるようになるんです。さすが月影さん、よく分かりましたね。」
「そ、そんなことないです。ハーブティーはあんまり飲みませんし・・・・・・。」
「おや、以外。」
先輩の顔がそのセリフと同じものになる。
「あぁぁ、嫌いではないんです。むしろ好きなくらいで。ただ、ハーブティーって、自分で入れるの難しくて・・・・・・・・・。一時期挑戦してみたもののやっぱりできなくて・・・・・・。お店で飲むにしてもあまりいけないんですよ。」
「あぁ、なるほど。なら、できるようになれば問題は解決するんですね。」
「へ?」
「実際に目の前で見ればできるようになるかもしれませんよ?」
と言われ、現在、金島家のキッチン。なぜかハーブティーの入れ方講座が行われた。とてもありがたかったのだが、かなりスパルタだった。合格点をもらったころにはもう夕方だった。帰り際に色々なハーブティーのお茶葉をもらった。
「帰ったら瞬君とお姉ちゃんに入れてあげよう。」
と独り言をつぶやいたら
「水原さんはともかく、月影先輩に違いが分かるでしょうか?」
と言われた。た、確かに・・・・・・。
ちなみに、今日私が呼ばれた理由はいつも休憩時間にお茶を飲むときの様子を見てて私がそういうのが好きな人間だと判断しお茶のためだけに呼んだそうだ。まぁ、合ってはいる。これは前世からのなごりで、体が弱かった私のために真弓の父が体にいいからとよく入れてくれたのだ。父は知らないだろうが、父が私のためにがんばってお茶の美味しい淹れ方を勉強してくれたことを私は知っている。だから、元気になったら教えてもらう約束をしていた。が、真弓は元気になることなく死んでしまい現在のお茶入れスキルは真夜になってから自学したものだ。これはこれで父の苦労が分かり感謝の気持ちが深まったのだか、やはり父に教えてもらいたかったなぁ、とお茶を淹れるたびに思う。